高利回り商品の誕生に注意!
金融危機前に酷似…。
犧そこにある危機〞

世界中の主要中央銀行による金融緩和策の実施により、金融市場のボラティリティー(変動率)は低下し、安定した状況が続いている。

金融市場は1970年代のインフレ期「グレートインフレーション(Great In flation)」を経て、1980年代以降に広義の「グレートモデレーション」(Great Moderation:超安定期)に突入。その後、2000年代半ばからサブプライム・ショックが起きる2007年を狭義のグレートモデレーションと呼び、金融市場が最も安定した時期だった。

そして、2007年のサブプライム・ショックが発生し、2012年まで「グレートリセッション(Gr

eat Recession)に突入する。そして、グレートリセッションからの脱却を目指して、世界中が金融緩和を実施、現在の金融安定期が訪れている。

しかし、サブプライム・ショックを発生させたのは、グレートモデレーション期に原因があったことは明らかだ。金利の低下と低金利の継続は、高利回り商品を求めて、サブプライムなどの金融工学を駆使した金融商品を生み出した。そして、これらの破綻が経済危機を生み出した。

このグレートモデレーション期と現在は非常に状況が似ている。2007年から2012年までのVIX指数(恐怖指数)は20を超えた危機局面の水準にあったが、現在のVIX指数は2000年半ばのグレートモデレーション期の水準に酷似している。今のところ、高利回りの新金融商品が開発され、ブームとなるような兆候は見られない。しかし、新興国債券が人気となるなど投資家は高い利回りを求める「サーチ・フォー・イールド(search for yield)」の動きを強めている。

ハイイールド債の市場が拡大を続ければ、いずれは環境の変化により問題化する可能性がある。また、レバレッジドローン市場も拡大中で、2000年代半ばの市場規模に近づいている。

グレートモデレーション期の1997年、当時のFRB(連邦準備制度理事会)議長だったグリーンスパンは「不合理な熱狂(Irrational Exuberance)」という言葉で安定期の最中に発生した高利回りを求める動きに警鐘を鳴らした。現在は警鐘はまったく聞かれない。それでも犂躓,硫〞は芽生え始めているのかもしれない。(宗像正伸)

この記事は「WEBネットマネー2014年10月号」に掲載されたものです。