8月の月次は9月1日発表予定。月次は前年同月比。松屋のHPより

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そろそろ子供たちにとっては夏休みの終わりも見えてきたが、個人的に楽しみにしている8月のデータがある。それは牛めしの松屋の8月の月次売上データである。牛丼チェーンに限らず、外食チェーンでは多くの企業において、月次の売上高、客数、客単価を前年同月比との比較で速報ベースの報告をしている。松屋の場合、9月1日に8月分が出てくる予定になっている。

牛すき鍋で潮目が価格競争の変わったのか

 牛丼大手三社はあの手この手で競争を繰り広げて来た。最も大きな動きとしては値下げであったが、今年の場合は、吉野家(吉野家HD:9861)が昨年12月に投入した牛すき鍋膳が成功し、すき家(ゼンショーHD:7550)も牛すき鍋定食を提供し、松屋(松屋フーズ:9887)でも似たような牛すき焼き御膳というメニューが投入された。

 どれも冬期の期間限定商品であり、現在は販売を休止し、秋や冬に再登場すると報じられている。「早いの!うまいの!安いの!」がウリの牛丼市場において、吉野家とすき家の牛すき鍋メニューは600円弱であり、牛丼の約2倍の価格である。

 一方、鍋メニューであるため客の滞在時間は長くなるため、「早さ」と「安さ」はない。単純計算をすれば牛丼2杯を売る代わりに、同じ時間内に牛すき鍋を1食売れば売上的には同じことになるが、実際は決算の押上げ効果があるほどに牛すき鍋は人気であった。これまで牛丼屋にはあまり足を運んでいなかった層の開拓や、アベノミクスの後押しを受けて既存の牛丼ファンに非日常を味わってもらう、たまには高級なものを楽しんでもらうという側面があったと思われる。

 ただ、いくら鍋系の商品を投入したと言えども、席のレイアウトがカウンター中心型の店舗においては、家族や友人同士で楽しむにはやや難がある。よって、新規顧客の開拓効果は一定の制約条件下ということになる。それでも、寒い季節は牛丼チェーンで一人鍋をしようという新たな購買行動を意識付けできた、かつ、その意識付けはまだ開拓の余地がたくさんあるという意味では、この冬以降もこれら鍋系メニューのプラス効果は楽しみである。

松屋のプレミアム牛めし:たしかにおいしい

 一方、松屋では8月から(一部店舗では7月から)、プレミアム牛めしの発売を開始した。価格は380円と200円台が日常となっている牛丼カテゴリーにおいては、明らかにプレミアム帯である。

 従来の牛めしとは異なり、チルド肉を使用し、それに合わせて無添加タレも開発したとのことである。実際に食べてみたが、確かに従来の牛丼の類いとは全く違う。通常の牛丼はそれがどのチェーンのものであれ、かき込むもの、あるいは顧客によってはタレを多めの「つゆだく」状態にして、ほぼ飲み込んでいる状態である。

 しかし、松屋のプレミアム牛めしは、肉質を口の中で感じることができ、噛み締める喜び、そしてタレ効果のせいか、味わいがある。むしろ、かき込むことはできない。牛めしではあるが、食後感は「あ、今日はちゃんと食事をしたな」と思うものである。これなら従来品より約3割価格が高くなっても納得であった。

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