キセナントカ!ここに座りなさい!

えー、まず原稿用紙3枚ほど説教をやります。24日に行なわれた大相撲九月場所の十一日目でのキセナントカの取組についてです。この日、キセナントカが迎え撃ったのは今場所新入幕の逸ノ城でした。逸ノ城の強さについては、説教のあとで改めて説明するとして、ここではそれは問題ではありません。

いかに相手が百年にひとりの天才であろうが、若き日の大鵬・北の湖・千代の富士・貴乃花・白鵬であろうが、それは問題にはならないのです。相手は体重が2トンある鼻が長い生き物とかではなく、たかだか200キロ程度の人間。いかに学生相撲でならしたホープであっても、プロの舞台では5場所しか相撲を取っていない若造です。一体キセナントカはどれだけの経験をしてきたのか。どれだけの修練を積んできたのか。仮にも大関を張る男がガチガチに緊張して、新入幕の力士に半笑いであしらわれるなんて。

僕はこの取組を前に「壁」としてのキセナントカに期待していました。進撃の巨人で言うところのウォール・シーナです。もうこの時点で3枚あるうちの外側の2枚が破壊されているっていうのもヒドイ話ですし、番付上はキセナントカより上になる琴奨菊に僕がまったく期待してないってのもヒドイ話ですが、ウォール・シーナはそれなりに頑丈だと思っていたのです。少なくとも数回は若者の挑戦を耐える程度には。(※破られる前提)

取組後、僕の目の前に広がるイメージは「ふすま」でした。

ずかずかと本丸に侵入してきた脅威に立ちはだかるふすま。

ドンと足を踏み出したらメリメリと音を立てて穴が開き、バコンと外れてふっ飛んでいく。吹っ飛ばしたあとで「何か踏んだ?」と巨人が振り返る。地べたに転がり、厚紙の残骸と化したふすま。しかも、ピシッと閉まってるならまだしも、立ち合いの時点で半開きだったふすま。何だこのウォール・フスマ。

フスマもアラサーを迎えた28歳ですよね。琴欧洲が優勝したのは25歳のとき、琴光喜が優勝したのは25歳のとき、出島が優勝したのは25歳のとき、武双山が優勝したのは27歳のとき、把瑠都が優勝したのは27歳のとき、栃東の最初の優勝が25歳のときで最後の優勝は29歳、魁皇の最初の優勝が27歳のときで最後の優勝が32歳です。一部の例外はあるものの、大体その辺の年代がチカラのピークなわけです。本当にもう優勝はない年齢ですよ。

ひょっとして、昨今のフスマが以前にも増してふわふわしているのはチカラの衰えなのではないでしょうか。「この男なら白鵬をも脅かすのではないか」と思っていたときがピークで、山頂を前に下山が始まっているのではないでしょうか。18歳3ヶ月という貴花田に次ぐ若さで入幕した才能が、その後10年ももーにょもーにょするとは誰が想像したでしょう。「横綱になる」「優勝する」「結婚する」のどれひとつとして達成しないまま、今日も土俵の上で緊張しているなんて。

わんぱく相撲の全国大会で震える小学6年生か!

これはもう終わりです。僕の中でフスマ横綱誕生は遠くに霞みました。たとえチカラは届いたとしても、肝心要のところでもーにょもーにょして取り逃がすイメージしかわきません。2場所連続優勝に準ずる成績など無理も無理。1回たまたま偶然があっても、翌場所までに緊張で胃でも壊して終わりです。綱取りチャンスというか負け越しピンチです。

いっそ、こうしたらどうでしょう。まず3場所ほど休みます。幕尻近くまで下がります。そこで万全の体調を整えて、序盤から弱い相手に白星を重ねるのです。そして、自分よりもライバルがたくさん負けることを祈るのです。今ならまだそのチカラがある。しかし、2年後はもうそれもアヤしい。むしろ幕内中位あたりにいるフスマのほうが、安美錦的ポジションとして「三賞の常連」「抜群の人気」「壁としてはそこそこ」という愛される存在になるのではないでしょうか。たまに優勝争いでもしたら、大盛り上がりになるでしょうしね!

そういうポジションのフスマであれば、少なくとも、原稿用紙3枚と言っておきながら原稿用紙4枚分も説教されるようなことはなくなるでしょう…。

ということで、フスマが見事なフスマっぷりを見せつけた一番について、24日のNHK中継による「大相撲九月場所十一日目」からチェックしていきましょう。


◆白鵬・日馬・鶴竜が去っても照ノ富士・逸ノ城が大相撲を席巻する!


