11月(8日〜16日)に長野県・軽井沢で開催されるパシフィックアジアカーリング選手権(以下、PACC)の日本代表決定戦が、PACCと同じ舞台の軽井沢アイスパークで行なわれた(9月11日〜15日)。

 同代表決定戦には、2月に行なわれた日本選手権ベスト4、中部電力(優勝)、北海道銀行(準優勝)、LS北見(3位)、ヒト・コミュニケーションズ(4位・札幌国際大の卒業メンバーを中心に結成されたチーム)の4チームが参加。すべてのチームが当時とは大幅にメンバーが入れ替わる中、見事代表の座を手にしたのは、2014年ソチ五輪代表の北海道銀行だった。

 日本選手権のあと、主将の市川美余らが退団した中部電力同様、北海道銀行もチームを再編。小笠原歩、船山弓枝、小野寺佳歩の3人を残して、ソチ五輪で活躍した苫米地美智子(→ヒト・コミュニケーションズ)、吉田知那美(→LS北見)がチームから離れた。しかし代わって、「それぞれ、実績と実力を兼ね備えた"個"」と小笠原が語る、元チーム青森で2010年バンクーバー五輪代表の近江谷杏菜と、札幌国際大のスキップを務めていた吉村紗也香が加入。国内屈指のタレントを一挙にふたりも獲得する大型補強に成功し、関係者の間からは「2018年平昌五輪に出るためのチームではなく、平昌五輪でメダルを獲るチームだ」という声が漏れた。

 実際、北海道銀行はその評判どおりの強さを見せた。

 各チームのスキップが集まって行なわれた大会前日の会見で、誰もが「試しつつ」「様子を見ながら」という言葉を繰り返す手探りの状態にあって、北海道銀行はレベルの高いプレイを披露。近江谷→小野寺→吉村→小笠原という百戦錬磨のメンバーを並べたうえ、「どこのポジションもできる選手。その分、安心してゲームに集中できる」と小笠原が全幅の信頼を寄せる船山がフィフス(リザーブ選手)に控える充実の陣容で白星を重ねた。

 そして、ミスが少なく、決めるべきところを決める、まさに"横綱相撲"とも言うべきゲーム運びで難なく予選を首位で突破。その隙のない強さを、対戦チームの選手たちも認めていた。

「とにかく、ひとりひとりのショットの精度が高い」(中部電力スキップ・藤澤五月)

「『ここでポイントが欲しい』というところで、質の高いショットを決めてくる」(LS北見スキップ・本橋麻里)

 決勝でも、本橋擁するLS北見相手に勝負強さを見せた。ゲーム後半から終盤にかけて連続スチール(先攻で得点すること)を記録するなど、1試合を通じて高い集中力を持続して連勝。一段とレベルアップした北海道銀行が、PACCの出場権を獲得した(同大会で2位までに入れば、来年3月に札幌で開催される世界選手権に出場できる)。

 その戦いぶりには、「国内ではもう敵なし」という声も聞こえたが、小笠原は「まだまだ、これから」と語る。そのうえで、「もっとショットがつながってくれば......」と、さらなる進化を見据えていた。

 とすれば、期待されるのは、4年後の平昌五輪。そこまでの道のりについてのイメージを聞くと、小笠原はこう語った。

「(ソチ五輪で5位となって)日本のチームとして、もっと上を狙える確信を持つことができた。今季は世界選手権が札幌であるので、まずはその舞台に立って、世界と戦えるチームであり続けたい。平昌五輪については、チーム結成時から『そこで勝つ』というのが目標だった。メンバーが代わっても、その思いは変わっていません」

 今大会の小笠原からは「集大成」という言葉が何度か聞かれ、平昌五輪への並々ならぬ決意が感じられた。平昌五輪まであと1200日余り。日本カーリング界のレジェンド、小笠原率いる北海道銀行がこれからどんな戦いを見せてくれるのか、見届けていきたい。

竹田聡一郎●文 text by Takeda Soichiro