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海外旅行が好きな人なら一度や二度、海外で実際に暮らしてみたい、働いてみたいと思ったことはないだろうか。自分の生まれ育った国や環境とは、言語から文化、常識に至るまで何から何まで異なる国での生活は驚きと発見が多いエキサイティングな経験だが、その裏には厳しい現実や葛藤も甘んじて受け入れなければならないもの。そこで今回は、海外で仕事をする日本人の事例として、海外で日本語を教える“日本語教師”という職業に注目してみたい。ベトナムで実際に日本語教師として働いている佐々木美奈さんに話を聞いた。

2013年からベトナムに在住し、現地で日本語教師として働いている佐々木さん。その夢は大学時代から抱き続けていたという。しかし卒業後は、日本で事務職の仕事に就き、夢への一歩をなかなか踏み出せずにいたそうだ。

そんなとき転機が訪れる。「ある日、日本語教師を10年続けていた友人に背中を押されたんです」と佐々木さん。そこからは日本語教師への道を目指して具体的に行動を開始したとのこと。

日本語教師になるためには、「“日本語教育能力検定試験合格”、“日本語教師養成講座420時間修了”、大学での専攻が“専門領域が日本語教育、日本語学、言語学などであること”のいずれかが必要とされることが多く、専門的な勉強が必要です」と佐々木さん。普段から日本語を話している我々が、なぜそういった専門的な勉強をする必要があるのかと思う人もいるかもしれないが、「何気なく話している日本語ですが、教えるとなると日本語を客観的にとらえなければなりません。また、日本語の文法だけでなく、背景、文化なども学ぶ必要があり、とても奥の深い職業だと思います」と"日本語教師"という職業について佐々木さんは語る。

佐々木さんの場合は、都内の日本語学校で日本語教師養成講座を受講し、“420時間修了”をクリアすることに。日本で仕事を続けながら受講していた佐々木さんは「1年以上かけてマイペースに通いました」とし、日本語教師となった今「私が通った学校では、現役の日本語教師が授業を行っていたので、日本語の教え方を教わるだけでなく、テンポのよい授業の進め方や、教師としてのあり方なども教えていただきました。例えば、わかりやすいジェスチャー、間の取り方、表情などが非常に勉強になりました」と当時を振り返る。

そして、佐々木さんは、ベトナムで日本語教師をやる楽しさや喜び、醍醐味について次のように話す。「ベトナムは、常識も環境も日本とはまったく異なります。そのため、日本へ行ったことがない学生に、日本語のもつ独特なニュアンスを正しく理解させるのは非常に難しいことです。私がベトナムの文化や環境を知り、彼らの生活に即して教え、理解してもらえたときにこの仕事のやりがいを感じます」と笑顔で話す。

さらに「職場ではベトナム人の先生方と相談して授業を進めます。ベトナム人は明るくていつもなごやかです。毎日が異文化交流で、日本では味わうことができない環境です」と充実した様子で語ってくれた。

最後に、これから日本語教師を目指そうとしている人に向けて「ベトナムはとても活気があり、日本語を勉強する学生たちはとても意欲的です。東南アジア諸国では、まだまだたくさんの日本語教師が必要とされていますので、養成講座卒業後の進路が大きく開けると思います。海外で生活して働くことは、きっと想像以上の豊かな経験につながると思います」とアドバイスとエールを送ってくれた。

海外で働く職業の選択肢の1つである日本語教師。実際に現地で現役で働く日本人が語る経験談やエピソードは生々しさがあり、様々な苦労は伴いながらも充実感ある日々であることが伝わってきた。

(神野恵美)