大島の先制点を演出するなど2アシストをマークした原川。初戦勝利の立役者だ。 (C) SOCCER DIGEST

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 連覇を狙うアジア大会。クウェートとの大事な初戦に臨むにあたり、手倉森誠監督は守備的な布陣を採用した。A代表と同じ4-3-3を基本システムとするものの、この日はほぼ5バックに近い形でスタートさせ、まずは守備の安定を図りながら試合を進めた。
 
 岩波拓也、西野貴治、植田直通という高さのあるCBが中央に並ぶ最終ラインは、強固なディフェンスでクウェートの攻撃を弾き返し、両サイドやダブルボランチも高い守備意識でボールを奪いにかかり、セカンドボールへ鋭い反応を見せる。
 
 手堅い戦術でペースを掴み始めた日本は、徐々に攻撃に転じる回数を増やし、前半終了間際、待望の先制点を奪う。ゴール前に走り込んだ大島僚太が、後方からのボールを巧みにコンロトールし、左足で丁寧に流し込んだ。
 
「瞬間的に大島君が裏に抜けていくのが見えたので。決めてくれた大島君に感謝ですね」
 このゴールをお膳立てした原川力が、殊勲のチームメイトを称える。裏を狙う動きにクウェートが脆いのは、すでに分析済みだった。原川は、その弱点を突いた大島の動きを見逃さず、正確な浮き球のパスを通してみせた。
 
「短期決戦なので、初戦の重要さは分かっていましたし、勝利できたのはよかった」
 攻守両面でチームを支え、抜群の存在感を放って勝点3の獲得に貢献したのが、ボランチの原川だった。
 
 序盤は後ろに重心を置いた戦いのなか、「相手が前から来るのは分かっていたし、そこで繋いでも仕方がない」と割り切り、「裏を狙いつつ、相手を後ろ向きにさせて自分たちが前向きにプレッシャーをかけられるように」と、そう心掛けてプレーしていたという。
 
 精力的に守備のタスクをこなす一方で、前半途中から前に出ていく場面が増えていった。すると、攻撃に少しずつ厚みが生まれていく。「なかなか前でボールが落ち着かなかったし、どうしても攻撃が単発になりがちな流れのなかで、もっと自分たちの時間を作りたかった」。そうした考えは、試合中に大島とも確認し合っていたことであり、そんなふたりから日本の大会初ゴールは生まれた。
 
 後半に入り、日本はすぐに追加点を挙げてリードを2点に広げる。しかし、70分には一瞬の隙を突かれて失点を許してしまう。相手に勢いが出てもおかしくないシチュエーションだったが、失点の4分後には攻め上がっていた岩波が左サイドからのセンタリングを確実に押し込み、高まりつつあったクウェートの戦意を即座に削いでみせた。
 
 岩波のゴールをアシストしたのも原川だ。サイドを深くえぐり、「GKの前のスペースが見えたので、そこに(誰か)走り込んでくるだろうと思って」出した力強いグラウンダーのパスは、相手DFの足もとをすり抜けて岩波の下へと届いた。
 
 勝負の行方を大きく左右するふたつのゴールを演出し、ディフェンス面でも大きく貢献。手倉森ジャパンの重要なチームコンセプトである「全員守備・全員攻撃」を体現するかのようなパフォーマンスを見せた原川は、白星スタートに胸を撫で下ろしつつ、「次のイラク戦(9月17日)とか、もっと強いチームを相手に自分はなにができるかが重要。大事な試合でもっともっと存在感を出せるように。そういう選手になりたい」と言葉に力を込めた。
 
取材・文:広島由寛(週刊サッカーダイジェスト)
 
【日本 4-1 クウェート】
[得点者]
日=大島僚太(43分)、鈴木武蔵(50分、84分)、岩波拓也(74分)
ク=ナジャフ・ユーセフ(70分)