二畳で豊かに住む

写真拡大

リーマンショック以降、アメリカでは簡素なライフスタイルに注目が集まっている。「タイニー・ハウス(小さな家)」は、地球にも財布にもやさしいと好評だ。一時は「うさぎ小屋」と揶揄されてきた狭小住宅大国・日本から見れば当然のことなのだが、彼らにとっては新たな価値の創出だったようだ。

J−CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」http//:www.j-cast.com/mono/bookwatch/でも特集記事を公開中

狭小空間にこそ無限の宇宙が広がる

『二畳で豊かに住む』

「病床六尺、これが我世界である」とは、正岡子規の言葉。夏目漱石は畳2枚の上に男2人で暮らす時代があった。建築史家が文豪の残した文章や現存する建物を訪ね、狭い部屋でいかに豊かな精神世界を育んでいったのかを探るユニークな本が、集英社の『二畳で豊かに住む』(著・西和夫、778円)だ。岩手県花巻市に山小屋を建てて住んだ高村光太郎や、「三畳御殿」で客をもてなした内田百里眦仂譴垢襦H爐蕕梁燭は病気や貧困、戦後の混乱でやむを得ず小さな家に暮らしたのだが、そういえば建築界の巨匠として有名なル・コルビュジエは、8畳ほどの素ぼくな小屋を好み、そこで最期を迎えたという。小さな家には、人をクリエーティブにさせる秘密の力が潜んでいるのかもしれない。

小さな家を建てよう、その前に

『住む人が幸せになる家のつくり方』

一般の人にとって、小さな家を建てる魅力は何か。安く建てられる? 環境負荷が小さい? 立地を選ばない? 表面上の理由はそうかもしれない。だが、それだけで多くの人の心が動くものだろうか。サンマーク出版の『住む人が幸せになる家のつくり方』(著・八納啓造、1512円)にヒントがあった。建築家が、多くの住まいづくりの経験から「よい家」とは何かを語った一冊である。家の価値は、デザインや建材、立地、面積の広さなどで表現されることが多い。これに対し著者は、「住む人が幸せを育めるかどうか」が価値を決めると主張。事前に家族でどんなふうに暮らしたいのか、夢を話し合うべきだという。小さな家は間取りや使う建材に制限があるから、家主が譲れない大切なことだけが残る。つまり、「よい家」になる素質十分というわけだ。

コンパクトな暮らしは、「収納」が肝心

『マンガでわかる!収納+整理術』

小さい家は収納スペースも限られる。物とストレスを増やさず、知恵を絞りながらスッキリ暮らしたい。学研パブリッシングの『マンガでわかる!収納+整理術』(著・宙花こより、1080円)は、散らかし放題のダメ家族が、整理収納のプロからアドバイスを受け、使いやすい収納術をマスターしていくコミックエッセイだ。ヒット作の第2弾と聞いて手に取ってみたが、なるほどマンガは収納の解説に最適な表現法である。写真集のような美しい収納本を前に、こっちはおしゃれ雑貨に囲まれて暮らしてなんかないんだよ、と突っ込みたくなることがある。写真は具体的過ぎるのだ。その点マンガは、自分に置き換えやすい。そもそも、収納に悩む人は片付けが嫌いだ。ユーモアを交えた成功談は、カオスと化した部屋を前に弱りかけた気持ちを奮い立たせてくれる。