さあ、ラグビーのシーズンがやってきた。トップリーグに続き、13日、関東大学の対抗戦、リーグ戦両グループが開幕する。焦点は、王者帝京大の6年連続の大学日本一が成るかどうか、である。昨季よりさらに戦力充実。とくにFW力がアップし、連覇への死角はまず、見当たらない。

 長野・菅平高原で開かれた夏合宿のテーマが『プレッシャー』だった。「いいプレッシャーを受けたら、いいプレーができる」と、帝京大の岩出雅之監督は言葉に余裕を漂わせる。「ここまでは、しっかりやり切ったので、あとは学生たちがシーズンでどう、熟成していくか、です。全体的にFWがオモシロくなりつつありますね」

 早大との夏の練習試合では、49−12と圧勝した。もう強いのなんの。タックルを受けても、なかなか倒れない。持ち前のフィジカルの強さを生かし、接点、ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)で優位に立ち、早大ディフェンスを蹴散らした。

 日本代表育成選手のフッカー坂手淳史ほか、プロップ森川由起乙、主将のSH流大(ながれ・ゆたか)、2年生コンビのSO松田力也、FB重一生(しげ・いっせい)......。し烈な部内競争の中で、プラチナのごとき素材が輝きを増している。しかも基本に忠実。倒れたらすぐ、立ち上がる。パスしたら、すぐフォローに走るのだ。

 この時点での昨季との大きなちがいは、スクラムの安定である。パナソニックのスクラムコーチでもある元日本代表プロップの相馬朋和がFWコーチとなり、8人でスクラムを組む意識を徹底させている。相馬コーチは「勝つチームの文化ができ上がっている」と後輩たちの強さの秘密を説明する。

「単純にフィジカルの部分が他校より、強いですね。体も大きい。特に下半身が。そんな連中が、しんどいことに文句を言わず、競い合っているのですから、そりゃ、強いに決まってますよ。スクラムも本数組めば、まとまりが自然と出てきます」

 ついでにいえば、日本代表育成選手のロック小瀧尚弘もいる。昨季のレギュラー組のCTB権裕人、森谷圭介らもいずれ、ケガから復帰してくる。いったい、どこまで強くなるのか。あえて不安といえば、経験不足のFB重のキック処理ぐらいか。

 これほど強いとふつうは選手たちに油断が生まれるのだが、岩出監督の好指導ゆえか、それが微塵もない。シーズンを通し、FWがよりパワーアップされれば、「打倒!トップリーグ上位」も射程圏内に入ってくるだろう。

 帝京の『連覇ストップ』の一番手はやはり、早大だろう。帝京大に完敗したが、試合の入りは悪くなかった。大学選手権準優勝の昨季のレギュラーからFWは8人中6人が抜けた。とくにフロントロー陣の強化が課題か。スクラムはプロップの高橋俊太郎、佐藤勇人らが強くなったが、昨季と比べると、コンタクト力、ディフェンス力が見劣りする。

 190センチの2年生ロック、桑野詠真の成長が頼もしい。そして、1年生SH杉本頼亮(京都・桂高)が楽しみ。故障で戦列離脱中のフランカー布巻峻介、日本代表FBの藤田慶和が戻って初めて、「打倒!帝京大」が見えてくる。

 今季の早大のテーマは『反応とクレバーさ』である。後藤禎和監督は「数で勝つ」と言い続けている。つまり、クイック展開、すぐに立ちあがり、走り勝つラグビーである。

「鍛練あるのみ。ことしもスクラムにはこだわる。フィジカルの部分で極力、追いついて、あとはメンタル、創意工夫です。クレバーさで勝負します」

 ポイントはSO小倉順平のゲームメイク。速いテンポで球が回れば、日本代表育成選手のWTB荻野岳志、1年生WTB本田宗詩のスピードが生きてくる。

 昨季は関東大学対抗戦で5位に沈んだ明大だが、いつもFW前5人の潜在能力は高い。FW、BKのバランスも悪くない。素材はいいのだ。とくに夏合宿でケガから復帰した180センチ、88キロ1年生CTB、梶村祐介(報徳学園高)は光っている。ただ『打倒!帝京』は看板の「強力FW」の復活にかかっている。とくにスクラムの強化である。

 上の2つが当たる伝統の早明戦(12月7日)の会場問題は一転二点した。国立競技場が建て替えのため使えないので、東京ドームで開催しようとしたが、ゴールのポール設置などの条件が整わず、結局、秩父宮ラグビー場での開催となった。事情はあろうが、発表が開幕直前とは。両校ラグビー部関係者やファンのことを考えると、決定が遅すぎないか。

 筑波大は主将のSO松下真七郎、日本代表WTB福岡堅樹らがならぶバックスは迫力十分。ただSO山沢拓也のケガが痛い。慶大は持ち前の「結束力」で波乱をもくろむ。

 リーグ戦グループでは、昨季3位の大東大が夏合宿の練習試合で好調だった。かつて日本代表で活躍したシナリ・ラトゥ前監督の長男、CTBウィリアム・クルーガー・ラトゥは父親譲りの突破力を見せる。WTBホセア・サウマキと並ぶバックスは他校にとっては脅威となろう。

 このほかリーグ戦では2年目の谷崎重幸監督率いる法大ほか、留学生パワー健在の流通経済大もリーグ優勝をめざす。東海大はチーム作りでもたついているようだ。

 なお対抗戦とリーグ戦の各上位5チームが年末からの全国大学選手権に進み、大学日本一を争うことになる。磐石の帝京を阻む大学は出てくるのか、そして、2019年W杯で日本代表を担(にな)う逸材が登場するのか、注目していきたい。

松瀬 学●取材・文 text by Matsuse Manabu