イラク戦ではディフェンス面での脆さを露呈した日本。いかに修正を施せるかに注目だ。(C) SOCCER DIGEST

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 ベスト8で敗退した今年1月のU-22アジア選手権の時点で、すでに手倉森誠監督は危機感を覚えていた。
 
「世界のなかの日本を考えれば、まだまだ強豪国ではない。まずは守備。ボールは握れたけど守りが脆かった、では世界で勝てない」
 
 同大会の事前合宿では守備ブロックの形成に重点が置かれていたが、その後の国内キャンプでも守備面にフォーカスした指導に力を入れていくことになる。練習後にSBだけを集めて、「この世代のSBはみんな攻撃的だが、ディフェンディングサードでのプレーで意識が低い部分がある。自陣ゴール前ではやはり『DF』でなければいけない」と、基本的な守備のやり方を教える姿も見られた。
 
 相手をつけず、放り込まれたクロスやロングボールをクリアするというメニューは何度かあったが、遠藤航は「クリアはしっかり前に飛ばすとか、足で処理するならしっかり面を作って当てるとか。そういうところの確認だと思います。そんなに難しい練習ではないですけど、でもああいう練習こそ、しっかりとやらないといけない。ディフェンスとして大事な場面だと思います」と指揮官の意図に理解を示していた。
 
 8月の福岡キャンプでも「今回は『いかに守るか』について時間が割かれていた」(喜田拓也)し、選手たちの取り組みを見て、手倉森監督も「意欲を持ってやってくれている」と手応えを得ていた。
 
 しかし、これだけの準備をしていても、本番では守備面の脆さを露呈してしまった。グループステージ第2戦のイラク戦で、たしかに右SBの室屋成はクリアミスとマークの緩さで2失点に絡んでしまったが、それが失点の直接的な原因だったとしても、遠藤は「1失点目は、(中盤の)3人でボールに行き過ぎて、クリアミスを相手にフリーで打たせてしまった」とポジショニングのまずさを反省していた。セットプレーから決められた3失点目にしても、岩波拓也は「あれは単純に僕の判断ミス。別にファウルしなくても、止められていたと思う。負けていたこともあり、少し勢いよく行ってしまった部分があった」と、危険な位置でFKを与えてしまった自身のファウルを振り返る。
 
「まだ整っていないということ」
 手倉森監督が現時点での守備力を端的に表現する。「凌ぎ切る自信はあった」というが、「90分間のトータルで考えれば、どこかでほつれ出してしまう。それはまだチームとしてやるべきことを完璧に理解し切れていないということ」と分析。個々については「選手の技術力と集中力のインテンシティーや、プレーの選択というところがまだ経験不足」と指摘する。
 
 ただ、これも「大きな経験」と前向きにも捉えている。すべてが上手く行き、7戦全勝して大会連覇できれば、それに越したことはない。しかし、指揮官が最も大事にしているのは「大会を通じて成長すること」だ。その意味で、イラク戦が選手たちをさらにステップアップするための糧となることを期待している。
 
「若い世代は勝つことで自信を得るけど、勝って、勝って、勝ち進むと、逆になにが良くて、なにが悪いのかが分からなくなってくる。特にDFっていうのは、やられて、その経験が活きて、代表クラスのDFになる」
 
 グループステージ最後のネパール戦を2日後に控えた練習でも、守備戦術の綿密な確認作業を行なっていた。DF陣の要である岩波は、CBでコンビを組む植田直通との連係について「お互いに自分のチームでやっていることは違うし、それを代表に来た時に合わせていくのは少し難しい部分もあります。でもそれが代表だと思うので、合わせていかなければいけない」とさらなるコンビネーションの熟成へ意欲的だ。
 
 具体的には「ラインコントロールの部分で、タイミングはもちろん一緒ですが、距離が離れ過ぎたり、ギャップができてしまったりというのもある。そこはふたりで常に話し合ってやっています」と語り、「もっともっと試合を通して高め合っていければと思う。この大会を通して、最後にはそういう部分を完成できればいい」という想いは、指揮官のそれと同じだ。
 
 ひとつでも多くの実戦を重ねられれば、それだけ成長するための貴重な経験を得ることができる。イラク戦の悔しさをパワーに変えて、とにかく勝ち進んでいくしかない。
 
取材・文:広島由寛(週刊サッカーダイジェスト)