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裸で横たわった女性の上に刺身などを盛り付ける「女体盛り」は、日本では余興の一部で見られることもあるようだ。カナダで飲食関係の会社が「日本の伝統」としてその女体盛りを行っていることが地元紙などに報じられると、市民団体が抗議の署名運動を始める騒ぎになっていることが分かった。

女体盛りで話題になっているのは、パーティーなどのイベントに食事を用意するサービスをしているカナダのケータリング会社「Naked Sushi」だ。

運営会社などは「日本の伝統」と紹介

そのフェイスブックなどによると、カナダのトロントで2010年に女体盛りなどのサービスを始め、14年7月15日にカナダのバンクーバーにも進出した。

自己紹介では、日本の伝統アートが体験できるとうたってあり、「われわれのスタッフやモデルたちが、伝統的な日本の優雅な雰囲気を創り出し、あなたの催しがゲストにとって忘れられないものになる」と書いている。

女体盛りのこのサービスには、ルールがあり、モデルに話しかけてはならず、体に触ることもできない。また、箸は、寿司を取るためだけに使うことが許され、卑猥で不適切な仕草や発言はしてはいけないとされている。価格は、12人以上のゲストで1人20〜85ドル(約2200〜9200円)とあった。

8月末ごろになると、地元紙などが「日本の伝統」だとしてそのサービスを報じ始めた。そして、米大手紙「ロサンゼルス・タイムズ」が同様に記事にするなどして、一躍脚光を集めた。

ところが、9月中旬になって、市民団体「SumOfUs」が女性差別だとして、ネット上でサービスの中止を求める署名運動を始めたと報じられるようになった。カナダのフェミニストたちが、「女性を物として扱い、性的役割を強調している」と怒っているというのだ。ビジネス関係の食事に利用する企業もあるといい、その場合、女性社員が困ってしまうのではないかともしている。

署名運動では、衛生面での問題も指摘しており、カナダの当局にサービスを止めさせるように促したと報じられている。

「モデルへの性的搾取はない」と弁明

こうした動きが日本のネット上でも一部で報じられると、カナダなどで「日本の伝統」だとされたことへの疑問が相次いで寄せられた。

「これは日本の伝統じゃないぞ」「温泉宿余興ですから」「またまた外国から『日本はこういう国』と思われることが起きた」

女体盛りについては、一説によると、「わかめ酒」とともに、江戸時代にそのルーツがあるともされるが、起源についてはよく分かっていないらしい。しかし、「日本の伝統」というよりも、かつて社員旅行などで行った温泉街で、宴会の余興として一部で行われていたことがあった程度のようだ。

欧米では、「ボディー・スシ」などとして、以前から一部でサービスが行われていたと報じられている。2012年7月には、イタリアの全国紙がローマ市内の日本料理店が始めた女体盛りサービスについて「日本の伝統」と報じ、物議を醸した。当時の朝日新聞記事によると、在イタリア日本大使館が「日本の食文化や習慣とは関係がない」「商売目的ででっちあげられた迷信だ」と全国紙に抗議する事態になった。この店の経営者は、香港出身の中国人女性だったという。

カナダの店を経営しているのも、日本人ではなかった。経営者のマイケル・キーナン氏は、カナダの日本食レストランで2年間働いた経験をもとにサービスを始めた。バンクーバー・サン紙は、インタビューをしており、キーナン氏は、性的搾取かと聞かれると、女体盛りにルールがあることを挙げて否定し、「これまでモデルを不快にさせたことは一度もない」と説明した。モデルは、陰部や乳首に両面テープで花を付けて隠しているともいう。食べ物も消毒された葉の上に載せているとして、衛生面でも問題はないと強調していた。

ただ、女体盛りについては、根拠などは示さずに、「芸者たちのサブカルチャーであり、武士や漁師の勝利祝いとして芸者の宿で行われていた」と説明していた。