ベネズエラ戦に臨んだ、川島永嗣 (撮影/岸本勉・PICSPORT)

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川島永嗣はミックスゾーンに前を向いて現れた。報道陣の呼びかけにすっと立ち止まると、いつもと変わらぬ声で答える。

「ボールがそんなに強くなかったので、自分の前にスペースがあったからボールをたたき落とそうと思っていたら手元で変化しました。ですが、自分のミスです。若い選手が活躍して点を取ってくれたのに、自分がこういう形で勝敗まで含めて足を引っ張ってしまって。今日は勝てて終われたのに、本当に申し訳なく思っています」

川島はしっかりと報道陣の厳しい質問に正面から答え続けた。自分に厳しい川島だから、ミスに心中穏やかではなかっただろう。チームメイトへのお詫びの言葉が続いた。

アギーレ監督の初勝利を逃してしまっただけではない。一度のミスで一つしかないポジションを譲ることになってしまうかもしれない。GKはそんなポジションだ。川島は今回の合宿でも競争心を煽られていた。

監督が交代し、今回の日本代表には変化が訪れた。これまで日本代表に招集されるGKはほぼ決まっていた。川島の3つ年下の西川周作、6歳下の権田修一。年齢を考慮したような選考で、まるで川島が正、西川が副、権田が経験を積ませるというような分布だった。ところが今回は権田の代わりに林彰洋が招集された。

川島が2010年ワールドカップ直前に調子を上げ、レギュラーの座を奪い取って4年が過ぎた。そのときの川島が27歳。そして今、西川が28歳、林が27歳と、かつての川島と同じ年齢になっている。競争色は鮮明になった。

西川は言う。
「いつも自然体で合宿には入っていて、特別感情を表すということはしないのですが、目ざすところはそこ(正位置)なので。続けていくことが大切だと思っています。虎視眈々と狙っていければと思います」

林はもっとストレートだ。
「今の自分にはまだ川島さんと差がある。だから今は出られなくても仕方がないと思っています。だけど僕には僕の特長があるし、いつかは抜いて自分が出てやると思っているので。昔は『出られない』というだけで気持ちが落ちていたけれど、『今出る』というのが目標じゃないから大丈夫です」

代表合宿に合流したばかりの川島は「林も来たし、みんなそれぞれ特長が違うと思うから、それぞれが切磋琢磨して、みんなで成長していけたらいいと思います」と答えていた。だが、林の言葉を聞いて、にやりと笑いながら言った。
「自分に自信がなければ、ここにいるはずがないですから」

今回の川島のミスで、他の2人がより張り切ったとしてもおかしくない。パッと見ているとGKの3人は仲がよく見える。だが、たった一つのポジションを巡る争いは、この最初の合宿から激しくスタートしている。

【取材・文/日本蹴球合同会社 森雅史】

▼ 後半26分、ベネズエラに再び同点ゴールを許した

(撮影/岸本勉・PICSPORT)


▼ 西川周作

(撮影/岸本勉・PICSPORT)


▼ 林彰洋

(撮影/岸本勉・PICSPORT)