アイスバケツチャレンジで復活?のチェーンメール手法、何が問題なのか

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ALS(筋萎縮性側索硬化症)を支援するためのチャリティとして広がっている「アイスバケツチャレンジ(氷水チャレンジ)」。このニュースで久しぶりに聞いたなという言葉が「チェーンメール」だ。一躍、復活した感がある。

◎「チェーンメール」をおさらい
チェーンメールは、昔からある「不幸の手紙」(あるいは「幸福の手紙」)の類いだ。中身の本文は実はあたりさわりなく、受け取ったら○日後までに複数人に送るよう鼠算式に拡大する仕組みになっている。そのときに、不幸の手紙であれば「送らなければ不幸になる」、幸福の手紙であれば「幸福を受け取るために送る」というロジックが使われる。

子どもの頃に流行ったという記憶があるという方も多いだろう。昔はリアルな手紙で、インターネットが使われるようになると、同じ仕組みをメールに変更したチェーンメールが登場した。その中身はもう「幸・不幸」ではなく、何らかのストーリーが語られ、善意があれば拡散せざるを得ないように作られている。この手のチェーンメールを受け取ったら、ちょっと待ってほしい。

◎「チェーンメール」は、何が問題なのか?
メールを送るくらいで済むなら送ってしまえばいいじゃないか?と思うかもしれない。昔と違って切手代がかかるわけじゃない。かかるのは、ほんの少しのパケット代だ。

しかし、これが事実や事実にもとづく善行であればいいが、デマや悪意のある内容であれば拡散することで混乱が広がる。また、拡散目的が事実や善意のものだったとしても、そうした形での拡散が本当に望まれている形なのかどうかはわからない。
このシステムでの拡散では、むやみに拡散されることで本来の目的があいまいになったり、拡散行為だけが独り歩きする状況が発生したりすることもある。結果、困惑したり、困ったりする人も生まれてしまうケースもある。

思い出してほしい。2011年3月13日の東日本大震災においてもチェーンメールが出回り、混乱に輪をかけていた。救助が必要だという情報を広めることで、救助の限られたリソースを不用意に割いてしまったり、募金や寄付などの詐欺、過度の恐怖を煽ることであったり。いまでこそ、各キャリアや相談センターなどに東日本大震災における悪質なチェーンメールについてまとめられているが、当時はみんなそれどころではなかった。チェーンメールのシステムには、大きな拡散ができる反面、適切な情報が必要な人に届きにくくなる状況も発生してしまうことが、一番問題なのだ。

◎ソーシャルでは特に注意したい
気をつけなければならないのは、善意を悪用するチェーンメールの仕組みはソーシャルメディアと、とても相性がいいことだ。ソーシャルメディアは、「いいね」やシェア、リツイートで簡単に情報を共有して、拡散できる。2014年の現在は、2011年のあのときより、TwitterやFacebookを使う人は確実に増えた。だからこそ、自分の投稿(「いいね」やシェア、リツイート等を含む)が誰の目にさらされるか、考えてから行動することが重要になってきている。
痴漢犯を告発するツイート、動物愛護を訴えるショッキングな画像、1つ1つの内容には、それぞれに善意や是があるのかもしれないが、それを見たあなたの友だちはどう考えるだろう。痴漢とされた人は事実なのだろうか、もし事実ではなかったら…?

ソーシャルメディアは、個人が自分の意見を発言しやすい仕組みになっている。また、人の意見や発信が「集まること」で社会を動かす大きな力を持つこともできる。だからこそ、ユーザーの私たち一人一人が、ソーシャルメディアは大きな力になり得るものであること、私たちが集団に流されてしまいがちなことを自覚することが求められる。

それにしても、収束しつつあるアイスバケツチャレンジは、どうして「3人を指名」というようなチェーンメール的な手法を取ったのだろう。そうした方法をとらなくても、自分の行動表明として、賛同者が氷水をかぶるというパフォーマンスを示すだけでも、いまの時代十分に拡散できたのではないだろうかと思える。初期の著名人から著名人へ、というつながりが多くの人の興味を引いたことは確かだが、チェーンメール的な拡散方法を採用したことついては、ネット上で賛否があがるのもまた確かだろう。


大内 孝子