懸念される攻撃面で明快な結果を残せれば、快進撃を見せる可能性は十分にある。鈴木らアタッカー陣のゴールが期待される。(C)  SOCCER DIGEST

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ポイント1)手倉森監督が標榜するサッカーとは?
 
 ベースとなるのは「全員守備・全員攻撃」。ピッチに立つ11人が攻守両面で積極的に動き、躍動感溢れるサッカーを展開する。手倉森誠監督は「個人に頼るのではなく、全員で作り上げた時、それがストロングポイントとなり、強いチームになる」とチームが目指す方向性を示している。
 
 まずは守備から入り、安定したビルドアップでボールを前に運ぶ。縦パスを起点に連動したアタックで中央から切り崩すか、あるいは両サイドからの厚みのある攻撃を仕掛ける。ハイプレスからのショートカウンターも武器のひとつだ。
 
 さらに指揮官が重視しているのが「柔軟性と割り切り」だ。
 
 前者に関しては、これまで4-3-3や4-4-2のほか、3バックや5バックなどもテストしているが、複数のシステムに対応するだけでなく、状況に応じて自分たちでシステムを変えていく判断力を選手に求めている。
「頭を柔らかくしておけよっていう話はしているし、理解力があるチームなので可能性を感じています」
 指揮官はこう語り、選手の判断で臨機応変に戦っていく考えを明らかにしている。
 
「割り切り」とは、なによりもチームの勝利を優先するということだ。例えば2-0でリードしているシチュエーションで、リスクマネジメントを怠らず、確実に試合を終わらせる。あるいは、理想とする戦い方ができなくても勝負に徹するという考え方だ。
 
 まずはチーム一丸となって全員が攻撃と守備の両方に全力を注ぎ、豊富なバリエーションと個々の自立性を織り交ぜながら、勝利至上主義を貫く。それが手倉森ジャパンのスタイルだ。
 
2)チームの長所と短所は?
 
 今年1月のチーム立ち上げから主軸の顔ぶれに大きな変化はなく、土台は着実に固まっている。
 
「みんな仲が良いし、練習のなかでも、もっとこうしたほうがいいんじゃないか、という声も増えてきている。お互いに高め合っていこうとする意識がすごくある」(喜田拓也)と、切磋琢磨できる環境ができ上がっているのもポジティブな点だ。
 
 戦術的には、これまでのキャンプでは守備の強化により多くの時間が割かれ、手堅い戦いが期待できる一方、攻撃面に関してはまだまだ「未開発な」部分が多い。相手に守りを固められた時、それを崩し切るための引き出しは十分とは言えないか。Jリーグで出場機会に恵まれず、実戦経験の乏しい選手が少なくないのも不安要素のひとつだろう。
3)今大会のキーマンは?
 
 主に左サイドを担当する中島翔哉(FC東京)の出来が鍵を握りそうだ。卓越したテクニックを駆使して、独力で局面を打開できるアタッカーで、ゴールへと向かう強い姿勢で攻撃をリードする。
 
「ボールを受けたら、なんでもできる。(DFを背負った状態でも)前を向けるし、そこに周りが絡んでくれれば、もっと良い攻撃ができると思う」
 
 自らの能力には絶対の自信を持つ。今年1月のU-22アジア選手権では、4試合に出場してチームトップの3ゴールを記録するなど、非凡な得点力も魅力だ。
 
 相手DFを翻弄するドリブルはもちろん、正確なパスでチームメイトの良さを引き出せる。やや守備重視のチームカラーのなか、攻撃が手詰まりになった時、背番号10を背負う中島の個の力が、ゴールへの道筋をつけるはずだ。
 
4)日本の連覇の可能性は?
 
 とにかく初戦のクウェート戦に勝つことが重要だ。次に対戦するイラクはグループ内で最も力のある最大のライバルで、万が一、初戦でつまずけば、いきなり2連敗でグループリーグ敗退という最悪のケースも考えられる。どの大会でも初戦が大事なのは当然だが、勝点3が計算できる格下のネパールが3戦目に控えていることを考えても、クウェート戦で最低でも勝点1は獲得しておきたい。
 
 ただ、「死の組」とも言えるこのグループDを突破すれば、チームに勢いと自信が付くはず。ベスト16で当たるグループCのチーム(オマーン、パレスチナ、シンガポール、タジキスタン)はどこが勝ち上がってきてもそれほど難しい相手ではなく、ベスト8も見えてくる。
 
 4強入りを懸けた戦いでは、開催国の韓国か、U-22アジア選手権で準優勝のサウジアラビアとぶつかる可能性が高い。現時点でのチーム力や完成度を考えると、厳しい戦いを覚悟しなければならない。
 
 ベスト4までの道のりは険しく、連覇は決して簡単なミッションではない。勝ち進みながら、チームがさらなる成長と進化を遂げること。それが大会連覇の条件と言えるだろうか。
 
文:広島由寛(週刊サッカーダイジェスト)

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