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樹脂製品に必要とされる強度にはさまざまなレベルがあり、設計にあたっては対処方法もいろいろあります。その製品の用途、使用環境、使用方法を分析したうえでパーツに適用すべき補強のためのフィーチャーを割り出し、樹脂を選択することが必要になります。耐衝撃性、耐摩耗、耐荷重などが抑えておくべき要件で、設計ではリブやガセットを追加するという比較的シンプルなことから、サポート形状の追加、肉厚の変更から材料の選択までの設計要素を組み合わせる必要のある場合もあります。バランスがとれた適切な設計条件を見つけることが、必要な強度と安定を備えたパーツの設計につながるのです。

リブとは、薄い板のような形状をしており、一般的にはパーツやボスの側面から突き出たような形で配置されて、構造面から補強する役割を果たします。ガセットは三角形の形をしたリブで、パーツの側面と底面、あるいはボスと底面の接合部を補強します。例えば橋の構造において、梁と柱をつなぐガセットが構造を支える上で重要な役割を果たしているのと同じ概念を樹脂パーツにも適用できます。

肉厚を増すことなくパーツに構造上の安定性を実現するには、リブとガセットどちらも有効です。なお、リブとガセットの肉厚はベースに対して50%前後にすることが理想的です。他の壁面と交わる箇所が厚肉にならないようにすることが意匠側にヒケができないようにするうえで重要なポイントです。

不要な部分を肉抜きする際には、長方形、菱形、三角形、ハニカム状にリブ配置することでパーツの強度を補強しつつ、重量の低減につなげることできます。パーツがアセンブリされる場合は、他のパーツと嵌合する部分の面や形状を取り除いてしまわないよう留意しておきましょう。

パーツに鋭角のコーナー部があると、応力が集中するため、パーツの強度を弱めることにつながります。リブとパーツ面の交差部分にフィレット(R)をつけることも、応力集中を緩和するための有効な方法です。ガセットと同様に、フィレットの半径が小さすぎると応力集中の緩和が小さくなりますが、半径を大きくし過ぎると厚肉になりヒケの発生につながってしまいます。リブやガセットを使用するのと同様に、適切なサイズにすることが重要です。ヒケが発生するリスクが高い場合には、フィレットを使用するかわりに、他の方法でパーツの強度向上をはかったほうがよいでしょう。

樹脂の選択も、剛性、耐久性、靭性をはじめとするパーツの特性を決める上での重要な要素となります。材料特性は樹脂によって実に様々なですが、ここで使用頻度の高い樹脂について簡単に触れておきます。

・ABSは、一般的な用途でよく使用される安定した樹脂で、靭性もあり日常的な環境で使用される場合の耐衝撃性もあります。リモコンの筐体、電池を使用する器具の筐体、モニター、プリンター、コピー機などのパネルなどでよく使われます。なお、ABSはシンナー等の有機溶剤に侵されやすい性質があることに留意してください。・ポリカーボネートは、ABSよりも耐衝撃性が高く、レンズや光沢が求められる用途に適しています。しかしながら、応力によるクラックが発生しやすい他、薬品によるクラック、白化が発生する可能性にも注意が必要です。・ナイロンは、柔軟性と耐衝撃性が高く、耐摩耗性の観点からも潤滑性の高い材料です。ガラス繊維を含有させることで、剛性と耐圧縮性を高めることができ、熱変形性の向上も期待できますが、そのかわりに衝撃を受けた時の脆性が高くなります。・アセタールは、優れた自己潤滑性を持ち、耐摩耗性や剛性にも優れています。しかし、外観の仕上がりが重要視されるパーツや、塗装、ステッカーを貼る必要のあるパーツの成形には、向いているとは言えません。・TPEは、防塵用のシールや耐衝撃性を求められるコーナー部のパッド部材といった用途に適しています。また、グリップなどのオーバーモールド成形にも適しています。しかし、可動パーツには適しているとは言えず、固定されたパーツに適用することが推奨されます。

プロトラブズでは、樹脂の種類ごとに推奨肉厚のリストを用意していますので、使用する材料に応じて肉厚が適切かどうかの判断材料として参考にしていただけます。パーツが複雑になればなるほど、リブ、ガセット、樹脂の種類やその他の強度に関わる要素に対して注意を払う必要があります。

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ご参考:

■樹脂部品設計ガイド■Protomold 樹脂特性ガイド

本コラムは、プロトラブズ合同会社から毎月配信されているメールマガジン「Protomold Design Tips」より転載したものです。