なぜか叩かれる「アナ雪」May J.の、新たな売り出し方
 日本中で旋風を巻き起こした映画『アナと雪の女王』。今年の流行語大賞は、やはり「ありのまま」でしょうか。そんなビッグウェーブに乗ろうと、アクセル全開で踏み続けながらも完全に乗り損ねてしまった様子なのが歌手のMay J.(※1)。

 『情熱大陸』では密着取材中にわずか5センチの至近距離で小さな女の子に正対して、♪ありの〜 むぁむぁなぁぉ〜と絶唱。『徹子の部屋』に出演すると、自分が雪の女王ならぬカラオケの女王であることをしきりに強調(※2)。ただでさえフィットしていない徹子のマウスピースがさらに歪んだかもしれません。

 そんな押しの強さからか、彼女がレリゴーを歌うたびに評判を落とす負のスパイラルに陥っているのです。

 さらに追い打ちをかけたのが、ライブツアーでなぜかアナ雪Tシャツを販売したこと。しかもそのお値段、お値打ち価格の5500円。自信があるからお電話いたしません!!

◆どうせカバーするならインパクトある選曲を

 もうここまでくると、いいオンナ風にバラードを歌い上げたり、学内のマドンナ的キャラから爽やかなポップロックで弾けたりする路線は大変に厳しいと言わざるを得ません。

 とは言っても、その歌唱力はなかなかのもの。デモテープにMay J.の仮歌が入っていたら、歌い手は大変にありがたいと感じるでしょう。だとすれば、その平平凡凡な上手さを逆手に取らない手はありません。やはりポップスは目立ってナンボ。意外性とインパクトで勝負するのが、成功への近道です。

 May J.と言えばカバーソング。その路線は保ちつつ、これまでの選曲を変えてみてはどうでしょうか。

◆マイリー・サイラスのカバーで、裸で鉄球に乗る

 まずカバーしてほしいのが、マイリー・サイラスの「Wrecking Ball」。壮大なバラードなので彼女の歌声を活かせるのも強みですし、なによりも裸で鉄球にまたがるというビデオのインパクトにあやかりたいところ。

 そこでカバー版の演出として、鉄球にまたがったMay J.が木造アパートを破壊する絵が欲しいですね。その際、佐々淳行氏にご出演いただければ言うことありません。

⇒【YouTube】Miley Cyrus‐Wrecking Bal http://youtu.be/My2FRPA3Gf8

◆ケイティ・ペリーのカバーで「変なおじさん」に扮する

 次におすすめしたいのが、ケイティ・ペリーの「Birthday」。このビデオでのケイティは特殊メイクで性別や年齢を超えた様々なキャラクターになりきり、見事なコメディエンヌぶりを発揮しています。やはりただ「いいオンナ」なだけではつまらないのです。

 あるパーティーに潜入したケイティがユダヤ人の男性DJに扮したパートは特に圧巻です。メイクが彼女の人格まで変えてしまったかのような、とことん気持ち悪い動きを見せています。

⇒【YouTube】Katy Perry‐Birthday(Official)http://youtu.be/CEUg7OplvIQ

 ですがカバー版でエスニックジョークは使いづらい。似たところでMay J.には(志村けんの)「変なおじさん」になってもらいましょう。「だっふんだ」で、レリゴーの呪縛から解き放たれること間違いなし。

 しかしいくらPVで目立っても、それは一過性のもの。思い切って全く異なったフィールドに飛び込んで新たな客層を開拓するのもアリです。となるとネットでの彼女の評判を知らない高齢者に訴えるのがよさそうです。NHKの『歌謡コンサート』やテレビ東京の『木曜8時のコンサート』に食い込みたいところ。

 そこで名刺代わりの一曲となりそうなのが三船和子の「だんな様」。これを演歌のこぶしに流されることなく、洋楽のポップスやR&B風の歌い方のままにカバーできたら、歌手May Jは確実に次のステージへと駆け上がることでしょう。

⇒【YouTube】だんな様 三船和子 http://youtu.be/nlcX8dzfYyQ

 ♪うぁたすぃの だぁいずぃな だぁんぬぁSummer

 これは冗談抜きで聴いてみたいです。

⇒【YouTube】May J./『元気を出して』Music Video(カヴァーAL『Heartful Song Covers』[3.26 Release]より) http://youtu.be/sc48QPE1udQ

※1)『アナと雪の女王』日本語版のエンディング曲「Let It Go」を歌っているMay J.。デビュー8年の下積みを経て「Let It Go」で注目された。だが、大ブレイクした劇中歌・松たかこバージョンに比べて、May Jバージョンはそれほど高評価でもなかったのに、May J.があまりにもレリゴーをPRしすぎて、いつしかネット上ではいちいち叩かれる人になっていた。

※2)「アナ雪」の前にMay J.が注目されたのは、『関ジャニの仕分け∞』の「下剋上カラオケサバイバル」で26勝1敗の「カラオケの女王」として(2014年前半)。13年6月、14年3月に出したアルバムも、全曲カバーふぁ。 オリジナルのヒット曲がないのが、バッシングのもとになっている模様。

<TEXT/音楽批評・石黒隆之>