クウェート戦では持ち前の高さを生かして、攻守両面での活躍が期待される。	(C) SOCCER DIGEST

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 あの時もチームを救ったのは岩波拓也だった。
 
 2年前のU-19アジア選手権。翌年のU-20ワールドカップ出場権を懸けた戦いで、日本は初戦のイラン戦で0-2とまさかの完敗……。続く2戦目の相手は、クウェート。この試合で同大会初先発を飾った岩波は前半のロスタイム、セットプレーのチャンスでゴールを決めると、本業の守備でも相手を無失点に抑えて、勝点3獲得に貢献した。結局、日本はその後、準々決勝でイラクに敗れ、世界行きの切符を逃すことになるのだが、グループリーグ敗退が危ぶまれた日本を蘇らせたのは、岩波のクウェート戦の決勝点だった。
 
 今回のアジア大会の初戦の相手は、そのクウェートだ。相手選手も、味方の顔ぶれも、チームが置かれているシチュエーションも当時とは異なるが、日本にとっては同じように重要な一戦だ。岩波は、ふたたびチームを勝利に導く活躍ができるか――。
 
「アジアの対戦国は、Jリーグなどと比べて、セットプレーの守り方で多少、甘いところがある。あの時(2年前の対戦時)もそこを狙って、1-0で勝てた。明日は開幕戦だし、苦しい試合になると思うけど、そういう時にセットプレーで取れると大きいと思う。僕も含めて、チームには長身の選手がたくさんいるので、狙っていきたいし、そこで差をつけられれば勝てると思う」
 
 前日練習ではこんなシーンがあった。守備にフォーカスしたフォーメーション練習が始まる前、通常なら手倉森誠監督の説明があってスタートするのだが、その時は指揮官の大きな声が飛ぶ前に、ペナルティーエリア付近で数人の選手たちが集まり、なにやら話し込んでいた。
 
「3バックの時に、べったり引くのか、ボールに行くのかを確認していた。試合になれば状況は変わってきますが、そうなればまた話し合いたいし、今日もまだ時間があるので、みんなとしっかりコミュニケーションを取っていきたい」
 
 この「即席ミーティング」は、岩波が音頭を取った。自分が思うこと、疑問に感じることがあれば、自ら積極的に声をかけるという。このチームでは最年少にあたるが、「中心になっていかないといけないと思っている」と意識は高い。
 
 クウェート戦では、CBのスタメンとしてピッチに立つ可能性が高い。攻守でフル回転の働きが期待できる20歳の奮闘に注目だ。
 
取材・文:広島由寛(週刊サッカーダイジェスト)