代表選出後の徳島戦でも1ゴールを奪った皆川。体幹をさらにうまく使えれば、まだまだ伸びる可能性を秘めている。(C) SOCCER DIGEST

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 日本代表のハビエル・アギーレ新監督が、キリンチャレンジカップに向けたメンバーとして選んだのは12人の海外組、そして11人のJリーガーという顔ぶれだった。11人のJリーガーのうち5人はA代表初招集で、さらにそのうち2人は大学出身のルーキーということもあり、招集メンバーの新鮮さは一層際立っている。
 
 今回、その2人の大学出身ルーキーで、ここ数試合のJリーグでも印象的な活躍を見せている皆川祐介(広島)と武藤嘉紀(FC東京)、そして年齢的には彼らと同世代ながら十分な経験を持つ柴崎岳(鹿島)の3人について、フィジカル的側面からの分析を試みた。
 
 3人のプレーヤーとしてのポテンシャルはいかなるものか。また、さらなるレベルアップのために何が必要なのか――。「Oriental Physio Academy」の理学療法士・波田野征美氏が、スペシャリストの視点で3人の有望株を掘り下げる。
 
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 まずはサンフレッチェ広島の皆川祐介選手。186センチ・84キロという長身・重量級のFWで、かなりのボリュームがある選手ですね。低い弾道のクロスに対しても、しっかりと対応できるのは魅力です。このサイズで岡崎選手のようなアクロバチックなプレーもできるのですから、今後が楽しみです。ただ、日本代表でコンスタントにプレーすることを考えると、まだ安定感はないかもしれません。
 
 この体格ですから、空中戦での勝負を期待される選手だと思います。ヘディングで競り勝つには、「高く跳ぶ」「早く跳ぶ」「長く跳ぶ(滞空時間)」ことが必要ですが、それを実行するためには体幹(胴体)をうまく『反らせる』、ヘディングを強く放つために『丸める』という動作が必要になります。
 
 皆川選手は、丸める動きはできていますが、反らせる動きはまだまだという印象を受けます。また、ボールが自分の正面にある場合ならいいですが、そうでない場合は空中で身体の軸を入れ替える必要があります。そのためには、左右の肩、股関節の外旋(外側にねじる動き)を使った切り替えが必要です。この身体の軸の切り替え動作にも、課題が見受けられます。
 
 8月23日のC大阪戦では、右からのクロスを胸トラップした後、ハーフボレーシュートを放ちましたが、蹴った後に軸足が滑っていました。ボールと身体との位置関係上、こういう蹴り方が必要な場面もありますが、この蹴り方では外した後にフォローの動きができません。軸足側に体重が残っているためです。蹴り足側に体重を乗せていけば、振り切った後の足に体重が乗るため転ぶことなく着地でき、そのままスムーズに次のプレーに移行できます。
 
 皆川選手は、これまでの日本人選手には少ない堂々たる体格を持つFWで、今後順調にキャリアを重ねていけば、いずれは海外へ移籍することもあるかもしれません。ただ、世界を目指していく過程において「もっとパワーを」と追い求め過ぎると、身体が固くなってしまう恐れがあります。皆川選手には、すでに海外の選手に負けないほどの肉体があるのですから、今後は上記したようなポイントを踏まえ、より自由度の高い、柔らかい身体を作っていくよう心掛けるのがいいでしょう。
 続いて、FC東京の武藤嘉紀選手。股関節の外旋を使った左右軸の切り替えがうまく、ドリブルでは相手の反応に合わせて素早く切り返して抜いていく場面が見られます。踏ん張って無理やり切り返す、というシーンは見られません。加えて、後ろから押されても倒れずにドリブルを継続するシーンが目立ちます。走っている時に、大腿四頭筋(大腿部の前側の筋肉)で地面を蹴って身体にブレーキを掛けておらず、大腰筋などを使って足をしっかり前に出せているからでしょう。いわば「走りの延長線上」でシュートまで行けているのです。