昨今、相撲人気の高まりが話題です。広報部門のSNSなどを活用したアピール、わかりやすく&お得になったチケット販売、ポスターやパンフレット・グッズのデザイン改善、遠藤ブーム…いくつか要因があるのでしょう。しかし、最たるものは土俵の充実であると僕は思います。

今の大相撲は本当に面白い。何せ、相撲を見れば白鵬がいるのです。史上最強の横綱がおり、それをときに打ち破るほどの横綱がいる。頂点の高さと群雄割拠ぶりは若貴時代以来でしょう。しかも、白鵬はまったく休まない。「今、このルールで地球一強い」男が、会場に行けば必ず見られるのです。これほど安心して1万円を突っ込める理由はないでしょう。同時代の力士にとっては、大変辛い状況ではあるでしょうが。

それでも白鵬にもいずれ衰えはきます。今場所などは攻めに掛かる相撲が増えています。これは一見、強さが増したかのように見えますが、真の横綱相撲とは「受け」にあります。相手のチカラを一旦受け、それを跳ね返す。白鵬ほどの相撲知識を持つ男がそれを知らぬわけがありません。実際、数年前はそういう姿が中心でした。しかし、今は立ち合いで決めに掛かっています。立ち合いで不利と見るやはたきにかかる。相撲内容はジワジワと衰え始めているように見受けます。

では、その後釜を狙うのは誰か。

日本出身力士にもホープはいます。人気の遠藤(23歳)、平成生まれ初の三役・高安(24歳)、170センチ台の小兵ながら三役経験もある・千代鳳(21歳)などは、まだまだ成長途上の力士。しかし、それをヒョイと飛び越えるように土俵を席巻するのが、海外からやって来た新たな才能たち。すでに金星を挙げた大砂嵐(22歳)、190センチを超える大型力士・照ノ富士(22歳)、そして新入幕にしてフスマを破った逸ノ城(21歳)。何か、今のフスマが頭を押さえつけられている構図がそのまんま持ち上がる感じも漂います。

↓特にこの逸ノ城は新入幕ながらまったく壁を感じさせない!



元大関候補の栃煌山が首根っこつかまれて振り回され!

上位陣連続撃破の好調・嘉風が首根っこつかまれて叩き落とされ!

巨漢・隠岐の海が首根っこつかまれてぶん投げられた!

右のかいなは怪力無双!

日本に相撲留学し、アマ横綱にまでなった相撲経験。190センチ・200キロに及ぶ巨体。それでいて、右四つに組んで相手を投げで仕留める上手さ。もし把瑠都がまともな相撲を身につけていたらどうなっていたか。逸ノ城にはそんな想像をさせるような、つまり大関からさらに上を狙えるようなスケール感があります。

こうした巨漢力士はどうしても身体に自信があるので、相手を懐に呼び込んでの強引な相撲になりがちですが、逸ノ城はしっかりと前でさばく相撲を取っています。とりわけ心技体の余裕がよく表れているのがヒザ。逸ノ城のヒザは常に柔らかく折れ曲がり、左右の足が揃うことがありません。単純な押し合いでは負けることがないという余裕が、そのまま身体に現れているのでしょう。この柔らかさが、前後左右どこに動かれても対応する余裕を生むのです。

今場所の多くの相撲で左上手をとって右で首根っこつかんで振り回す相撲で勝っており、すでに得意の型というものも持っている状態。隠岐の海クラスが振り回されるのですから、これはちょっと中盤の壁では止まらない感じです。三役級のチカラがあり、来場所はそのチカラにふさわしい地位にまで昇進するでしょう。武双山らが持つ8場所での三役昇進の記録を「6」に更新することが濃厚です。

それだけに最後に期待を託したのが、残り1枚の薄っすいウォール・フスマ。腐っても大関、白鵬とも勝ち負けする男なら、しばらくは巨人の猛攻に耐えるだろう。あんまりアッサリ突破されたら揃いも揃って格好がつかないぞ。ワラにすがるような思いで。「今場所も碧山に簡単にひねられたぞ」「得意の左四つになったあとで宝富士に頭から土俵下に落とされたぞ」「豪栄道には普通に負けた」などという声は耳に入らない。耳に入らない。アーアーアーアーアーア!!

↓当然、過去の悪い実績も耳に入らないぞ!アーアーアー!!



