慢性頭痛の中で代表的なのものは、ストレスや肩凝りが誘因となって起こる「緊張型頭痛」だ。これに対し、頭痛の程度がひどく光やにおいを敏感に感じたり、前兆をともなったりする頭痛は、俗に言う片頭痛と呼ばれる。
 この片頭痛は、脳の三叉神経からの神経伝達物質の放出や、血管の拡張が根本的な原因とされる。しかし、一般的な消炎鎮痛薬はあまり効果が期待できず、他の市販薬でも効果がないことが多い。
 しかし、片頭痛が起きたとき、『トリプタン製剤』と、予防の効果が期待できる抗うつ薬、抗不安薬を処方すると効果が得られると、医療関係者は言う。

 トリプタン製剤は2000年に初めて保険適用となった薬で、片頭痛の第一選択となる。強力な血管収縮作用を持つ神経伝達物質の一つで、セロトニン受容体に直接作用する。また、「効き目が早く表れる」「長時間効果がある」など異なる5種類があるのが特徴で、錠剤、注射剤のほか、水なしで飲める口腔錠や噴射する点鼻薬、自分で注射できる自己注射キットなどがあがる。
 「どのような場合でも、自分に合った種類の薬を病院で処方してもらい、痛みが出始めたらタイミングを逃さず早期に使用することが重要になってきます」(医療関係者)

 いずれにしても、予防薬というのは頭痛が起きる回数や程度を軽くし、日常生活への影響を抑えることを目的にしている。日本頭痛学会理事の一人も「予防薬の役割は、頭痛になりやすくなっている状態を改善すること」と語る。慢性化した片頭痛などで予防の対象になるのは、1回の頭痛で3日間寝込んでしまうような人、週2回は酷い頭痛に襲われる人、治療薬が効かない人、頭痛への恐怖感が大きい人など。ただケースバイケースで判断しているという。
 効果を見極めるには、2カ月間の服用が必要で、片頭痛の頻度や痛みの程度がコントロールできるようになれば、薬の量を少しずつ減らしていくことになる。
 また、命に別状のない慢性頭痛(一次性頭痛)に比べ、くも膜下出血や脳腫瘍などの脳疾患に伴う危険な頭痛(二次性頭痛)の場合について、前出の専門家(脳神経科)は「後頭部をバットで殴られたような激しい痛みや嘔吐があれば、脳障害を疑った方がいい」と話す。

 また、後頭部がピリッと痛む「後頭神経痛」のケースもある。頸椎から出ている神経が圧迫されて起きる痛みなので、この場合、頭痛の治療薬は効かず、神経痛の薬が必要になるとされる。
 「片頭痛を患う患者さんは、辛い症状がいつまで続くかと不安に感じます。おおむね20歳くらいから片頭痛の特徴が表れはじめ、30代でピークとなり、その後は小康状態になる。しかし40代くらいから再び始まる頭痛は“緊張型頭痛”に移行しており、痛みから薬に頼り過ぎて“薬物乱用頭痛”に陥りやすい。市販薬などの飲み過ぎに注意し、なるべく鎮静薬やカフェインが配合されていない薬を使うようにしてほしい」(神経科の専門医)

 とにかく「頭痛持ち」で悩む人は、頭痛と神経痛の併存もあるので、自己判断で市販薬を飲み続けるのは注意が必要。くれぐれも“薬物依存症”にならぬよう、頭痛の専門医の受診を勧めたい。