武藤(14)と柴崎という、いわゆる「プラチナ世代」の活躍は収穫。一方、とくにインサイドハーフなど人選の見直しが必要だろう。 (C) SOCCER DIGEST

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 実に爽快な2ゴール――。しかも近年の日本代表ではあまりお目にかかれなかった、ハビエル・アギーレ監督の哲学が反映されたダイナミックさとスピードに溢れた形で崩したところに、ベネズエラ戦のゴールの価値はある。
 
 1点目は自陣右サイドの深い位置から前線に大きく蹴り出したボールを岡崎慎司が競り合い、相手DFのクリアをハーフライン付近で拾った武藤嘉紀がドリブルで切り込み、最後は豪快に左足を振り抜いて決めたもの。
 
 2点目も自陣左サイドの深い位置でのクリアを武藤と柴崎岳が1タッチ、2タッチの素早いパス交換で突き進み、左サイドの岡崎へ展開。岡崎はドリブルで縦に突っかけると、左足で中央にクロスを送り、一連の攻撃の起点となった柴崎が走り込み右足のボレーで叩き込んだ。
 
 ともにボールを奪ってから手数と時間をかけずに相手ゴールへ迫ったダイレクトプレーのお手本のような展開で、ベネズエラの守備陣形が乱れていた隙を突く鋭利なカウンターアタックだった。
 
 そしてゴールという結果を残したふたりが、1992年生まれの「プラチナ世代」だったことも、日本サッカー界にとって大きな意味を持つ。
 
 宇佐美貴史(G大阪)や宮市亮(トゥベンテ)に代表されるこの世代は、特に攻撃陣に多くの好タレントを擁し、早くから将来を嘱望されていた世代だ。しかし、2011年のU-20ワールドカップ出場を逃し、2012年のロンドン五輪に出場したチーム(1989年から1992年生まれの選手とオーバーエイジ2選手で構成)では、最年少世代だったこともあり、メンバー入りを果たしたのは宇佐美と杉本健勇(C大阪)のふたりのみで、いずれも本大会では控えに。そして昨年のブラジル・ワールドカップに臨んだ23人のリストには、ひとりも入らなかった。
 
 国際舞台で輝けないプラチナ世代――だが、4年後に25歳から26歳となる彼らは、間違いなくロシア・ワールドカップで中核を担うべき人材である。プロ入り後も鹿島で着実にキャリアを積み重ねた柴崎と、大学経由でA代表に上り詰めた武藤。対照的な道を歩みながら、ともにベネズエラ戦のピッチに立ち、「一番重要なのは、新しく代表に来た選手が良いプレーをし、結果を残したこと」とアギーレ監督に言わしめたふたりの代表初ゴールは、今後、世代全体を活性化するきっかけになるかもしれない。
 もっとも、ベネズエラ戦での日本代表のパフォーマンスに目を向ければ、その内容は決して褒められたものではなかった。
 
 守備に関しては、2試合で喫した4失点はいずれも個人の軽率なミスが絡んだ、お粗末なもの。守備強化を掲げるアギーレ監督にとっては許しがたい行為だろうが、チーム発足から日が浅いこと、4-3-3のシステムに慣れている選手が少ないことを考えれば致し方ない部分もある。今後は「アンカー・森重+CB吉田」を軸に、アジアカップに向けて人選の見直しと連係強化が図られるはずだ。
 
 それ以上に、攻守両面において、今後の最大のキーポイントになりそうなのが森重の前の2枚、インサイドハーフの人選をどうするか、である。
 
 ベネズエラ戦の前半、細貝萌と柴崎が自陣で致命的なミスを立て続けに犯したように、相手のプレッシャーの前に日本はなかなかリズムを掴めず、それが守備に不安定さを生じさせる一因にもなった。
 
 もちろん、最終ラインから両ウイング、あるいはCFに長いボールを当てていくのがアギーレが志向するサッカーのひとつの形なのだろうが、彼らをフォローすべき選手との距離感も悪く、セカンドボールを簡単に相手に奪われてはピンチを招くシーンが、この2試合では散見された。