投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、9月1日〜9月5日のドル・円相場の見通しを解説する。

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 今週のドル・円は、ウクライナ紛争と米国の8月の雇用統計に注目する展開となる。ウクライナ紛争では、ロシア国民の支持率80%を背景にしたプーチン露大統領の強硬路線が続いており、欧米による懲罰的制裁、ロシアの報復措置などで、ユーロ圏の景況感悪化懸念が高まりつつある。

 日米の金融政策の乖離観測や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産への投資増額期待から下値は限定的と予想される。

【ウクライナ紛争】
 ウクライナと親ロシア分離主義者、そしてロシア軍との武力衝突が激化しつつあり、欧米によるロシアへの懲罰的追加制裁、ロシアによる報復措置などで、欧米とロシアの対立も激化しつつある。

 ウクライナ東部での紛争が激化した場合、リスク回避の円買い圧力が強まることになるが、第2次冷戦の構図からは「有事のドル買い」となる可能性にも警戒することになる。

【日本銀行金融政策決定会合】(3-4日)
 日本の4-6月期の国内総生産(GDP)が落ち込み、インフレ率も低迷していることで、日本銀行に対する追加緩和圧力が高まりつつある。2015年10月に予定されている消費増税(8.0%→10.0%)の判断が、年末に発表される7-9月期の国内総生産(GDP)となること、「第3の矢」が再び的外れとなりつつあることで、政治的な追加緩和圧力が高まりつつある。

【米国の8月の雇用統計】(5日)
 米国の8月の雇用統計の予想は、失業率が6.1%で7月の6.2%から低下、非農業部門雇用者数は前月比+22.0万人で、7月の+20.9万人からの増加幅の拡大が見込まれている。

 予想通りに雇用情勢が改善した場合、9月16-17日の連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、10月に終了が予定されているテーパリング(量的緩和縮小)から利上げまでの「かなりの期間」という時間軸が削除される可能性が高まることで、ドル買い要因となる。予想に反して雇用情勢が悪化した場合は、低金利政策の長期化観測から、ドルは上げ渋る展開となる。

【中東の地政学的リスク】
 オバマ米大統領がイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」に対する空爆を、イラク北部だけでなく、シリアへ拡大させる意向を示したことで、中東全域での地政学的リスクが高まりつつある。イラクが内戦に陥った場合、原油価格が上昇することで、原発稼動停止で原油輸入の依存度が高い日本経済にはマイナス要因、貿易赤字の拡大により円安要因となる。

 9月1日-5日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。

○(米)8月ISM製造業景況指数- 2日(火)午後11時発表
・予想は、56.8
 参考となる7月実績は57.1で6月の55.3から上昇した。7月の新規受注と生産指数は60を超えており、経済拡大を示唆する内容となっている。8月については複数の地区連銀の製造業活動指数が低下していることから、7月実績をやや下回る可能性がある。

○(米)8月ADP雇用統計- 4日(木)午後9時15分発表
・予想は、前月比+21.5万人
 参考となる7月実績は+21.8万人。幅広い分野で雇用者数の増加が確認されており、8月についても7月と同水準の雇用者数の増加が期待できるとの見方が多く、市場予想は妥当か。

○(米)貿易収支- 4日(木)午後9時30分発表
・予想は、-425億ドル
  参考となる6月実績は-415億ドルだった。7月については、同月のISM製造業景況指数における輸出は低下しているが、輸入が大幅に低下していることから、貿易赤字額は6月実績と同水準となる可能性がある。

○(日)日本銀行金融政策決定会合- 4日(木)決定会合の終了時刻は未定
・予想は、金融政策の現状維持
 既発表の4-6月期国内総生産(GDP)は大幅なマイナスを記録。また、消費増税の影響を除く物価上昇率は前年比+1%台前半で推移している。物価上昇率2%の早期達成は実現困難だが、黒田日銀総裁は「今後数年の経済見通しを変更する必要はない」と指摘しており、金融政策は今回も現状維持の公算。

○(米)8月雇用統計- 5日(金)午後9時30分発表
・予想は、非農業部門雇用者数が前月比+22.0万人、失業率は6.1%
 7月も20万人超の雇用増を記録しており、トレンドは堅調。失業率の上昇は求職者数の増加によるものであり、労働市場の改善は続いている。8月の非農業部門雇用者数も20万人超の増加が予想されており、市場予想は妥当か。失業率は低下する可能性がある。

 主な発表予定は、4日(木):(米)8月ISM非製造業景況指数、5日(金):(日)7月景気先行指数

【予想レンジ】
ドル・円:102円00銭-105円00銭