9月特集 アジア大会2014の発見!(10)

 2016年リオデジャネイロ五輪で正式採用された7人制ラグビー(セブンズ)の日本代表が、来年の同五輪アジア予選を占う仁川アジア大会(韓国=ラグビー競技は9月30日、10月1、2日)に挑む。男女とも目標は「金メダル」。特に戦力充実の日本男子は大会3連覇をもくろむ。

「もちろん、金メダルを獲って帰ってきたい。オリンピックに向け、いいシミュレーションにもなります」と、日本男子の瀬川智広ヘッドコーチは言う。いいシミュレーションとは、15人制日本代表の主将、リーチ・マイケル(東芝)を招集できたことを指す。フィジカルの強さとしなやかなランを持つニュージーランド(NZ)生まれの25歳。ここでセブンズの適性を示し、15人制との両立を証明できれば、今後のセブンズ日本代表の強化にとっては大きな力となる。
 
 日本男子はこのほか、帰化したばかりのNZ生まれのトンガ系、レメキ・ロマノ(ホンダ)も代表入り。トンガ出身のラトゥイラ・レプハ(近鉄)を加え、国籍条項をクリアした3選手が日の丸を背負う。同HCは「3人の海外生まれの選手の特徴として、非常にスピードがあって、パワーを兼ね備えている。スペースにボールを運ぶために必要なブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)などで基点になってくれる」と期待する。

 日本男子はこの春、外国選手の活躍もあって、ワールドシリーズのコア(中核)チーム昇格決定戦で優勝し、その権利を獲得した。だが、若手を多数起用したこともあって、先のアジアシリーズの香港セブンズでは韓国に、マレーシアセブンズでは香港に苦杯を喫した。
 
 ここで、アジアの盟主であることを示さなければならない。難敵は開催国の韓国ほか、香港、中国、俊足揃いのスリランカあたりか。ポイントは、"空中戦のスペシャリスト"桑水流裕策(くわずる・ゆうさく/コカ・コーラ)が中心のキックオフの確保と、ボールポゼッション(保持率)、ブレイクダウンでのペナルティーを少なくすることができるかだろう。
 
 さらにいえば、15人制から慣れないセブンズでプレーするリーチやラトゥイラらが、すみやかにチームにフィットするか。特にディフェンスでチーム間の意志疎通を図れないと苦戦を強いられることになる。リーチは「リオ五輪につながるよう、15人制とセブンズが両立できることを証明したい」と意欲的だ。コンディショニングもカギを握る。
 
 日本女子は、先のコアチーム昇格決定大会で5位に終わり、惜しくも上位4カ国に与えられる昇格の権利をとれなかった。キッカーの大黒田裕芽(おおくろだ・ゆめ/立正大)をケガで欠き、大事なキックオフでの苦戦がつづく。浅見敬子HCは「まずはゲームの入りを修正していきたい」と改善をめざす。
 
 ライバルは、コアチーム昇格を決めた大型の中国ほか、フィジカルの強いカザフスタン、香港あたりか。同じ予選C組のシンガポールも侮れない。日本としては、献身的な中村知春主将(なかむら・ちはる/電通東日本)に代表される「豊富な運動量」で勝負したい。
 
 浅見HCは続ける。「キックオフのボールをしっかり取り、ボールキャリアがボールを前に運ぶところを丁寧にやっていきたい。2人目、3人目の寄りの早さも大事。ディフェンスも我慢強くし続けたい」と。
 
 陸上から転向してきた山田怜(TKM)ほか、中村主将、小柄な鈴木陽子(立正大)に期待したい。サイズで劣るだけに、ハンドリングミスは避けたいところ。ボールを素早く、大きく動かすことができれば、勝機も膨らんでくるだろう。

 日本女子は前回広州大会では5位に終わった。来年の五輪予選につなげるためにも、何とか中国を倒し、優勝をつかみたい。浅見HCは「中国に勝って、サクラセブンズ(日本女子)のチカラを示したい。強いチームとやる時には、最初から100%出せるかどうかが、重要となる」と話している。

 男女とも言葉どおり、アジアの盟主になれるのか。リオ五輪に向けても、注目の試合となる。

【試合スケジュール】
●男子は12チーム、女子は10チームが参加。プール組み分けで、日本は男女ともプールAに。
試合は7分ハーフ。

■9月30日
(男子)
日本 対 サウジアラビア 
日本 対 タイ
(女子)
日本 対 ウズベキスタン
日本 対 韓国
日本 対 シンガポール

■10月1日
(男子)
日本 対 マレーシア
9〜12位決定戦、準々決勝
(女子)
日本 対 中国

■10月2日
(男子)
5〜12位決定戦、準決勝、3位決定戦、決勝
(女子)
5〜10位決定戦、準決勝、3位決定戦、決勝

松瀬 学●取材・文 text by Matsuse Manabu