ついに初陣…勝負師の顔を見せたアギーレ、戦う姿勢を呼び覚ませるか

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 表情は、まさに勝負師のそれだった。ハビエル・アギーレ監督は、日本代表の指揮官としての初陣を控え、まくし立てながらも言い切った。

「最初に残すイメージは大事。失望させることはないと思う」

 アギーレ監督は8月に就任して以降、イメージと反して柔和な表情を見せることが多かった。しかし、ウルグアイ代表戦の前日会見では、厳粛な表情とともに昂然とした言葉を並べた。それこそ、臨戦態勢に入ったとも言えるだろうか。「我々は準備期間がまだ短い状態で対戦する。しかし、そこは関係なく勝ちにいきたい」という言葉をはじめ、会見中には勝利への意欲をたぎらせていた。

 もちろん、相手のウルグアイは言うまでもなく強い。今回はオスカル・タバレス監督が背骨の手術を受けたために来日せず、エースのルイス・スアレスも欠いたメンバー構成になったが、そもそも昨年8月には宮城で2−4と大量失点を喫して敗れている。相手が来日間もない中の試合ではあるが、再びホームで黒星となることもあり得る。アギーレ監督の言葉を借りれば、「世界的に見ても重要な選手が揃う非常にタフな対戦相手」。指揮官自身も、「非常に整った良い守備をするチームだから、楽な試合ではない」と苦戦は覚悟の上か。

 初陣ということで、采配の特徴にも注目が集まり、試合では4−3−3といった布陣や攻撃のバリエーションといった点で個性が垣間見られるかもしれない。しかし新体制はスタートこそしたが、わずか4度の練習をこなしたに過ぎない。田中順也が「約束事は2、3日の間で詰め込むだけ詰め込んだ本当に最低限のところ」と話していることからも、細部にまで独自色を求めることは酷というものだろう。

 ただ、それだけにチームへの要求は明確だ。「もちろんフェアプレーを重視しているが、それは戦わないとイコールではない。すべてのボールに対して強くいきたい」という言葉が示すように、何より求められているのは戦う姿勢だ。そして、勝利へのポイントという意味でもその点は必須になる。

 日々、ドイツの地で大男達と戦っている大迫勇也は言う。

「ウルグアイの守備は、激しさがすごくあるし、球際の部分ですごく粘り強いというか、そこで取り切る力がすごくあると思う。そこで負けずに逆に起点を作ることができれば、相手も慌てると思うし、球際の部分でしっかりと戦うことが大前提だと思う」

 ちなみに、「走らない、戦わない、競争しないという言い訳はできない」と選手に要求した指揮官は、自らも律する。選手のテストと結果の共存について問われると、「どの国の代表監督も選手を試しながら、勝利を求めて戦わないといけない。それが私の仕事だと思う」と口にした。

「ウルグアイに敬意は払うが、恐れはしない。我々の持っている武器で戦いたい」

 相手が強敵であればあるほど、戦う姿勢も見せやすい。例え大敗しようが、なまじ格下のチームを呼んで、お披露目興行になるよりも意味は遙かに大きいものになるはずだ。細かな戦術ももちろん大事だが、今回の試合ではサッカーというスポーツに関わる、闘争心といったより根源的なところを呼び覚ませるかどうかに力点は置かれる。

 そして、その点こそ、指揮官が得意とするとともに、求められている重要な役割なはずだ。

文=小谷紘友