「イラクに感謝」と手倉森監督…敗戦による“気付き”経て、アジア大会決勝Tへ

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「イラク様々です」

 ネパールを4−0の大差で下し、2勝1敗の戦績でグループリーグ突破を決めた9月21日、アジア大会に臨んでいるU−21日本代表を率いる手倉森誠監督はそんな言葉を残した。

 今大会のイラクと言えば、グループリーグ第2戦で日本を3−1で沈めた怨敵なのだが、手倉森監督は「イラクに感謝したい」とまで言う。「イラクと予選リーグで戦えて本当に学んだことが実は物凄く多かった。自分たちの足りない部分を気付かされた。そのおかげで2勝1敗でも、かなり力を蓄えて決勝トーナメントに行ける実感がある」と言う。

 足りない部分を具体的に言えば、チームとしての守備の備え方であり、試合運びの部分が相当するが、個人に関してもそうだ。たとえば「コンタクトスキルも技術の一つ」ということは手倉森監督が言っておきたかった部分には違いないのだが、言葉で言っても「足元の上手さ」に至上の価値を見てしまう選手には伝わらない面がある。それが実際にイラクに対してコンタクトで負けた部分を切り出して伝えることで、綿が水を吸うように自然と頭に入っていくことがある。

「内容では負けていなかった」とはイラク戦後に多くの選手が口に出していた言葉だが、逆に言えば「内容では負けていないのに、なぜスコアの差がついたのか」を突き詰めることでチームとしてのベースアップが進む。そんな目安が得られたという感触こそ、指揮官が「イラク様々」と語る理由なのだろう。

 そのイラクと再戦するとしたら、決勝トーナメントの最終日しかない。「7試合したい」と語ってきた手倉森監督にとって、選手たちを最終日までモチベートしていく上で、これまた好都合だったのかもしれない。

 決勝トーナメントは初戦でパレスチナ、そして準々決勝では地元・韓国との対戦が濃厚な組み合わせとなった。イラクへのリベンジの前に、まずは「7試合」が確定し、2度のメダルマッチを経験できる準決勝進出が一つの大きな目標と言えそうだ。

 2年後のリオ五輪を目指すU−21日本代表。学び多き大会で少しずつ成長を見せている若きイレブンが、より大きなブレイクスルーを遂げられるか。「負けたら終わり」(野津田岳人)の決勝トーナメントでその真価があらためて試されることとなりそうだ。

文=川端暁彦