頭がズキズキ痛んで何もやる気がなくなる--。そんな慢性頭痛に悩む人は多く、日本人の4人に1人は“頭痛持ち”とさえいわれる。しかも、しつこい痛みを断ち切ろうと市販の鎮痛薬を使い過ぎて“薬物乱用頭痛”に陥るケースが少なくないというから注意が必要だ。

 片頭痛を含む慢性頭痛には原因がはっきりしない場合も多く、女性ホルモンの関係から生理前後の女性に発症することが多い。
 まずは、ある患者の例を紹介しよう。

 神奈川県に住む女性(43)は、20年以上前から片頭痛に悩まされている。昨年暮れの大掃除の後、重い症状に見舞われた。保冷剤で目の周辺を冷やし、部屋を暗くして2、3日寝込んだ。市販の鎮痛薬を1日2剤飲んでいるが、低気圧が近づいたり、睡眠不足、生理期に直面すると片頭痛が起きる。酷い時は月に6、7回、少ない時でも月に2、3回ある。しかし、頭痛が起きそうなときは朝早めに鎮静薬を飲むことで、薬の服用を減らすようにしているという。
 東京多摩医療センター脳神経科担当医が説明する。「慢性頭痛にはいろいろなタイプがあります。この女性のような片頭痛の患者は、男性を含めると日本に約800万人いますが、何よりも早期に適切な治療を受けることが重要です」
 その上で、薬の種類によって適切な服用のタイミングが異なることを理解しておくことが大切だという。

 例えば、鎮痛剤が効かない人が使う治療薬『トリプタン製剤』や、経口タイプ、鼻に噴霧するタイプは、頭痛が起きる前の前兆期には効かないが、頭痛が始まった早い段階で使うと効果が高い。一方、注射タイプの場合は痛みが比較的酷い時に良く効くという。
 また、『エルゴタミン』という飲み薬は、前兆期から頭痛の初期に使うと効きやすく、頭痛にならずに済むこともある。非ステロイド系消炎鎮痛薬は、前兆期から中等度の痛みが生じた時が適している。ただし、これらの使い過ぎは避けなければならない。

 都内で総合医療クリニックを営む久富茂樹院長はこう言う。
 「軽い頭痛で服用していくと、その人が持っている痛みを感じるレベルが下がってしまう。以前は軽い肩凝りと思っていたものでも頭痛に感じてしまうようになるのです。薬の過剰な服用は慢性頭痛になる可能性があり、別名“薬物乱用頭痛”とも言います。気を付けてほしいですね」

 薬物乱用頭痛を起こすのは、処方される『トリプタン製剤』や『エルゴタミン』など、複数の成分による鎮痛剤を1カ月に10日以上の頻度で使っているか、これらの薬や単一成分の鎮痛剤を月に15日以上複数服用している人とされる。

 市販薬の鎮痛薬も同じだという。
 「3日に1回の服用でも薬物乱用頭痛になります。それなら頭痛の専門医を受診して、適切な予防薬を使う方がいいということになります」(同)