「クルマは軽くなければならない」:アルミ製の車体を開発したAudiの先見性

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車体が重くなっていくことに対して、最初に異を唱えたのはAudiだった。1993年にアルミニウムを採用したコンセプトカー「Audi ASF」を発表した。エネルギーの効率化や安全性がより求められるいま、Audiの軽量化技術がより重要視されている。(雑誌『WIRED』VOL.13より転載:連載「Audiの次なる挑戦」VOL.3)

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いまから30年以上前、当時Audiの技術開発部門のトップを務めていたドクター・ピエヒが部下たちに告げた言葉は、社内で伝説のように語り継がれている。

「快適性と安全性を求める声が消費者の間で高まり始めている。それはすなわち車体の重量が次第に増えていくことを意味する。それに合わせて、走行性能を維持するためにエンジンを大きくする必要に迫られる。そして車体はますます重くなっていく。Audiはその負のスパイラルから脱するために、これから軽量化に挑むことにする。その鍵を握る素材はアルミニウムだ」

ポルシェ創業者の孫であるピエヒはその血筋を裏切ることなく、自動車の未来について誰よりも先を見通していた。実際、当時彼が語った通りの未来が訪れ、他社が「負のスパイラル」に陥るなか、Audiはその先見の明により、いち早くその局面を脱していた。

当時車体には向いていないと考えられていたアルミを使うために、ピエヒの部下たちはこれまでのスチールの構造を一から見直し、1993年にアルミニウム100%のフレーム「ASF(アウディ スペース フレーム)」を発表。その翌年にはASFを採用した初の量産車「Audi A8」を発売した。

1993年に発表された、100%アルミ製のコンセプトカー:Audiの軽量化への取り組みが初めて明らかになったのは、1993年にアルミニウムを100%使用した「Audi ASF」が発表されたときだ。フランクフルト国際モーターショーで、宇宙ロケットのカウントダウン音声とともに姿を現したのは、塗装前の車体を露わにしたアルミ製コンセプトカーだった。

その後、下位グレードの車種にもアルミを使うようになっていくが、すべてをアルミにすると生産コストが嵩み、事故による修理代も跳ね上がってしまうため、スチールと組み合わせた新構造を開発した。スチールとアルミは相性が悪く、接合部で電解腐食が生じてしまうものだが、特殊な溶接技術によってそれを解決した。

車体の軽量化は燃費の効率化をもたらす。エンジンを小型化できて、燃料タンクの容量も減らせる。ブレーキもよく効くので、安全性も高まる。全体の走行性能を高めながら、リニューアルのたびに車体を軽くする、Audiの飽くなき挑戦は続く。

Audi Lightweight Design Centre(Audi軽量デザインセンター):1994年に、開発、生産プランニング、品質保証のために、独ネッカーズルム工場内に設立。このセンターで誕生した開発・製造分野における革新技術は、100以上の特許につながっている。

連載「Audiの次なる挑戦」過去記事
VOL.1 : Audiの自動運転システムを操る新頭脳
VOL.2 : Audiのレーザーヘッドライトは、ルマンで磨かれている
VOL.3 : クルマはなぜ軽くなければならないのか

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