首相官邸ホームページ「平成26年9月3日 第2次安倍改造内閣の発足」より

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 高市早苗総務大臣、稲田朋美政調会長のネオナチ団体代表とのツーショットに続いて、今度は山谷えり子拉致問題担当相兼国家公安委員長がヘイトスピーチを続ける在特会(在日特権を許さない市民の会)関係者と写真におさまっていたことが発覚した。
  
 この写真は2009年2月22日に撮影されたもので、山谷氏と一緒に映っていたのは在特会の関西支部長(当時)だった増木重夫氏、後に京都支部長になるN氏、在特会の関連団体「チーム関西」のリーダーのA氏の3人。ちなみにN氏は威力業務妨害で収監中である。

 山谷は記者会見で例のごとく「在特会の人とは知らなかった。政治家なので写真をといわれれば撮る」と高市とほとんど同じ言い訳をしていたが、これはどう考えても嘘だろう。実は、3人のうちのひとり、増木重夫関西支部長と山谷はこの翌年にも参議院議員会館で会っており、増木氏はその際、山谷氏と一緒に撮った写真を個人の政治活動の会報に掲載している。
 
 さらに、増木氏のホームページをチェックしていると、平成21年2月22日の日記にこんなくだりが登場する。

〈山谷先生の宿泊されているホテルへ押しかけ、少々遅い「夜明けのコーヒー」。諸々の事案を相談。いつものことながら、先生ハイテンション。あのエネルギーはどこから来るのか。「えりこ先生ホの字の会」(勝手応援団)の設立を検討中。〉

「夜明けのコーヒー」というのはさすがに冗談だろうが、「諸々の事案を相談」とか「いつものことながら」とかいう記述を読む限り、山谷えり子氏は在特会の支部長と相当に親しい関係にあり、かなりの頻度で会っていたとしか思えない。これでよく「知らなかった」などといえたものではないか。
 
 しかも、この在特会関西支部長・増木氏と交遊があった自民党議員は山谷氏だけではなかった。増木氏のホームページにはなんと、現首相の安倍晋三とのツーショットもアップされていたのだ。この写真はなぜか今は削除されており、増木氏のホームページでは見ることができないが、そのページの"魚拓"がネット上に出回っている。

「平成21年8月17日 大阪7区の応援で安倍先生が来阪」と題されたそのページを見ると、安倍首相の活動を至近距離で写したショットが6点。そのうちのひとつに、増木氏の隣で安倍首相がにこやかにほほえむ写真があった。そして写真の下には「マスキクンのこと覚えてくれてました」というキャプション。やはり安倍首相も増木氏と面識があったということらしい。

 改めていうまでもないが、在特会は韓国、朝鮮人のジェノサイド(大量虐殺)までを口にする極右団体である。その存在が国連の人種差別撤廃委員会でも問題になり、国連は日本にヘイトスピーチの法規制を勧告。これを受けて安倍首相が検討を指示したばかりだ。ところが、そんな団体の幹部と国家公安委員会委員長である山谷氏、そして現役の総理大臣である安倍氏がにこやかに交流していたというわけだ。いったいどういうことなのか。

 だが、これは別に不思議なことではない。そもそも、安倍首相をはじめとする現在の自民党の主流を担っている右派の政治家たちは数年前から、このヘイトスピーチ団体を選挙に利用し、講演会に動員するなど、緊密な関係を築いてきたのである。

 著作『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて』(講談社)で在特会の内情に肉薄したジャーナリストの安田浩一氏はこう話す。

「初期の頃は、在特会も今のように会員も多くなかったし、政界への影響力もほとんどなかった。その中で、草の根右翼としてさまざまな政治活動をしていた増木氏が在特会の関係者に自民党や維新の議員に紹介していったようです。増木氏は在特会が政界へのパイプを築く扇の要だったといってもいいかもしれません。増木氏は途中で在特会会長の桜井(誠)氏と袂を分かっていますが、その後も会員たちと一緒に政治活動しています」

 こうして始まった在特会と自民党の関係は、自民党が野党に転落したあたりからさらに深まっていったのだという。11年頃には在特会の関連団体が主催していたり、関係している憲法や歴史認識、教科書問題の講演会に自民党の議員がこぞって参加するようになった。しかも、その顔ぶれは、安倍首相が今、重用している閣僚やオトモダチの政治家がほとんどだった。山谷拉致問題担当相はじめ、有村治子女性活躍担当相、下村博文文科相、衛藤晟一首相補佐官、磯崎陽輔首相補佐官、安倍首相本人も......。

「在特会をはじめ草の根右翼の人たちは民主党政権に危機感をもち、必然的に自民党に希望を託すようになった。逆に野党に転落した自民党は、在特会やウルトラナショナリストを動員のコア・マーケットとしてとらえざるをえなくなった。両者の利害が一致したということでしょう」(前出・安田氏)

 そして、12年の自民党総裁選では、在特会は再登板の安倍首相を全面支持し、安倍首相の演説会場に必ず多くの会員が集まるようになった。さらに自民党が圧勝した衆院選、参院選では、演説する安倍首相を支持者が日の丸の小旗をふって応援するというこれまでにない光景が見られたが、そのメンバーの多くは在特会関係者だったという。全国紙の政治部記者がこう証言する。

「公にはなっていませんし、在特会側も機関決定などはしていませんが、自民党の議員が在特会関係者に選挙を手伝わせたり、動員をかけたりしているのは常識です」

 まさに、今の自民党主流派にとって在特会は、れっきとした支持団体なのだ。議員会館に出入りして記念写真を撮っていてもなんの不思議もない。

 しかし、問題は国際社会の反応である。前述したように、在特会は国連の人種差別撤廃委員会でも問題になり、日本にはヘイトスピーチの法規制が勧告されている。そんな団体と民主主義国家の政権が密接な関係を維持していくことが国際社会の中で果たして許されるのか。
 
 だが、安倍政権の面々はそんなことはまったく意に介していないようだ。9月22日発売の「サンデー毎日」(毎日新聞社)によると、ヘイトスピーチの法規制を検討する自民党PTで、メンバーの一人で安倍チルドレンでもある山田賢司衆院議員がこう言い放ったという。

「国連に"チンコロ"しているのはどんな団体か。ネットで調べると、ほとんどが朝鮮総連など朝鮮系の団体だ」
「人権をうたう団体は日本をおとしめるために人権団体と言っているだけ」

 まるでネトウヨ並みの発言だが、同誌は自民党PTに加わっている別の衆院議員もこんな本音をもらしたとも報じている。

「在特会と関連団体はあくまで安倍自民党の支援組織という位置づけ。たしかに国連の勧告は無視できないが、かと言って支援者を排除するような対策を講じれば、いずれ手痛いしっぺ返しを食らうかもしれない。のらりくらりと議論を引き延ばしつつ、規制を緩く設定できるようにしたい」

 こういう発言を聞いていると、自民党では想像以上にこのヘイトスピーチ団体の影響力が高まっているのではないか。そんな不安が頭をもたげてくる。だが、前出の安田氏はこう語る。

「みなさんは在特会の影響を危険視しているようですが、在特会はそこまで政治的に影響力のある団体ではない。むしろ、問題は在特会ではなく、政権を担う閣僚の思想が在特会とほとんど変わらなくなっているという事実でしょう。だから、高市氏にしても山谷氏にしても平気で在特会関係者やネオナチ団体幹部を受け入れてしまう。ある意味、自民党が在特会化しているわけで、そのほうがずっとこわいですね」

 ヘイトスピーチの最大の発信源は、我々が選んだ政権の内部にあるということらしい。
(編集部)