2018-1225
日本フードサービス協会は2018年12月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2018年11月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売上は前年同月比でプラス1.1%を計上した。該当月は日取りの上では不利だったが天候に恵まれたことから客足が堅調となり、売上はプラスとなった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。
今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が202、店舗数は3万6567店舗。今回月は前回月と比較すると事業社数は増加、店舗数も増加している。

全業態すべてを合わせた2018年11月度売上状況は、前年同月比で101.1%となり、1.1%の増加を記録した。これは前回月から継続する形で27か月連続の増加。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日は変わらずだが土曜日は1日少ないことから、売上にはマイナスの影響。一方気象環境では東京で1日雨天は多かったものの大阪では4日少なく、平均気温は東京と大阪ともに高めとなり、客足の点ではプラスの影響をもたらすことに。

結果として客数は全体では前年同月比でプラス0.7%を計上している。一方で客単価はプラス0.4%を計上しており、結果として売上はプラスを示す形となった。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から続く形で34か月連続のプラス(プラス1.6%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せている。今回月では「以前好評だったキャンペーンメニューをアレンジするなど」とあり、アメリカンバーガーの複数種類同時発売や、チキンナゲットの新ソースなどが好評を博したようだ。その洋風は客単価がマイナス1.2%、客数はプラス2.4%となり、売上高は1.1%のプラス。なおマクドナルド単体の2018年11月における営業成績はプラス4.1%(売上、既存店、前年同月比)とプラスを示している。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス0.4%、客単価はプラス2.7%と成し、売上はプラス3.1%。「季節の定食メニューや割引パスポートなどが好調」とリリースにはあり、鍋系列の定食や、割引定期券企画が効果を発揮したようだ。

ファミリーレストラン部門は客数ではマイナス1.3%、客単価はプラス0.9%、売上はマイナス0.4%とマイナスを計上。洋風では「引き続き期間限定メニューなどが支持され客単価の上昇傾向は続いているものの、客数の減少も続いており」とコメントにあり、多分に客単価に支えられた感は否めない。「和風」も洋風と同様のコメントで、客数はマイナスを計上しており、客単価はプラスだが売上を底上げするには至らずにマイナスを示している(前年同月のファミリーレストラン全体の客数はプラス0.7%で、反動による影響も多少はあるが)。他方「焼き肉」は「依然堅調」とコメントされており、他業種と比べて勢いが強い実情がうかがえる。

パブ/居酒屋部門では、居酒屋の売上はプラス2.8%。「曜日まわりと暖冬傾向で比較的堅調」と説明されており、金曜が多かったことと暖冬がプラスに働いたことが分かる。
久々の大幅プラスが天候の恩恵によるところが大きかったのが分かる。部門全体では売上はプラス2.8%を示した。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数は1.9%のプラス、客単価はプラス0.3%で売上はプラス1.2%を示した。

今回月で21回目となるプレミアムフライデーの影響だが、解説コメントではハブ・居酒屋業態で「営業時間の繰上げや毎週プレミアムフライデーを実施するキャンペーンなど」とあり、プラスの影響があったことが確認できる。これは【年内の金曜日は毎週プレミアムフライデー! 開店から18時まで「ヱビス生ビール各種」半額 全国の銀座ライオン・YEBISU BARにて】にもある通り、銀座ライオン・YEBISU BARにおいて10月から12月は毎週金曜日をプレミアムフライデーに該当するものとし、これまでプレミアムフライデーのみに提供してきたサービスを毎週提供することにしたもの。興味深い施策ではある。


↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2018年11月分)

日取りは不利だが
温暖な天候がプラス。
ファミレスが
やや不調か。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種計上値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、公開される業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻り、月次で毎月のように売上高の前年同月比1割前後のアップを計上している。今後どこまで良好な数字を見せ、さらには外食全体の機関車的役割を果たすのかが楽しみではある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。

ファミレスは2016年以降は、雰囲気的にそれまでのような好調さとは異なる様相が見えつつある。中食に多分に客を奪われている感はあるが、もう少し状況を眺めたいところ。客数の伸び悩みが顕著ではある(キャンペーンが当たれば大きな飛躍が生じるが)。しかし焼き肉だけは例外で、客数が伸び続けており、ファミレス部門におけるトレンドが変化しているのだろう。チェーンストアでも肉部門は堅調なことから、食生活の変化の波に乗っているようだ。

吉呑み現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。

牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる。吉野家やマクドナルドが夕食メニューに力を入れているのも、高齢化に併せた動きの可能性も否定できない。さらにこれらの動きは総じて、客単価の引き上げという戦略目標にもつながっているとの解釈もできる。客単価の引き上げはファミリーレストランにも生じており、こちらも結果としては売上維持、さらには売上増につながる成果を示している。

これらは外食産業全体の動向を精査する上で、店舗数動向もあわせ、今後も注視すべき重要ポイントに違いない。