日本代表のハビエル・アギーレ監督

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アギーレ監督が初めて選んだ日本代表のメンバーに、僕は監督の自信と覚悟を見ました。

監督就任の初戦は、いろいろな試合の中の1試合に過ぎません。ですが、最初の試合の印象は大きいので、「この監督で大丈夫だ」というインパクトを世間に与えたいというのが普通の考え方です。ですから、それまで実績のあるメンバーを中心にして、プレーも大きく変えないのが一番の安全策となります。

ところがアギーレ監督はまだチームでの立場も確立できていないような選手も選んできました。代表での試合出場がない選手が、23人のメンバーのうち7人もいるというのは「大胆な選考」と思われても仕方がないでしょう。

それだけアギーレ監督には自分の目に自信があるのだと思います。もしかすると、プレーだけではない面も見ているのかもしれません。

たとえば鳥栖の坂井達弥。大宮戦では相手FWに外され、思わず引っ張ってしまってPKを与えました。ですが、林がPKをストップすると、その後は崩れることなく残り時間を戦いました。

もしかすると、このPKの後に立ち直った姿を見て「この選手は一声かけると伸びる」と思ったのかもしれません。少し自信を持つだけでぐんと成長する選手はいるのです。経験豊かな監督はそんな伸びしろをみたのかもしれないと思っています。

そしてこのメンバー選考で、より多くの選手にチャンスがあると世間に知らしめました。日本サッカーは急に競争激化を迎えたと思います。

残念ながら僕が押していた川崎の小林悠や、G大阪の宇佐美貴史はメンバー入りしませんでした。ですが、今回のような選考方法なら落ち込む必要がありません。チャンスがあるのは間違いないと、選ばれなかった選手も思ったことでしょう。

ただし、この選考が正しいのかどうかは、実際に試合を戦ったあとでハッキリすることです。もしウルグアイ戦とベネズエラ戦で出来が悪ければ「やはり日本をわかっていない」と言われても仕方がないリスクもあります。それでもこのメンバーを選んだところに、監督の覚悟が現れています。ますます試合が楽しみになってきました。

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