iPhone 6のNFCは何ができる? おサイフケータイとの違いは?

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新しいiPhone 6とiPhone 6 Plusが、いよいよ19日から発売される。今回は、大画面4.7インチのiPhone 6に加えて、さらに画面の大きい5.5インチのiPhone 6 Plusも登場する。大画面で高解像度の「Retina HD」や新しいA8チップの採用、iOS8の搭載などの話題にことかかない新iPhoneだが、もっとも気になるのが、電子決済「NFC」への対応だ。

iPhone 6は、NFC対応により、ようやく電子決済機能を持つことになった。しかし、実は、iPhoneの電子決済は、すでに国内で普及しているFeliCa仕様のおサイフ機能とは仕組みが違う。このため、すでに新iPhoneの登場で混乱するかもしれないという懸念もあがっている。

●おサイフ機能はガラパゴス仕様?
まずは、NFC(Near field communication)がどんな技術なのか、確認しておこう。

NFCは、正式には近距離無線通信を行うための規格。簡単に言えば、かざすだけで通信できる「非接触通信」の方式のことだ。数センチから1メートルの間で通信してデータのやりとりなどができる。送受信を行うカードや機器の中に、数ミリ角の小さなICチップを組み込み、通信を行っている。

国内ではSuicaやPASMO、nanacoなどのICカードや、おサイフケータイなど使われている技術「Felica」も、実はNFCの1つなのだ。しかし、国内で利用されている「Felica」はソニーの独自規格であり、日本国内とアジアの一部地域でしか利用されていない。いわばガラパゴスな規格なのだ。

世界的には、フィリップスの半導体部門から独立したNXPセミコンダクターズの「Mifare」が普及している。NECは、「Felica」と「Mifare」を統一するために生まれた、いわば上位互換となっている。

そのため、国内向けに販売されるAndroidスマートフォンには、おサイフ機能が利用できる機種と、NexusのようにNFCを搭載していてもFelicaのおサイフ機能が利用できない機種が存在するのである。さて、本題の新iPhone 6シリーズだが、iPhone 6 とiPhone 6 PlusのNFCも、現在のところFelicaへの対応は発表されていないし、日本向けの独自仕様として提供されることも、まず考えられない状況だ。

●決済機能が提供されるのは米国から
では、iPhone 6死リースのNFCでは何ができるのだろうか。

9日の発表会では、アップルの新しい決済システム「Apple Pay」が発表されている。American Express、MasterCard、Visaのクレジットカードに対応するとのことだが、いまのところ利用できるのは米国のみで、10月にサービスリリース予定となっている。

この「Apple Pay」は、クレジットカードをiPhoneのカメラで撮影するだけで、カード情報を登録でき、決済の際には指紋認証を利用するなど、iPhoneならではの機能と連動して決済が可能となる。マクドナルドやサブウェイ、ディズニーランドなどで使えるとのことなので、国内でも利用できるようになれば、利便性もありそうな気はする。

ということで、日本でiPhone 6の電子決済を利用したいと考えている人は、国内対応が発表されるまでは、様子をみたほうがよいだろう。

ただ、NFCは決済に使用するほかに、周辺機器との連携にも利用できるのでその機能は活用できる。例えば、Bluetooth機器を使用するにはペアリングが必要だが、NFCを使えばかざすだけで機器を認証して、すばやく手間無く利用できる。

iOS8の注目機能に、家電を集中コントロールする「HomeKit」があるが、NFCの利用により、対応機器との連携もスムーズになりそうだ。

iPhone 6シリーズにNFCが搭載されたといっても、今すぐに、おサイフ機能などの電子決済が国内で行えるわけではない。当面は、NFC対応Bluetooth機器が便利に使える程度にとどまるだろう。

本当に便利だと思えるのは、国内でも決済サービスの対応が開始されてからとなりそうだ。