武藤嘉紀 (撮影/岸本勉・PICSPORT)

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ベネズエラ戦の前日、ミックスゾーンに現れた武藤嘉紀をすぐにつかまえた報道陣は4人。

「手応えはだいぶつかめたので、あとは萎縮することなく自分のいいところを出したいと思います。次はゴールを決めたいですね」

爽やかに笑いながら武藤は屈託無く言った。

ウルグアイ戦では途中交代でポストを叩くシュートを放ったものの、ベネズエラ戦でも最初はベンチを温めた。だが後半から登場すると、6分後の51分、グイグイとドリブルで中央を進み、このチームの最初のゴールをズドンと決めた。

試合後、武藤の姿が見えるとどっと報道陣が囲む。引き分けたもののゴールを決めたので満面の笑みが見られるかと思われたが、武藤の表情は固いままだった。

「(ゴールの場面は)ドリブルの途中でファウルされるだろうと思いましたが、そこを耐えればチャンスになると思っていました。(本田圭佑と岡崎慎司への)パスの選択肢がある中でシュートを打つことでGKも迷うと思っていたので、そこは思い切って打ちました」

「この2試合でドリブルだったり、緩急で相手を抜くということでは通用すると思いました。でももっとレベルが上がるとどこまでできるかわからないので、そこは探りながらいきたいと思います。自分の良さが出ない相手になったときにどうやって勝つのかが大切かと思います」

「決まっちゃったという感覚ですね。決まるという感じはありませんでしたが。Jリーグでだいぶシュートを外してしまって、毎日シュート練習をした成果が出たのだと思います」

「6万人の歓声は違ったし、緊張もありました。でもそういう大舞台の中で決めて自信になりました。これからも続けていかれるように、結果が大事ですけど、一喜一憂することなく気持ちを引き締めていきたいと思います」

「得点に絡めたのはよかったのですが、まだまだ自分の良さは出せなかったと思います。本田選手のFKのこぼれ球なんかに反応できるよう、もっと集中して気持ちを研ぎ澄まさなければいけないので、それは次の試合に活かしたいです」

「まだパスミスだったり、最後のパスの正確性が足りないので、そこは落ち着いてプレーすることでミスを減らしていかなければいけないと思っています」

「今年Jクラブに入って、まさかこんなに早くここまで来られるとは思っていませんでした。でも与えられた場所で活躍しなければいけないのがサッカー選手だと思うので、コンスタントに結果を残すことが必要で、今回ゴールできてよかったと思います。2週間前の代表発表のときは、通じるのかと不安だったのですが、プレーする機会をもらって不安を払拭することができましたし、自分のプレーを出してやろうという気持ちになれたのは、成長できたからだと思います」

「(あこがれの香川真司とポジションが被るが)ライバルというレベルに自分は達していませんが、追いついて追い越せるように練習からレベルアップしていきたいと思います」

そんな武藤の野心を引き出しつつ、報道陣の質問は延々と続いたが、武藤は全員が満足するまでずっと答え続けた。

すべての質疑応答が終わり、歩き始めた武藤に「宣言どおりでしたね」と声をかける。武藤は「はい!」とにっこり笑った。「もっと笑顔かと思っていたのに」と言うと、「報道陣が多くて緊張しました」とあっさり正直な心情を吐露してきた。

ふてぶてしいゴールを決めても、武藤は爽やかで、まだまだ初なプレーヤーだった。

【取材・文/日本蹴球合同会社 森雅史】

▼ 武藤嘉紀が代表初ゴール。喜びの表情を見せた(写真中央)

(撮影/岸本勉・PICSPORT)