アジア大会連覇を目指すU-21日本代表を率いる手倉森監督。大いなる使命感を持ってチームを率いている。(C) SOCCER DIGEST

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 4年前のアジア大会で初優勝を飾った日本は、ディフェンディング・チャンピオンとして今大会に臨んでいる。当然ながら出場国で、唯一「連覇」の可能性を持ち、それを期待されるプレッシャーがある。
 
「プレッシャーは凄いよね」
 チームを指揮する手倉森誠監督も、重圧の大きさを素直に認めている。しかしその一方で、「プレッシャーを楽しまなければいけないとも思っている」。
 
 勝利の喜びも、敗北の苦みも、チームと一緒に分かち合うべきだと考えている。試合に負けたら、「最大の責任は俺にある」としながらも、「いろんなものが絡んで、負ける時は負ける。そこを理解すれば、自分に力がなさすぎたとは思わない。そういう考え方もある」というスタンスでいるし、「負けたら辞めるだけ。辞めたら、こういうプレッシャーは味わえないし、だったらやりたいようにやったほうがいい」と覚悟を決めてもいる。
 
 その覚悟は、ともすれば自分勝手なように聞こえるかもしれないが、文字通りただ自分の好きなようにやっているわけでは、もちろんない。周囲の人間や選手たちが納得するやり方を模索し続け、チームとして正しい道を進んでいるのかを常に意識しながら仕事にあたっている。
「そういったものを間違いなくやろうとしている俺がいたら、別にプレッシャーを感じないで、それをやっていればいい」
 
 とにかく、あらゆる物事を前向きに、ポジティブに捉えられる指揮官だ。自分が置かれている状況についても、「俺は今、ものすごい流れのなかにいると思っている」と感謝し、使命感に燃えている。
 
「自分が五輪を目指すチームの監督になり、出会った選手がこいつらだった。アジア大会は前回優勝しているし、ロンドン五輪で日本は4強になっている。A代表の監督にはアギーレさんが就任したけど、いよいよ、日本のサッカーがさらなる高みに到達しなければならないという時に、このチームの監督をやらせてもらっていると感じている」
 
 9月25日にはいよいよ、ラウンド16のパレスチナ戦に挑む。決勝トーナメント以降の戦いについては「どの国も覇権を狙うと口にしてもいい状況」と捉え、「そういったレベルの高い戦いは、自分たちが成長でき、強くなれるチャンスでもある。だったら、数多く試合をしなければならない。俺たちはあと4回、戦うぞという話を選手たちにした」という。
 
 プレッシャーは十分に感じている。もし負けたら、と考えれば考えるほど、震えるぐらいの恐怖心を感じずにはいられない。
 
 しかし、そんな想いを打ち消すかのように、勝った時のことを想像してみる。
「そうすれば、逆の震えがくるぐらい、楽しいというか、嬉しいこと、みんなに喜んでもらえることが待っているはず。だから、そっちを考えたほうがいい」
 
 掲げた目標を掴み取るために、前だけを見据えて戦いに挑む。一切の迷いがない指揮官に率いられた若き日本代表は、連覇に向かってただひたすら突き進む。
 
取材・文:広島由寛(週刊サッカーダイジェスト)