改めて見ると何だこの相撲wwwww

最後、自分でピョンと飛んで出たぞwwww

ダメだこの壁wwww

むしろ破られるために出て来てるwwww

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感想(1件)



そして迎えた初顔合わせ。フスマはカタカタと震えていました。碧山との取組の前によく見せる、あの顔です。「大丈夫か!?」が「ダメだ!」に変わるまで時間はかかりませんでした。時間いっぱいで仕切りを迎えたとき、なかなか腰を下ろさない。やっと下ろした腰が、今度は立てない。立てない。立てない。新入幕の力士を相手に二度の待った。「ダメだ」「ガチガチや」「解散!」と心の座布団が早くも宙を舞います!

↓そしてフスマはご期待に応えて、ポーンと吹き飛ばされました!


立たないわ前に落ちるわwww

ぶつける壁を間違えたwwww

↓たまたま解説に来ていた、今もっともコメントにトゲがある相撲解説者・雅山(現・二子山親方)も激おこミヤビ丸に大変身!
(一度目の待った)

雅山:「うーーーん、稀勢の里は本当に多いですね、待ったが」

(二度目の待った)

実況:「あっと」

雅山:「2回目は逸ノ城が早かったですね」

(取組)

雅山:「あのー、あれですね、待ったをした時点から稀勢の里は固かったですし、新入幕を相手に待ったしてる時点で、大関としての器のないとこ見せましたから

実況:「あー」

雅山:「しかもね、待ったがつづいたあとの相撲ってね、意外とアッサリ変化とか、いっぺんに持ってかれる相撲とかの内容が多い中、まさかと思いましたけど」

雅山:「こういう変化の結果になってしまいましたよねぇ」

雅山:「あのー、これは本当に大関自身もね、立ち合い1回で行かない、大関らしさがないからこういう結果になってしまいましたから

実況:「えぇ」

雅山:「ちょっと大関としてはどうなのかなと思いますね

実況:「そうですねぇ…」

(中略:花道レポート)

実況:「足が出てませんでしたね…まったく…」

雅山:「もう立ち合う前からね、今も言いましたけど負けてますからね」

実況:「負けてたんですねぇ…」

(中略:向正面コメント)

雅山:「まぁあのー、結果からしたら立ち合い待ったにつながりますからね」

雅山:「まぁ本当に、一回で立って欲しかったですし」

雅山:「本来であれば変化であればお客さんもですね、多少騒ぐんですが」

実況:「はい」

雅山:「あのー、あまりの待ったのあとの変化でしたから」

実況:「お客さんもどう反応していいかわからない」

雅山:「(という)感じの勝敗でしたよね」

実況:「ですからどよめきもせず、アーッということも言わず、あぁぁ?という感じの」

雅山:「そうですね。まー、何度も言いますが、大関として待ったも多いですし、一発目で行かなかった結果ですから

実況:「あれ一発目で立っていれば多分違ってましたよね」

雅山:「違うね。もっと濃い相撲内容でしたからね。取り組む前からそれをすごい楽しみにね、それを自分も解説できるなと思ってましたからね」

激おこやwwwwwwww

「大関ってのはそういう地位じゃないんだよ」「そんなんだから優勝もできないで大関をダラダラやってるんだよ」「客は変化を見に来てるんじゃないんだよ」という熱い想いを感じるwwww

大関の器ごとひっくり返されたwww

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取組後のインタビュー。逸ノ城は「ちょっと硬くなりました」とガチガチの大関を二回戦で辱める感じのコメントを披露。どっちが大関だかわからない落ち着きぶりです。その余裕が…まぁ余裕がなくても、あんだけガチガチな男を目の前にすればわかるでしょうが、待ったの間に「あ、これ変化して叩いたら簡単に落ちるな」と気づかせたのでしょう。

逸ノ城は最初の立ち合いでは右の腕を張るようにして立っています。これはほかの取組でも見せている、相手の左を警戒しつつ左上手を取りに行くときの形です。二度目は突っかけ気味にプレッシャーをかけていきました。そして三度目。稀勢の里がそのプレッシャーに抗するようにドンと立ったところを狙いすましての変化。最初の待ったで、心の弱さを見切られたのでしょう。1回目は変化の素振りはありませんでしたから。戦う前に「弱いな」と思われるあたり、さすがフスマですね。

↓なお、フスマは風呂場で「アーッ!」と大きな声を上げたそうです!
<稀勢、汚名残す屈辱的黒星に「アーッ!」>

左腕にはテーピングが施されていたが、その痛みを感じる間すらない3連敗。引き揚げる際や風呂場で「アーッ!」と大声を上げ、支度部屋では両腕を組んで険しい表情。言葉を発することはなかった。

http://www.nikkansports.com/sports/sumo/news/f-sp-tp3-20140924-1372206.html

その声を

仕切りで出そう

これからは

高見盛と

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解説が武蔵丸だったら「激おこムサシ丸」だったのに!それが残念です!