U−16、アジアの戦いは4試合で幕…優れた組織力、求められる個の力

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 98ジャパンのアジアでの戦いは僅か4試合で幕を閉じてしまった。AFC U−16選手権準々決勝の韓国代表戦。98ジャパンは今大会最高の出来で試合を進めていた。前半立ち上がりから、鋭い出足と素早いパス回しを駆使して、韓国を翻弄し、クリアミスやパスミスなどを誘発させ、完全にペースを握った。

 しかし、ゴールを奪えなかった。堂安律と石川啓人の両サイドバックが果敢な攻撃参加でゴールに迫ったが、決定機を作り出すまでには至らなかった。そして、41分に韓国の絶対的エースのイ・スンウに、カウンター一発から先制弾を浴びてしまったことが、すべてを狂わせてしまった。

 韓国は完全に日本のサッカーを嫌がっていた。それは韓国に限らず、香港、中国、オーストラリアと対戦したすべてのチームが、日本の高いポゼッションに苦心し、その中で何とか打開策を見出そうとしていた。

 つまり、どの試合も日本が優位の立場でスタートしていた。対戦相手は日本のアクションサッカーに対し、リアクションサッカーで対抗しないといけない状態だった。

「相手は完全に日本対策をしてきた。これは前進だった」と吉武博文監督が語ったように、日本というアイデンティティーが確立されていた。だが、これを生かし切れなかった。相手が警戒しながらも、どの試合でもポゼッションは圧倒的に日本が上回った。しかし、結果は2勝2敗と、伴わなかった。

「選手の判断やプレーの質をもっと高めたかった。やっている方向性は間違っていないと思っている。でも時間が必要なだけに、世界大会を逃してしまったことは非常に残念」。

 吉武監督の言葉は非常に意味が深い。日本のメリットである俊敏性と勤勉さをフルに生かし、フィジカルさなどのデメリットを消していくポゼッションサッカーは、今後日本が世界で戦っていくうえで必要なものだった。しかし、それには時間がかかるし、より個のレベルアップが必要不可欠。

 今回の98ジャパンは最後のバイタルエリアでの崩し、シュートへの意識に乏しかったと指摘される。もちろんそれもあるが、それ以上に『崩すパスを出す判断』、『シュートへの判断』が乏しかった。練習から吉武監督は「シュートを打つな」とは言っていない。だが、ポゼッションの意識が強くなり、ゴール前やバイタルエリアで『決断』が必要な時に、それを出し切れなかった。細かく言えば、『選択肢』を持ちきれなかった。それは今後、彼らが身につけていかなければいけないスキルであり、それが個のレベルアップにつながる。

 だが、アジアを突破するのは紙一重。突破したからいい、できなかったから悪いではなく。なぜそうなったのかという要因を分析し、共有していくことが重要だ。日本の進むべき方向性に、更なる個のレベルアップを図るべく。98ジャパンのAFC U−16選手権敗退という事実を、決して無駄にしてはいけない。

文=安藤隆人