■テレビ朝日・竹内由恵アナウンサーの連載コラム■
『たけうっちタイムス』

 9月5日、4年後の2018年ロシアW杯を目指すアギーレジャパンの初陣、キリンチャレンジカップ2014のウルグアイ戦が行なわれました(0−2で敗戦)。テレビ朝日では、2試合目となるベネズエラ戦を今日9日のよる7時〜生中継します。どんな試合になるか楽しみです。

 私は、ハビエル・アギーレ監督の就任会見と、Jリーグ初視察時(第20節・浦和対広島)の取材に行ったのですが、いつも穏やかな表情だったザッケローニ前監督に比べ、アギーレ監督は厳しい顔つきを崩さないでいたので、最初は「強面な指揮官」という印象でした。

 Jリーグ視察後の囲み取材で私が質問するタイミングがあったとき、周囲の騒音でアギーレ監督が質問を聞き取れなかったようで、3回も同じ質問を繰り返すことになり、とても気まずかったのですが、取材が終わったときにアギーレ監督がわざわざ「さっきはゴメンね。周りが騒がしくて聞こえなかったんだよ」と英語で話しかけてくださって、こんな優しい笑顔のときもあるんだと、イメージが少し変わりました。

 実は、アトレティコ・マドリードの指揮をしていたころ(2006年〜2009年)のアギーレ監督を、『やべっちF.C.』で取材していたのですが、「ハーイ、やべっち」というコメントを快く引き受けてくださっていて、とても気さくで接しやすい方なのではとも思っていました。

 戦術的には「守備をしっかりやって、ショートカウンターからゴールを狙うサッカー」と会見で話していたように、足の速い選手、スタミナがある選手が必要とされるのではないかなと思います。また、私がもっとも印象に残っているアギーレ監督の会見での言葉は、「ワールドカップを見て、日本のチームに何が足りないと思ったか」という質問に、「南米のチームに比べて狡猾さが足りない」と答えていたことです。ブラジルW杯でドイツ代表のミュラー選手が、FKの場面でわざと転んで相手を惑わそうとしていたように、「対戦相手との駆け引き」という面でも、日本がさらにレベルアップしていってほしいです。

 昨シーズンまでスペインリーグ1部のエスパニョールを率いていたアギーレ監督について、スペイン人記者の方によると、「現地ではその指導力は評価が高く、バスク人のルーツを持つため"エル・バスコ"という愛称で呼ばれてファンに愛されていた」そうです。指揮官としては、チーム内に「お気に入り」の選手を作らず、「ダメだと思った選手はためらいなくレギュラーから外し、すぐに他の選手を試す監督だった」といいます。そうしたスタイルは、選手にとってはとても刺激になるだろうなと思いましたし、それはこれからの日本代表チームでも同じなのだろうと思います。

 また、「メンバーを固定しない」と、色々な選手を試すことを表明していたとおり、アギーレ監督が今回招集した23人のメンバーには、ブラジルワールドカップメンバーが12人入ったものの、初招集の選手が5人もいました(FW皆川佑介、武藤嘉紀、MF森岡亮太、DF坂井達弥、松原健)。その初招集メンバーのうち、私が先日取材したのが、現役慶應大学生でFC東京所属の武藤選手です。

 武藤選手は、宮市亮選手や宇佐美貴史選手、柴崎岳選手らと同い年で「プラチナ世代」といわれる22歳。ただ、FC東京のユース時代に高円宮杯準優勝などを経験していますが、世代別代表に呼ばれたことはなく、いきなりのA代表デビューになりました。

 チームでは、「よっち」という愛称で呼ばれている武藤選手。以前、『やべっちF.C.』の人気コーナー、「ひとりデジっち」にも登場をしていただいたのですが、そのときは自宅での体幹トレーニングの様子や、提出する論文の紹介をしてくれるなど、プライベートでの素顔も見せてくれました。

 高3の時、FC東京のトップチームのキャンプに呼ばれるチャンスもあったそうですが、「自分はまだプロでやっていく自信はない」と、一般受験で慶應大学に入ったそうです。大学の「ソッカー部」(※慶應大のサッカー部)では、1年時からスタメンで活躍。学業では、3年間でほとんどの単位を取ってしまったそうです。そして4年生となった今年、FC東京のトップチームに入り、見事レギュラーの座を獲得しました。

 今シーズンここまでゴールを量産して、現在8得点(第22節終了時点)。このペースでいけば、FC東京の渡邉千真選手が持つ13ゴールという「Jリーグ新人シーズン最多得点記録」の更新も十分可能性があります。

 メディアの質問に答える時、必ず相手の目を見て話す武藤選手は、明るく、笑顔でハキハキとした受け答えで、まさに「慶應ボーイ」。「キラキラオーラ」を放っているポジティブで前向きなキャラクターだと思います。ピッチではスピードがあって、シュートテクニックが高く、積極的にゴールへ向かうプレースタイル。そこを、アギーレ監督が評価したのだと思います。

 過去、大学からFC東京に加入して代表入りし、その後イタリア、セリエAのチェゼーナに移籍した長友佑都選手(現インテル)のように、武藤選手がブレイクしていく姿に注目したいと思います。

 代表デビュー戦となった5日のウルグアイ戦は、後半13分から途中出場すると臆することなくプレーして、ポスト直撃の惜しいミドルシュートを撃つなど持ち味を発揮。試合後は、「できることとできないことがあったが、次から落ち着いて自分の良さを出せると思う」と意欲的に語っていた武藤選手。Jリーグで活躍している勢いそのままに、次のベネズエラ戦での代表初ゴールに期待しています!

■プロフィール
竹内由恵(たけうち・よしえ)
東京都出身。テレビ朝日アナウンサー。2008年入社。
現在の担当番組は『報道 ステーションSUNDAY』(日/10時〜11時45分)、
『やべっちF.C.』(日/24時10〜24時45分)、
『〜世界にひとつ〜ミラクルレシピ!』(土/18時30分〜18時56分)、
スポーツ中継各種

竹内由恵