積極的に前に出たベネズエラのプレッシャーに、日本の中盤は「陸の孤島」に。こうした状況を解決するための工夫がなかった。 (C) SOCCER DIGEST

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 ハビエル・アギーレ監督率いる日本代表は、2試合目も結果を出すことができなかった。初戦が敗北、今度はドロー。一見、進歩した印象も受けるが、ウルグアイからベネズエラと対戦相手の格が落ちたことを考えると実質的には足踏みに近い。
 
 2試合とも勝てなかったことについて、新監督は「いい素材が揃っているが、それをまとめるには時間が必要」と語った。
 また次のように付け加えた。
「わたしが指導したことだけでなく、自由にプレーしてほしい。わたしは選手たちにアイデアを授けるが、判断したり、発展させるのは選手たちだ。サッカーはチェスのように“こうやらないといけない”というものはない。人間がプレーを発明しながら、考えながらやっていくものだ」
 こんなことはサッカーのイロハのイだが、改めて言って聞かせなければならないことに監督も呆れているのではないだろうか。
 
 ウルグアイ戦がそうだったように、このベネズエラ戦でも日本の選手たちは4-3-3を上手く運用することができなかった。
 特に「ベネズエラが激しく出てきて、プレッシャーをかけてきた」と新監督が述べた前半、日本はいいところがなかった。
 
 前半が上手くいかなかったのは、日本が頭を使わずにゲームをしていたからだ。
 
 日本は最終ラインがボールを持つと、アンカーの森重真人が最後尾に落ちて、5人でパスを回す。だが、効果的な縦パスが入らない。それはひとつ前の細貝萌と柴崎岳が、ベネズエラ人に包囲されていたからだ。こうなると攻撃の有効な手段は、ロングパスを3トップに供給するか、またはサイドバックに預けてサイドから崩すか、このふたつになる。
 
 だが、どちらも上手くいかなかった。
 ロングパスは精度が悪く、サイドバックも効果的に使えなかった。吉田麻也、水本裕貴のストッパーが大きく開いて、長友佑都や酒井高徳を中盤に押し出すような創意工夫(川崎フロンターレがやっていることだ)もない。
 そしてベネズエラ人に囲まれて「陸の孤島」となった中盤が窮屈になり、細貝や柴崎が次々とパスミスを犯した。
 ひと言でいってしまえば、日本の選手はいま何が問題になっているのか把握し、柔軟な発想で状況を解決する能力に欠けているのだ。
 
 水本が与えたPKによる58分の失点も、解決能力の欠如によって引き起こされた。
 
 水本は40メートル近く敵を追いかけたが、その間、ファウルをしなくても追いつける、もしくは敵が外すと判断したのだろう。
 Jリーグなら事故にはつながらないかもしれないが、南米で揉まれているベネズエラは、駆け引きでは日本より一枚も二枚も上手。結局、エリア内で引っかけてしまい、PKを奪われてしまった。明らかな判断ミスである。
 
 この対南米勢2連戦は日本代表の再出発を見届けるというより、ブラジルでの惨敗で明らかになった課題を改めて直視する機会となった。
 1対1に弱い。敵を引きつけられない。工夫ができない。判断ができない……。
 なんとなく強く見える日本代表だが、それはスポンサーやメディアの力で下駄を履かせてもらっているだけのこと。その実情は、ないものだらけだ。
 
 ブラジルの惨敗から再起すらできない日本代表。彼らはいま、何をすべきなのか。技術論、戦術論はいらない。まずは身の丈を知って謙虚になることではないだろうか。
 
取材・文:熊崎敬