イラク戦では、強烈なFKを突き刺された。日本にも「飛び道具」の武器が欲しいところだ。(C) SOCCER DIGEST

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 9月19日の全体トレーニング終了後、FKの別メニューが行なわれた。キッカーは5人。人型の壁を用意し、中島翔哉、原川力、矢島慎也、野津田岳人、山中亮輔が代わる代わる狙いを定め、ゴールを狙っていく。
 
「入らなさすぎ(笑)」
 間近で見ていた手倉森誠監督は、5人のキックの精度に笑顔で厳しい評価を下したが、それでも中島や矢島がコースを正確に突いたシュートでネットを揺らすこともあった。
 
 最初は5人とも同じような角度と位置から蹴っていたが、そのうちに各々が別の場所にボールをセットし始める。パンチ力のあるキックが持ち味の野津田、山中は少し距離を長くして、力強い一撃を放っていた。
 
 2日前のイラク戦では、相手のカリムに強烈な直接FKを決められている。
「昨日、改めて試合を振り返ってみたら、たくさんのチャンスを作れていたし、後半だけでも7点は取れていた。だけど、あのイラクの6番にやられただけで、『1-3で日本完敗』となってしまう。だったら、うちもFKで決められるやつを作らないといけない」
 
 キッカー5人の利き足の内訳を見ると、中島、原川、矢島の右利きが3人、野津田、山中の左利きがふたりと、バランスは悪くない。近距離から巻いて狙う中島や、長距離から豪快な一振りを見せる野津田など、様々なタイプが揃っているのも強みだ。
 
「いいね。そういうやつらに、どんな形でも点を取るっていう意識を持ってもらいたい」
 キッカー候補の5人に期待を寄せている指揮官は、FKの重要性を次のように語る。
 
「ただゴールに向かって蹴る単純なトレーニングだけど、ゲームのなかで実は大きなウエイトを占めている。決められるやつがいれば、すべてにおいてそれはアドバンテージとなる」
 
 キッカーに直接決められる技量があれば、それに越したことはないが、例えばさまざまなタイプの複数のキッカーがボールの傍に立つだけで、相手GKに迷いを与えることにもなる。さらには岩波拓也、植田直通、鈴木武蔵、西野貴治など空中戦に強い長身選手が多く、彼らに合わせるパターンを含めたトリックプレーの引き出しを増やすことも重要だ。
 
 FKに限らず、CKやスローインなどのセットプレーを新たなストロングポイントにできれば、接戦を制する確率をより高めることができるはずだ。あまり手を付けてこなかった印象のあるセットプレーのグレードアップは、手倉森ジャパンの今後のひとつの課題だろう。
 
取材・文:広島由寛(週刊サッカーダイジェスト)