競泳界にニューヒロインが誕生した。パンパシフィック選手権(豪州)の4日目(8月28日)、17歳の渡部香生子が『女子200m平泳ぎ』で優勝。主要国際大会での金メダルは自身初、現地入りした平泳ぎの雄・北島康介も「すごい!」を連呼していた。

 絶賛の理由は、世代交代だけではない。
 「渡部はこれまでいなかったタイプだからです。今大会は平泳ぎで優勝しましたが、彼女は個人メドレーでも次回の2016年リオデジャネイロ五輪でメダルを狙えますから」(スポーツライター・飯山満氏)

 近年、日本の競泳陣は男女を問わず、世界のトップを争ってきた。しかし、渡部は新たな可能性も秘めている。“専門家”ではないからだ。
 「もともとは個人メドレーの選手でした。個人メドレーはバタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、自由形(クロール)。簡単に言うと、平泳ぎだけは手足を横に動かすので、他の種目と兼ねることは難しい。近年の日本の競泳陣は一つの種目を極め、好成績を収めてきました。今回のパンパシでは萩野公介が『200m個人メドレー』で金メダルを獲得しましたが、種目別の平泳ぎには出場していません」(飯山氏)

 渡部は『200m個人メドレー』と『100m平泳ぎ』の日本記録保持者でもある。今までいなかった、個人メドレーと平泳ぎを兼任できる“ニュータイプ”と言っていい。
 「14歳で挑戦したロンドン五輪は振るいませんでした。14歳というだけで『岩崎恭子2世』とTVメディアが安易な呼び方をしていました」(現地入りした報道関係者)

 関係者によれば、中学生だった当時は“対世界”の緊張感にも呑み込まれ、大人である他の日本競泳陣にも気を使っていたという。今回のメダル獲得で周囲への気遣いもなくなるだろう。
 「好きな歌手はレディー・ガガ。プール外ではイヤホンで好きな音楽を聴いている、おとなしい子ですよ」(前出・関係者)

 手足を左右に開く平泳ぎと、縦に動かすバラフライなどでは、当然、筋肉の付き方が違う。ロンドン五輪敗退後はメンタル面に重点を置いてきたが、今後は平泳ぎと他3泳法に適した筋力トレーニングもやっていく予定。まだ“世間ズレ”していないところで好感を呼んだが、次回はレディー・ガガ同様、露出度でも勝負してもらいたいものだ。