今大会初の先発フル出場で完封勝利、グループ首位通過に貢献した岩清水。決勝トーナメントに向けて、頼もしいDFリーダーの復活だ。 (C) SOCCER DIGEST

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 チャイニーズ・タイペイとのグループステージ最終戦の最大のテーマは、前節のヨルダン戦(12-0)に続き「どれだけ点が取れるか」だった。
 
 2試合を終えての日本の成績は、1勝1分け0敗の12得点・0失点。初戦は中国とスコアレスドローで、続くヨルダンから12ゴールを奪ってみせた。中国も1勝1分け0敗で、こちらは4得点・0失点(チャイニーズ・タイペイに4-0の勝利)。最終戦を前に勝点4で並び、得失点差で日本が圧倒的にリードしていた。
 
 もっとも、中国がヨルダンとの最終戦で大量得点を奪い、その差をひっくり返す可能性は否定できなかった。グループ2位になれば、準々決勝の相手は優勝候補の北朝鮮。逆に首位で通過すれば、決勝までは比較的、与しやすい相手との対戦が予定されている。
 
 結果的に、日本はチャイニーズ・タイペイを3-0で下し、一方の中国はヨルダンに5-0。“5点しか”挙げられなかった中国を日本は得失点差で大きく上回り、グループ首位通過を決めた。佐々木則夫監督も「よくやってくれた」と選手たちを労った。
 
 チャイニーズ・タイペイ戦は、開始早々の3分、有吉佐織のお膳立てから、この日はFWで先発した阪口夢穂がネットを揺らして幸先良く先制した。しかし、その後は決定機を逸したり、相手の粘り強い対応に手を焼いて、なかなか追加点を奪えない。それでも、32分、宮間あや、阪口、川澄奈穂美ら経験豊富な「常連組」が見事な連係を見せ、最後は吉良知夏がヘッドで流し込みリードを広げる。
 
 迎えた後半も攻めあぐねる展開が続いたが、85分に川澄が鮮やかなループを決めて3-0として、そのままタイムアップを迎えた。
「点を取らなければいけない試合だったから、なかなか難しかった。相手も身体を張ってきて、ハードな試合でした」
 開幕前に体調を崩して調整が遅れ、中国戦は欠場、ヨルダン戦は途中出場だったCBの岩清水梓は、この日はスタメンに名を連ね、DF陣の要として最後まで奮闘を見せた。中国とは得失点差の勝負である以上、勝利はもちろん、とにかくゴールを狙い続けながらも、「失点してしまったら、その分、マイナスになってしまう」という緊張感とともに、DFとして大きな責任を背負いながらのプレーだった。
 
 しかも、チャイニーズ・タイペイは予想していたより簡単な相手ではなかった。岩清水も「読み切れないパスもあって、ちょっと意外でした。自分のセオリー通りにボールを取れなかった部分もあった」と相手の実力を認めている。チームとして中盤から連動して奪いにかかりながら、テンポの良いパスワークでプレスをかわされることも少なくなく、「ラインコントロールでオフサイドを取りにいくシーンもなかなか作れなかった」。
 
 とはいえ、フィニッシュワークの精度を著しく欠いた相手にも助けられ、致命的なピンチはほとんどなく、岩清水は課された任務を確実に遂行し、無失点に大きく貢献した。CBでコンビを組んだ北原佳奈との連係については、「北原は高さがあるので、相手と競り合う場面は多かったし、自分はそのカバーリングに回ればいいかなと思って。カバーリングに関しては自分なりにできたかなと思いますし、北原の良いところも出せたのではないでしょうか」。
 そして久々のフル出場を、「いやー、しんどかったです(笑)」と笑顔で振り返った。まだまだ本調子ではないかもしれないが、狙いどおりの首位通過を果たしたチームの力になれたことに本人も心地のいい疲労感を味わっているようだった。
 
 ここからは一発勝負のトーナメント戦、経験がモノを言う戦いだ。DFリーダーとしてなでしこジャパンを牽引してきた岩清水は、連覇という難しいミッションを成し遂げるために欠かせない存在だ。
 
取材・文:広島由寛(週刊サッカーダイジェスト)
 
【なでしこジャパン アジア大会日程・結果】
9月15日(月)中国戦/0-0
9月18日(木)ヨルダン戦/12-0
9月22日(月)チャイニーズ・タイペイ戦/3-0
9月26日(金)準々決勝
9月29日(月)準決勝
10月1日(水)決勝/3位決定戦