5大会連続U−17W杯出場へ…進化した吉武ジャパン、アジアの戦いが開幕

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 9月6日に開幕するAFC U−16選手権に挑む、U−16日本代表メンバーが発表され、本番の時が迫ってきた。

「(8月上旬の)新潟合宿が終わった時点で23人のメンバーは決まっていた」と吉武博文監督が語ったように、8月下旬に行われた長野合宿では、選ばれたメンバーとサポートメンバーがはっきりとしていた中で、競争ではなく、チームとしての一体感を掴むべく、本番に向けての強化が行われた。

 来年のU−17ワールドカップ出場権が懸った同大会。日本はこれまで4大会連続でここを突破し、U−17W杯に出場している。そのうち前回、前々回はいずれも吉武監督が率いており、日本の長所である持久力と機動力、技術の高さを駆使し、相手をポゼッション率で圧倒するサッカーで、2011年メキシコ大会ではベスト8、2013年UAE大会ではベスト16という結果を残している。

「96(※)では94(※)でやっていたことを前倒しで、98(※)では96でやっていたことをさらに前倒しでやっている」(※吉武監督はチームを生まれ年で呼び、南野拓実などがいたメキシコ大会組は『94ジャパン』。杉本太郎らがいたUAE大会組は『96ジャパン』。今回は『98ジャパン』と呼ぶ)

 3大会連続で指揮を執る吉武監督がこう語ったように、日本のポゼッションサッカーの精度をより高めるために、長野合宿序盤ではアドベンチャープログラム(選手たちがグループに分かれ、ある議題についてディスカッションをしたり、連帯して障害物など課題をクリアしたり、チームで問題解決学習をすることで、チームビルディングをスムーズに行う狙いがある)を取り入れ、さらに集団で菅平のゲレンデを登ったりと、コミュニケーションに主を置いたトレーニングを行った。また、合宿終盤には四方をゴムテープで囲み、その中で相手のスペースに連動してポジショニングを取りながらボールを回していく紅白戦を行い、基本戦術や応用を徹底して繰り返した。

 選手たちは吉武監督の指摘に耳を傾けながら、ハイテンポなパス回しを披露。その中でFW堂安律を左サイドバックに、ボランチの麻田将吾をCBに起用するなど、これまで通り積極的なコンバートを行い、一人で複数のポジションが出来る選手を増やして、どんな状況でもチームで戦えるように仕立てていく。

 合宿初日から最後まで、吉武流のアプローチで強化されたチームの完成度は、94、96のAFC U-16選手権直前の時期のそれと比べると、非常に高まっていると言っていい。

 しかし、何が起こるのかが分からないのがアジアの戦い。初戦で香港と戦い、フィジカルで勝る中国、オーストラリアと続くだけに、グループリーグから息の抜けない戦いが続く。

「アジアは一筋縄でいかなくて、ギリギリの戦いなので、シンプルに相手の背後において、そこでGKまでバックパスをされても、それを前で奪い返せばいい。それも一つ。あとは全員が間に立つことで、いかに相手の守備の第一波を打開できるか。第一波さえ打開できれば、チャンスが広がる。誰が第一波を交わしてスペースにボールを入れるか。対角のボールを入れたり、CBが前につけたりして、いかに相手のプレスをいなして、自分たちの良いようにボールを持てるか。まずはボールを今まで同じで失わない。攻めなくても相手陣内で長くボールを置くことがアジアを勝ち抜くポイント」(吉武監督)。

 過去アジアを2度突破している吉武監督の経験と、選手たちの自信と自覚が形となれば、必ずや結果はついてくる。後はこれまで積み上げてきたものをどれだけ信じられるか。若き日本代表の世界の扉を開くための厳しい戦いが幕を開ける。

文=安藤隆人