U17W杯出場逃す…韓国絶対エースの2発に沈み、98ジャパン終戦

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 厳しい現実が突き付けられた。あれほど警戒していた韓国の絶対的エースのイ・スンウに2得点を喫し、AFC U−16選手権は準々決勝で0−2の敗戦。来年チリで開催されるU−17ワールドカップの出場権を逃す屈辱を味わった。

 立ち上がりから1失点目までは、完全に日本のペースだった。日本は立ち上がりから出足が鋭く、ボールホルダーに対して複数でプレスを仕掛け、ボールを奪ってはハイテンポなボール回しで、韓国守備陣を左右に揺さぶった。

 21分にはDF下口稚葉のサイドチェンジから、左サイドのFW渡邊陽がワンタッチで落としたボールを受けたMF藤本寛也が、GKとDFの間にグラウンダーのクロス。これが韓国DFの足に当たり、あわやオウンゴールかと思われたが、GKが必死で掻き出した。25分にはFW斧澤隼輝のパスを受けた渡邊が、ペナルティーエリア内に持ち込んでシュートを放つが、枠を捉えきれない。

 良いテンポのパス回しでチャンスを作り、守備面でもイ・スンウにほとんどボールを触らせなかった。万事がうまく進んでいた。

 42分、これまでほぼノーチャンスだった韓国にチャンスがやってくる。中央でパスを受けたイ・スンウがドリブルで仕掛けると見せかけて、左サイドでフリーとなったMFキム・ジュンミンにパス。この瞬間、イ・スンウに意識が集中してしまい、キム・ジュンミンが完全に開いてしまった。そのままキム・ジュンミンに突破を許すと、今度はイ・スンウの動きを見失ってしまい、キム・ジュンミンの折り返しをフリーで押し込まれてしまった。

 完全に切り崩されての失点だった。それまでキム・ジュンミンはボールを持ったら縦にドリブルを仕掛け、日本の守備網に引っかかっていた。しかし、あの時はそのイメージを逆手にとって、瞬時にドリブルではなくパスを選択した。これに守備陣は完全に翻弄されてしまった。

 あまりに痛すぎる失点。そして、後半開始早々の47分にも悪夢は再びやってくる。今度はイ・スンウの『武器』によって、あっさりと切り崩された。ハーフウェイライン手前でボールを持ったイ・スンウは、迷いなくドリブルを開始。トップスピードに乗って、一気に相手陣内に入ると、日本は3人で囲い込むが、誰も飛びこまない。

「自分もカバーに入っていて、人数は足りていた。あそこは最悪ファールで止めるくらいしないといけなかった。でも下がってしまって、下がりながらの対応で、決断をする力が足りなかった」とDF富安健洋が語ったように、寄せきれず距離を開けたままイ・スンウのドリブルに対応してしまい、3人の数的優位も彼のスピードについて行けず、単独突破を許す。挙句の果てにはGKまでもかわされ、無人のゴールに試合を決定づける2失点目を決められた。

 その後、試合のテンポは一向に上がらなかった。韓国はあとは守ればいいだけの展開になり、ラインを下げてブロックを形成。それに対し、日本はポゼッションでは圧倒しても、肝心のバイタルエリアでスピードアップできなかった。この光景はオーストラリア戦でも目にしたものだった。攻め急がないことを冷静さと取るか、単調と取るか。正直、後者に受け止められる展開だった。

 時はいたずらに過ぎていく。後半頭に投入されたDF阿部雅志が2度の鋭い突破を見せるが、一度目はエンドラインを割ったとして、ゴールは認められず。2度目の折り返しは、シュートがバーの上を越えていった。

 そして、タイムアップの時。98ジャパンはチリへの切符を掴むことが出来なかった。連続出場は4大会で途切れた。警戒していたエースに食らった2発。組織が個に打ち砕かれた結果となった。

文=安藤隆人