ガーナ戦で2得点を奪うなど好調な高瀬には期待が持てそうだ。 (C) Getty Images

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 仁川アジア大会の女子サッカーは9月14日に開幕し、なでしこジャパンは15日に中国と初戦を戦う。男子と同じく連覇を懸けての大会となるが、欧州組や澤、福元ら国内のベテランが不在。優勝は可能なのか、ポイントを探った。
 
1)ガーナ戦で見えた収穫と課題は?
 
 あえて言うなら、テストすべき点をテストできなかったことが課題だ。ガーナの攻撃に歯ごたえがなく、守備陣が試される場面がほとんどなかったのは誤算だろう。クリーンシート(無失点)で終えたとはいえ、最終ラインは連係を合わせて日が浅く、実戦で修正点を洗い出しておきたかった。
 
 大量点に守られたこともあり、ガーナ戦は伸び伸びプレーできたが、経験の浅い選手たちが国際大会のプレッシャーの中でどれだけやれるかは未知数だ。グループリーグを戦いながら、いわばぶっつけ本番でブラッシュアップをしていくしかない。
 
 最大の収穫は、高瀬愛実がFWの軸にふさわしい結果を残したことか。優勝した5月のアジアカップで主力組としてプレーし、中盤との連係が成熟。ガーナ戦では、質のいい動き出しを武器に2得点を決めた。前線でコンビを組んだ増矢理花をはじめ、INAC神戸の同僚のサポートもあって縦横無尽に動き回り、決定的な仕事をした。これまで代表では持ち味を出し切れていなかったが、いまは心身ともに充実している。大会でも期待できるだろう。
 
 ガーナ戦は、主力組が退いた後半も主導権を握り、追加点こそ奪えなかったものの、前半の10本を上回る15本のシュートを放った。吉良知夏が何回か決定機を迎えるなど、フィニッシュの局面を作り出すまでのプロセスも悪くなかった。
 
2)欧州組不在の影響はどこに?
 
 欧州組はもとより、ロンドン五輪組の占める割合が、今大会のチームは3分の1。DFは五輪組だけでなく、アジアカップで見事な活躍を見せた宇津木瑠美も招集せず、ニューフェイスを2人選んでいる。国内組でも澤穂希、福元美穂といったベテランが不在だ。
 
 ただ、経験の少ない選手に戦い方のベースを浸透させるには、ピッチで「教師役」となる選手が必要だろう。教師の数が少なく、未熟な生徒が基礎を消化しきれないまま臨んだ昨年のアルガルベカップは、大惨敗に終わったことを忘れてはならない。経験不足の不安が付きまとう。
 
 チームを成長させるため、いつものように簡単な道を選ばなかった佐々木則夫監督。大会終了後、「さすがに辛口すぎた」とさじ加減を後悔することにならなければいいが……。
3)世代交代が進む可能性は?
 
 今大会で優勝、またはそれに準ずる成績を残せば、なでしこの戦力は間違いなく底上げされる。そもそも、指揮官は来年のカナダ・ワールドカップに向けて新戦力の発掘も念頭に置いている。
 
 DF陣は、高さのある北原佳奈をはじめ、明確な武器を持ったタレントが揃う。佐々木監督が語るように、「チームコンセプトを理解し、スタイルに個性がはまれば」、プラスアルファをもたらす存在になるだろう。
 
4)今大会のキーマンは?
 
 宮間あや、川澄奈穂美、阪口夢穂ら主力組は、常に高いレベルで安定。連覇を果たすには、それ以外の選手の活躍が鍵になる。今回のキーマンは有吉佐織と中島依美、そして長船加奈か。
 
 登録メンバーが18人に限られる今大会は、ポリバレントな能力を持つ有吉と中島は貴重な存在だ。中堅という立場でもあり、チームをまとめる潤滑油的な仕事も求められているだろう。
 
 長船も同様に、自分より経験が少ない若手DFをフォローする役割が期待されているはずだ。