ベネズエラ戦の67分にA代表初ゴールを決めた柴崎。デビュー戦で結果を残してみせた。(C) SOCCER DIGEST

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 世代交代の象徴として大きな注目を浴びる背番号7は、A代表デビュー戦で確かな足跡を残した。新体制発足から間もない影響で周囲との連係には課題を残したものの、素早いサポートで攻撃に厚みを加え、ゴールという結果で期待に応えてみせた。
 
 1-1で迎えた67分。自陣でボールを受けた柴崎は、巧みなワンツーで武藤の突破を援護しつつ、自らは猛然と前線に進出。約50メートルを走ってエリア内に飛び込み、岡崎からのクロスを右足ボレーで沈めた。本人は「良いボールが来たので流し込むだけだった」と涼しい顔で振り返ったが、角度のない位置から逆サイドのネットに蹴り込む難易度の高い鮮やかな一撃で、非凡な技術を見せつけた。
 
 今季は所属の鹿島でもボランチの位置からゴール前に飛び出していく回数が増え、計5点(9月9日時点)を挙げている。そうした普段のプレーをプレッシャーのかかるデビュー戦で表現するあたりに、大きなポテンシャルと勝負強さを感じさせた。「日本代表に新しい血が注入された」とアギーレ監督の評価も上々で、代表定着に向けて大きな一歩を踏み出したと言って良いだろう。
 
 もっとも、柴崎がこの試合で披露したのは、ゴールだけではない。鹿島でのプレーと比較するとボールタッチの回数は少なかったが、要所で攻撃のスイッチを入れるくさびのパスも打ち込んでいた。柿谷の決定機につながった37分のプレーが良い例だ。大迫がマークを外した瞬間を見逃さずに縦パスを供給し、大迫→森重と渡って最後は柿谷がGKとの1対1を迎えた。結局、相手GKのファインセーブに阻まれてゴールはならなかったものの、一連の鮮やかな攻撃の起点になったのは柴崎の判断の良いパスだった。
 
「積極的にプレーすることを意識した。まだチームメイトに自分の特長を理解されていない部分もあるが、今日のようなプレーは続けていきたい」
 
 本人もそう自覚するとおり、まだ自身の力を存分に発揮できているわけではないのだろう。しかし、随所に見せつけたセンス溢れるプレーで、柴崎は徐々に存在感を放っていた。このまま質の高いプレーを継続して信頼を勝ち取り、かつて背番号7を背負った中田英や遠藤のように自然とボールが集まってくる存在になれば――。
 
「10月にまた代表戦があるので、その時は勝ちたい」と次を見据える若武者への期待は膨らむばかりだ。
 
取材・文:五十嵐創(週刊サッカーダイジェスト)