2017年6月度外食産業売上プラス4.7%…10か月連続して前年比プラスを計上
日本フードサービス協会は2017年7月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2017年6月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売り上げは前年同月比でプラス4.7%を計上した。梅雨ではあるが天候が安定したことが幸いし、客足が堅調なものとなり、売上をけん引する形となった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。
今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が190、店舗数は3万4343店舗。今月は前月と比較すると事業社数は変わらず、店舗数は減少している。

全業態すべてを合わせた2017年6月度売り上げ状況は、前年同月比で104.7%となり、4.7%の増加を記録した。これは先月から継続する形で10か月連続の増加となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日も土曜日も変わらず、売上に影響は無し。一方気象環境では東京・大阪共に雨天日数は前年より少なく、平均気温はやや低い程度のため、客足面ではプラスの影響を与えたもよう。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前月から続く形で19か月連続のプラス(プラス6.9%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せ始めており、該当月ではボリューム感をアピールした商品展開(グランドビッグマックなど)やセットメニューが堅調となり、洋風全体のけん引を果たす形となった。今回月では洋風は客単価がプラス2.2%、客数はプラス9.3%となり、売上高は11.7%のプラス。

マクドナルド単体の2017年6月における営業成績はプラス16.8%(売上、既存店、前年同月比)と大規模な上げ幅を示しており、これがファストフード洋風全体へのプラスの影響を与えたものと考えられる(前年同月における前年同月比はプラス18.5%。反動の類は無い)。なお同業他社のモスバーガーではプラス3.4%(同)を示している。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はマイナス0.9%、客単価はプラス2.7%と成し、売上はプラス1.8%。「季節セットメニューや定食メニューで客単価上昇」とリリースにあり、吉野家のとろろセットやうなぎ関連のメニューが功を奏したものと考えられる。

ファミリーレストラン部門は和風がマイナス0.4%とやや凹んだが、それ以外は数%のプラスの売上。特に焼き肉は客数がプラス9.4%、客単価はプラス0.5%に留まったが売上はプラス10.0%と大きな伸びを見せた。焼き肉のコメントには「SNSでのクーポン配信や肉の日(29日)イベントなどにより集客が好調」とあり、昨今の堅調さに加えオーソドックスながらも確実性が見込める販促が効果をあげているようだ。

パブ/居酒屋部門では居酒屋は店舗数の減少があったものの客数・客単価いずれもわずかながらもプラスを計上し、売上はプラス0.7%。パブ・ビアホールは堅調で(プラス6.2%)、結果として部門全体ではプラス1.8%を示した。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数は4.8%のプラス、客単価はマイナス1.0%で売上はプラス3.8%を示した。

今回月で5回目となるプレミアムフライデーの影響だが、具体的な数字となって表れるほどの影響は無かったようで、解説コメントには文言は一切確認ができなかった。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2017年6月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2017年6月分)

梅雨だが雨が
あまり降らず客足は良し。
ファストフードは堅調続く。
ファミレスも和風以外は
堅調さを見せる。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種計上値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻りつつあるか、今後どこまで良い数字を見せ、さらには外食全体の機関車的役割を果たすのかが楽しみではある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。ただし吉野家は単価と客数のバランス調整に難儀しており、他の主要チェーン店に後れを取る状況が続いている。

ファミレスは2016年以降は、それまでのような好調さとは雰囲気に変化が見えつつある。中食に多分に客を奪われている感はあるが、もう少し状況を眺めたいところ。客数の伸び悩みが顕著ではある。しかし焼き肉だけは例外で、客数が伸び続けており、ファミレス部門におけるトレンドが変化しているのかもしれない。

居酒屋の不調続きは要注意ポイント。こちらは純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じ、店舗数そのものも漸減してしまっている。さらに今後禁煙の動きが加速するに連れ、マイナス要素がまた一つ加わる可能性はある。「多様なメニューが少量で、安価で注文できる」との居酒屋独自のメニュー展開の上では、子供連れにもマッチしそうな感はあるが、その役割は焼き肉店やファミレスがすでに確保しているとの見方もあり(さらには回転寿司もその座を狙う動きを見せている)、実情は難しい。もっともこの1、2か月は客の入りが戻り始めた感があり、これがトレンド転換の兆しなのか、単なるイレギュラーな流れなのか、今後の動向を見極めたいところ。

現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、飲酒以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的(ただしファミレスも上記の通り2016年以降は成長が足踏み状態にある)。

吉呑みもっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。

牛丼業界の動きやディナーレストラン、ファミリーレストランの動きの良さを合わせ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる。外食産業全体の動向を精査するうえで、店舗数動向もあわせ、今後も注視すべき重要ポイントに違いない。