坂井達弥 (写真:岸本勉/PICSPORT)

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 ボールを失うという行為が持つ意味は、ポジションによって大きく異なる。

 攻撃的なポジションの選手が、突破を仕掛けたもののボールを奪われた──悪いことではない。アグレッシブなドリブルやスルーパスを狙った相手のプレーは、失点を避けることができても守備側の記憶に刻まれる。ボールを失ったトライは、攻撃側からすればゴールへの、守備側からすれば失点の序章になりうるのだ。

 9月5日のウルグアイ戦で、坂井達弥が国際Aマッチデビューを飾った。ハビエル・アギーレ監督からサプライズ招集を受けた23歳のセンターバックは、メキシコ人指揮官の初陣を飾る11人に目を連ねたのだ。

 キックオフ直後から、左足のロングフィードを繰り出した。アギーレ監督が興味を示した特徴を、183センチのレフティはいきなり見せていく。

 眩い照明に照らされた札幌ドームのピッチが、前置きなしに暗転したのは34分だ。
バックパスを受けた坂井は、前方から迫るロランのアプローチを逃げるようにトラップをする。ところが、ロランと連動してチェイシングしてきたカバーニに、ボールを奪われてしまう。

 それから5秒後に、坂井はペナルティエリア内で身体を投げ出した。6秒後には、ブロックしきれなかったカバーニのシュートがゴールへ転がっていった。

 0対1となってから、日本は4本のシュートを放った。ウルグアイは5本を記録した。そのうちのひとつが川島の守るゴールへ吸い込まれ、日本は0対2で敗れた。背番号15を着けた彼のワンプレーが、日本を追い詰めてしまったのである。

「こういう厳しい戦いのなかでミスをしてしまって、申し訳ない気持ちしかありません。海外の選手は相手のスキを突いて、一気に攻撃のスピードを上げてくる。人数もかけてくる。迷わずにシンプルにプレーすれば良かった。反省しています」

 試合後の取材エリアに出てきた坂井は、そういって厳しい表情を浮かべた。ミスの重みを知る守備者にも関わらず、失点を招いてしまったのだ。口ぶりは落ち着いていたが、胸中では悔しさが渦巻いていたに違いない。

 それでも、ミスを引きずらなかったのは評価できる。「切り替えろ、次だ次と、みんなが声をかけてくれた」と坂井は振り返る。「局面で咄嗟に判断するときに少し迷いがあったけど、1対1やセットしたときの守備はそんなに崩されなかったと思う」とも話している。「守備はしっかりとコントロールして守ることを心がけて、声を出してリーダシップを取って守ろうとした」と続けたように、臆することなく周囲を動かしていった。

 中長距離のフィードによる攻撃への関わりは、ビハインドを背負ったことで難しくなっていった。「得点してからのウルグアイは下がってブロックをしいてきたので、そのぶん(フィードを)入れにくいところはあった」というのは、ゲーム展開に沿った皮膚感覚だろう。

「今日はすべてが勉強と思ってやっていた。すべてが勉強になるようにという思いだったので、ひとつのミスでくよくよしていられなかったというか……。ミスも経験──絶対にやっちゃいけないことですけど、サッカーをやっていればあることだし、ああいう場面が出たら、次はシンプルにクリアできると思う。内容的にも悔しいものになってしまったけど、次につなげていきたい」

 大小を問わず失敗を身体と記憶に刻み、成長していくのがDFである。坂井も例外ではない。札幌ドームでの痛みを教訓としたプレーを見せていくことが、アギーレ監督へのアピールであり恩返しにもなるはずだ。