歌手の佐野元春が13日、東京・代官山エリアの7会場で開幕したフェスティバル「THE BIG PARADE(ザ・ビッグ・パレード)」に参加し、トークショーを行った。

講演した内容は、メディアの変遷と共に変化してきた音楽事情について。途中、進行役から恐縮しながら聞かれた金銭面も隠さずに明かしていた。

「ダウンロード販売は収益率がいい。それでも絶対数が少なく、次のアルバム制作費にあたらない」。このことは、友人であるスガシカオとの間でも、話題にのぼったことがあったという。

壇上では、これまでの音楽ビジネスを話題にしたほか、佐野に対するイメージも語られた。ラジオでのレギュラー出演のイメージがあると振られたのだ。

すると「いろんなメディアがあるけど、ラジオが一番合っている」と話し、「いろんな音楽に出会えるから。(リスナーの方が)ふとした時に聴こえてくる曲のタイトルが知りたくなる流れがある」と想いをにじませた。

来場者と質疑を交わしたときには、子供たちがYouTubeで音楽に触れたときの「音質」に対する影響を考えた。

佐野は、そのサービスに限らず「テレビのポップスを見て、喜んでいるのは良いこと」と「音楽が生き方に関わってくる重要なアート表現だと気付く子もいるだろう」と入り口が広がっていることを示した。

その上で「前回、試みて好評だったので、18歳以下の方は僕のコンサートを無料にする」と宣言する場面も。その言葉を聴いて、観衆から「えー、スゴイ」と大きな反応があった。

「メッセージを言葉にするよりも、体で感じてもらってほうがいい」と考えを続けていた。

佐野のようなアーティストも会場に訪れた「THE BIG PARADE」は、幅広い視点から「音楽の未来」を思考し、体感する、複合型フェスティバル。トークセッションが計25枠、ショーケースライブが31組、クラブイベントが延べ24組がプログラムされている。明日15日まで開催。

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「THE BIG PARADE」 - 公式ホームページ