イ・ボミ(26歳)、申ジエ(26歳)、アン・ソンジュ(27歳)と、韓国人選手が台頭している今シーズン。日本人選手で唯一、彼女らと互角に渡り合っているのが、成田美寿々(21歳)だ。

 今季は、国内メジャー第1弾のワールドレディス・サロンパスカップ(5月8日〜11日/茨城県)で優勝すると、ヨネックスレディス(6月6日〜8日/新潟県)、サマンサタバサレディース(7月18日〜20日/茨城県)と、早くも自己最高のシーズン3勝を記録。加えて、フジサンケイレディス(4月25日〜27日/静岡県)、ゴルフ5レディス(9月5日〜7日/岐阜県)、日本女子プロ選手権(9月11日〜14日/兵庫県)でも2位に入るなど、頻繁に優勝争いに絡んでいる。

 2012年シーズンにツアー本格参戦を果たした成田は、初年度からツアー優勝を果たし(賞金ランク27位)、2年目も1勝を挙げる(賞金ランク21位)など、能力の高さはもともと認められていた。それにしても今季、これほどの飛躍を遂げられたのは、どうしてだろうか。その理由を尋ねると、成田はひと言、こう語った。

「自信に満ちあふれているからですかね」

 確かに今季の成田は、昨年までとは違って、堂々としたプレイぶりを見せている。はたして、その自信はどこからきているのか。ひとつは、成田が「誰にも負ける気がしない」と自負する、オフのトレーニングにある。

 フィジカルトレーニングでは、とにかく走りまくった。300m、400m走をこなして、30mのシャトルランも「肺が潰れるかと思った(笑)」というまで繰り返した。それが終わってからは、室内でウエートトレーニングをみっちり消化。連日行なわれたそのメニューは、成田のコーチを務める井上透氏が、「おそらく、女子プロでこのトレーニングをこなせる選手は誰もいない」というほどのハードさだった。

 それをやり遂げたことが、何より自信となった。そして、肉体を強化したことによって、「スイングの軸がブレなくなりました」(成田)と、トレーニングの成果が身を持って感じられたことが、さらなる自信につながった。

 そのうえで、ツアー開幕後、すぐに結果が出た。4月のKKT杯バンテリンレディス(4月18日〜20日/熊本県)を6位タイでフィニッシュすると、続くフジサンケイレディスで2位タイ、それから2戦後のサロンパスカップで優勝した。おかげで、ますます自信に満ちあふれることができた。

 また、成田は強烈な反骨心を持っている。「エリートに負けたくない」という意識だ。それが、彼女の強さの秘密でもある。

 成田は中学時代、ゴルフは週に1回練習する程度で、本格的に始めたのは高校に入ってからだった。そのため、早くからゴルフを始めた選手たちとは、その時点では大きな差があった。ゆえに、アマチュア時代は苦い思いばかりしてきた。

「私は子どもの頃から運動神経が良くて、何をやっても器用にこなして、どんなスポーツでも人並み以上のことができていたと思います。でも、ゴルフだけは違いました。私よりも上手い選手がたくさんいて、ジュニア時代に私がナショナルチームのメンバーに選ばれることはなかった。そういうことがあって、『ゴルフで成功してやる!』という気持ちが一段と強くなっていったんです。だから、(アマチュア時代に)ナショナルチームに入っていたようなエリートの子たちには、絶対に負けたくないんです」

 さらに特筆すべきは、成田はそうした反骨心やハードトレーニングをこなしてきた苦労を表に出さないことだ。試合中は終始笑顔を絶やさず、楽しそうにプレイしている。

「笑うことはいつも意識しているんですよ。ミスをしたら怒って、感情をあらわにする人もいますが、それでスコアが良くなるわけではありません。それに、精神的に不安定だと、ズルズルと(ミスを)引きずってしまうこともあると思うんです。そうならないように、笑顔でいることを心掛けています」

 そうは言っても、緊迫した試合が続く中で、ずっと笑顔でいることはそんなに簡単なことではない。

「実は、アマチュアのときに一度だけ、感情を表に出してしまって、失敗した経験があるんです。それで、もう同じミスは繰り返したくないなって思ったんですよ。基本的に、楽しくプレイしたいですしね」

 今や日本人トッププレイヤーに成長した成田。注目度が一気に増して、練習日には取材が殺到している。そんな多忙な日々も、彼女は楽しんでいる。

「注目されるのが好きなので、(取材されるのは)ありがたいことだと思っています。昔はこうして取材を受けることもなかったですし、本当にうれしいんですよ」

 さて、いよいよツアーは終盤戦に向かっていく。現在、成田は賞金ランキング4位。3位のアン・ソンジュとは約450万円差、2位の申ジエとは約650万円差、1位のイ・ボミとはおよそ1880万円の差がある。しかし今後、高額賞金の大会が続くことを考えれば、逆転の可能性は十分にある。賞金女王について、成田はどう考えているのだろうか。

「(賞金女王は)もちろん、狙ってますよ! 終わってみたら賞金女王でした、というよりも、(賞金女王の)タイトルを意識して『獲ります!』って宣言して、獲ったほうがいいですよね? それに(タイトルを)意識したほうが、気合いの入り方がまったく違いますから。とにかく、日本女子プロ選手権は惜しくも勝てなかったですけど、メジャー大会のように賞金額が大きな大会で上位に入ることは大事だと思っています。優勝できるかどうかはそのときの運もありますから、まずは毎回上位争いができるようにしたい。そうすれば、自ずと賞金女王は見えてくると思います」

 かねてから公言している成田の最大目標は、オリンピック出場。賞金女王というタイトルを手にすることができれば、夢の実現に一歩近づくことになるのではないだろうか。

text by Kim Myung-Wook