覚えておきたい弔事マナーとその意味「神式葬儀の香典の表書きは『御玉串料』」

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弔事は非常にマナーが重視される場面です。日本で弔事と言えば仏式で行われることが多いですが、みなさんはそのマナーをきちんとマスターしていますか?

今回は、一人の大人としてぜひとも覚えておきたい弔事のマナーと、そのマナーが持つ意味についてご紹介したいと思います。教えてくださったのは、マナー講師・平松幹夫先生です。

■1:まずは、目的や理由を理解すること

「『香典の書き方は?』『焼香の仕方は?』『服装は?』など、弔事マナーに関する疑問はたくさんあると思います。しかし、そういった形式だけではなく、なによりも『葬儀の目的は何か?』『お経はなぜあげるのか?』といった、基本的な目的や理由を十分理解することが大切ではないでしょうか。

日本の葬儀は仏式がほとんどですので、仏教の知識なくしては語れません。そこから理解していけば、自ずとマナーも身についていくはずです」

■2:熨斗袋の書き方

「熨斗袋は、仏や霊をどのようにとらえるかによって、表書きが異なってきます。葬儀の際に持参する香典の表書きは、『御霊前』が一般的。これは、『人が亡くなってから仏になるまで49日要するから』というのが、その理由のようです。

しかし、人は亡くなるとともに仏になるという、別の考え方もあります」

■3:そもそも、「香典」とは?

「香典とは、本来焼香のときに使用する『香の代金』のこと。香は大変高価なもので、焼香用に参列者が持参していたのですが、次第に香の代わりに米などを持参するようになりました。喪主はその米をお金に換えて、葬式費用に充てていたようです。

お米から現金に変わったのは、昭和のはじめか、中ごろからでしょうか。私は、この香典本来の意味から、香典の表書きは『御香典』と書くようにしています」

■4:仏式葬儀の香典

「黒、白、銀の結びきりの水引で、表書きは『御霊前』『御香典』『御香料』とするのが一般的。下には、贈り主のフルネームを書きます。この場合、できれば薄墨をお勧めします。『突然だったので、ゆっくり墨をする時間がありませんでした』『悲しみの涙で、墨が薄くなりました』という理由からです」

■5:神式葬儀の香典

「表書きは『御玉串料』。白、黒、銀の結びきりの水引を使用します」

■6:仏式法要の不祝儀袋の表書き

「仏式の法要に際して不祝儀袋を準備する場合、『お供えものにかえて』という意味から、表書きは『御供え』とします。下には贈り主のフルネーム、水引は白、黒、銀、黄などを使用します」

■7:忌中と喪中

「昔は、死者が持っている穢れは亡くなってしばらくの間、その身内などに移ると考えられていました。そのため、その一定期間中、遺族は周囲の人と交際を絶つ必要があり、その期間(49日間)を『忌中』と言います。

これはなかば強制的なものですが、その期間が終わると自粛の必要がなくなります。その後、自粛するかどうかは自主性に任せられることとなり、その期間が『喪中』と呼ばれます」

■8:喪中ハガキへの返信

「喪中ハガキは『年賀欠礼』、つまり正月は喪に服すため、年賀状を出すのは差し控えることを知らせるものです。そのため、喪中ハガキを受け取ったら、その送り主に対して年賀状を出すことは、こちらも差し控えます。

ただ、どうしても返信をしたいと思うのであれば、松の内が明けてから『寒中見舞い』として出す方法もあります」

■9:喪中ハガキで訃報を知ったら?

「喪中ハガキを受け取るまで、訃報を知らなかったというケースもあるでしょう。この場合、それがたとえ一年近く経過していても、お悔やみをしていただいたら結構です。香典も遅すぎることはありませんので、事前に予約を入れて、香典持参で伺っても良いでしょう。

また、手紙と共に現金書留で送っても良いと思います」

■10:喪服はなぜ黒い?

「葬式と言えば、みなさんはどのような色を連想されるでしょうか。例外なく『黒色』ではないでしょうか? 現在は黒が完全に喪服になっていますが、日本は基本的に白でした。江戸時代までは日本の喪服は白と決まっていたのですが、明治維新後にイギリスの影響を受け、黒の喪服が取り入れられるようになったと言われています」

■11:乾杯と献杯

「慶事で行われる『乾杯』。これは、弔事の場合には『献杯』と呼ばれます。『献杯』は葬儀や法要のあとの会食の際に、唱和される挨拶の言葉。故人に敬意を表し、死を悼んで杯を献ずることです。乾杯のあとには全員で拍手をしますが、献杯のあとは拍手をしません。

また、杯は軽く上げる程度にとどめ、『献杯』と唱和し、参列者全員で黙とうします」

平松先生によると、宗教や、仏、霊に対する考え方によってマナーも変わることが多いため、自分なりの宗教観をしっかりと持っておくことが大切とのこと。普段はあまり考えることのない、自分の宗教や死について、弔事のマナーを学びながら、一度じっくり考えてみるのも良いかもしれませんね。

(OFFICE-SANGA 森川ほしの)