企画展「トイレ? 行っトイレ!〜ボクらのうんちと地球のみらい」(日本科学未来館公式サイトより)

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 お台場の日本科学未来館で開催中の「トイレ? 行っトイレ!〜ボクらのうんちと地球のみらい」が来館者10万人を超える盛況ぶりで話題だ。日頃の不満をぶちまける"しゃべるトイレ"に、うんちを粘度でつくるワークショップ。さらには、うんち型の帽子をかぶって、高さ5メートルの巨大トイレのなかの滑り台をすべり、トイレから下水道に流されるうんちの気持ちを体験するアトラクションなど、斬新な企画が大受けなのだという。

 たしかに毎日のようにお目にかかるにしては、うんちについて意外と知らないことだらけだ。たとえば、うんちは何でできているかご存知だろうか。食べ物のカスでできていると思っている人も多いかもしれない。しかし、『ウンチのうんちく』(左巻健男/PHP研究所)によると、実際にうんちに含まれている食べ物のカスは、10%未満だというのだ。そんな、知っているようで知らないうんちの不思議について、同書から紹介してみよう。

 まず、気になるうんちの中身だが、健康な人のうんちなら、その約80%は水分だという。そして、残りの固形分20%のうち、1/3が食べ物の不消化部分(食べ物のカス)、1/3が古くなった消化菅上皮(腸粘膜の剥がれたもの)、残りの1/3が腸内細菌とその死骸なのだそうだ。食べ物のカスと同じくらいたくさんの消化管上皮や細菌が含まれていることに驚くかもしれないが、小腸の内壁にある絨毛の細胞は寿命が短く、24時間で変わっていくし、腸内細菌も腸内全体で1kgにも達する。普通の人なら、だいたい1日1回、100〜200gぐらいのうんちをするそうなので、それぞれ6〜13gと考えると、そんなに多いものではない。とにかく、案外食べ物のカスは少なく、そのほとんどが体内に吸収されていることがわかる。

 また、トイレでうんちが水に浮く場合と沈む場合があるが、どちらのうんちがいいうんちなのだろうか。実は、水に浮くのが健康なうんちなのだという。食物繊維に富んだ日本食を中心にした食生活を送っている人なら、うんちの密度はだいたい1.06g毎立方センチメートルくらいと言われているそうなので、水よりも少しだけ密度が大きいことになる。つまり、落下の勢いが特に強くなければ、健康なうんちは水に沈むというより、「静かに水中を漂う」感じになるのだ。ただし、油脂が多いうんちも水に浮く。でも、その場合は水の表面に油膜が浮かぶので、そこで区別できるらしい。

 さらに、なんと感染症の治療としてうんちを移植する方法があるというのだ。これは、クロストリジウム・ディフィシル感染症に対する治療法だ。感染症の治療には抗生物質が使われることが多いが、クロストリジウム・ディフィシルという細菌は抗生物質が効きにくいため、この方法が考案されたらしい。移植の方法は、健常人や家族の便を結腸内視鏡や浣腸、あるいは鼻から入れて胃を経由し、十二指腸まで通したチューブから送り込むことで移植する。この際、うんちそのものではなく、生理食塩水に溶かしたものが使われることもあるという。ただ、残念ながら日本ではまだ認可されていない治療法なので、うんち移植はまだしばらくは受けられなさそうだ。

 また、カナダではうんちから培養した腸内細菌の集合体である腸内フローラも試みられている。2013年の10月には、それを使って作られたカプセル剤を口から摂ると、クロストリジウム・ディフィシル感染症の患者27人の治療に有効だったというニュースが流れたそうだ。さらに研究が進み、「腸内細菌フローラによって太りやすくなったり痩せやすくなったりする」といったことがわかれば、うんち移植や人工うんち製剤でダイエットしたり、糖尿病を改善できるかもしれないというのだ。

 なんだか汚いものだと遠ざけていたが、うんちには、まだまだ秘められた力があるのかもしれない。
(島原らん)