中国に勝利のU−16日本代表、連勝で決勝T進出…さらなる質の向上に期待

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 吉武博文監督率いるU−16日本代表は8日、AFC U−16選手権グループリーグ第2戦・中国戦を、初戦の香港戦からスタメンを総入れ替えしながらも、3−0と勝利。2連勝で1試合を残して、決勝トーナメント進出を決めた。

 前半スコアレス、後半に点を奪って勝つ。初戦の香港戦と同じような展開となった。ただ、異なるのは中国が前半見せたタイトさと、同じ会場で1日2試合を連続して行うことにより、ピッチコンディションが初戦よりも劣悪になり、厳しいコンディションでの戦いとなったことだ。

 立ち上がりはロングボールを多用し、球際でもスリッピーなピッチで勢いに乗った、ファールすれすれのスライディングで奪いに来るなど、香港戦では感じなかった激しさに、選手たちは面食らっていた。

「非常にストレスがたまる試合。全然スムーズにボールが動かなかったし、目標はパーセントではなくて、45分間以上はボールを保持したいと思っていたが、そこまで行っていないし、パスの本数も少ない。ピッチコンディションのせいにはならない。丁寧さが無いし、ボールの近くに人がいない。パスがずれるのは、ピッチが悪いからではなくて、人が近くにいないから正確性が失われていったと思う」と、試合後の吉武監督は表情を曇らせた。

 だが、結果はしっかりと出した。選手たちは逞しく、中国と真っ向でぶつかった。前半の劣勢時には、CB冨安健洋と森岡陸が高さとフィジカルの強さを発揮し、中国にチャンスを与えなかった。そして、後半は積極的に縦パスを打ち込んで、得点シーンは複数の選手が絡んだ見事な崩しだった。特に2点目は、「GKに対して数的優位になる」と吉武監督が常に言っていた理想通りの展開だった。高い位置でボールを奪うと、FW杉浦文哉が飛び出したFW渡邊陽にスルーパスを通す。このパスが通る瞬間に、すでに右サイドからFW斧澤隼輝がゴール前のスペースに走り出しており、渡邊がドリブルで持ち込んだ時点で、中国のGKと渡邊と斧澤の2対1の状況になっていた。渡邊は練習通り、GKを引き付けてから、斧澤にラストパス。斧澤は無人のゴールに蹴り込むだけだった。

 もちろん課題はまだまだたくさんある。中国に差し込まれたときに、選手個々の距離感が遠くなって、パスミスが増え、スコアが3−0になってからも拙攻が目立った。しかし、逆に言えばそれこそがこのチームのポテンシャルの高さと言える。吉武監督が求める質に到達していなくても、2試合連続で完封勝利を掴んだ。土台は出来てきただけに、吉武監督はより質の向上にこだわっている。可能性が無い者に、高い要求はしない。試合後の吉武監督の表情は、このチームに対する愛情でもあった。

 指揮官の愛情に応えるべく、次のオーストラリア戦、そしてU−17ワールドカップの出場権が懸った準々決勝と、質の高いサッカーを期待したい。

文=安藤隆人