柔道世界選手権で日本の高藤直寿さんがポイントを消される不可解判定も、指導陣は見事に悟り切っていた件。
日本柔道が新たな悟りのステージにたどり着いた!

長い雌伏の時を経て、日本柔道は強くなって帰ってきました。25日から始まった柔道世界選手権。初日の競技では、女子48キロ級では弱冠19歳の近藤亜美さんが優勝。連戦連勝、怒涛の攻撃。世界ランク1位の前回王者を前にしても、スパーンと切れ味鋭い技でポイントを奪い優勢勝ち。準決勝・決勝も攻めの柔道で危なげなく勝利し、谷亮子さんの後継者として一躍リオ・東京のスター候補へと飛躍しました。

そして男子も60キロ級で21歳の昨年の世界王者・高藤直寿さんが銅メダルを獲得。初戦で前歯を折り、準決勝では二度に渡り技の評価が下げられ、さらに3位決定戦では折れた前歯で口の中をザックリ切るという踏んだり蹴ったり投げられたりの一日でしたが、しっかりとメダルを持ち帰りました。東京五輪を視界にとらえる年代の選手が、すでに世界王者として君臨している。頼もしいかぎりです。

そこには日本柔道の改革が功を奏しているに違いありません。

2012年に発覚した指導者による暴力問題。いい加減下半身も枯れているだろう70代の理事による、女子選手へのエレベーター内御達者キス事件。助成金の不正受給問題。金メダリストによる準強姦事件。数々の事件で衆目を賑わせ、立て直しのために外部理事として起用したのが最近話題の橋本KISS聖子氏だったという体たらく。不祥事、不祥事、不祥事アンド不祥事。これがパスドラだったら10万点くらい一気に入る感じの大コンボでした。

しかし、あふれ出た膿は改革の原動力となったのです。その成果は、試合場での悟りとなって現れていました。高藤さんが準決勝で見舞われた不利な判定。本人は両手を広げ、「何で取り消されたんですか!」と激高します。しかし、指導陣は夏の終わりのセミでも見守るように、静かに現実を受け入れていました。「さ、悟ってる…」という戦慄。歴代の指導陣が揉め事のたびに両手を挙げ、日本語で荒れ狂ってきた柔道界。しかし、現体制は落ち着きと知性に満ちている。柔道界の悟りは日本の希望、東京の希望。僕はその見事な悟りっぷりに「一本!」の判定を送りたいと思うのです。

ということで、荒ぶる本人と冷静な指導陣のハーモニーを、25日のフジテレビ中継による「柔道世界選手権 男子60キロ級」からチェックしていきましょう。

◆過去の指導陣とは一線を画す悟りの精神!さすが井上康生体制だ!

繰り返されてきた悲劇。判定を巡る日本VS世界のすれ違い。2000年のシドニー五輪では篠原信一(※元柔道指導者、現産業廃棄物処理会社経営)が、内股透かしという技で一本を取ったかに見えたものの、審判からは逆に相手の内股が評価され、無念の銀。当時の山下泰裕監督は、両手を上にあげるジェスチャーで世界に抗議の意を示しました。

また、2007年の世界選手権では「転がし合いの末に最後に背中をついた方が負け」という世界の潮流に乗ることができず、先に投げて勝ったつもりの日本選手が、もつれ合いながらコロンとひっくり返されて負ける事態に。当時の斎藤仁監督は、やはり両手を上にあげるジェスチャーで世界に抗議の意を示しました。

↓これが柔道界伝統の抗議方法です!


手を勢いよく上げる

「イッポーン!」などと叫ぶ

引っ込む

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そして2010年、ロンドン五輪。この大会では篠原氏の誤審などが契機となって導入されたジュリー制度が大活躍。柔道男子66キロ級の海老沼匡さんの試合では、試合中の海老沼さんの技が有効と認められなかった上に、その技によって有利と見られた旗判定でも敗れるということがありましたが、ジュリーの指摘で旗判定が引っくり返ったのです。当時の篠原信一監督は、やはり柔道界伝統の抗議で何やら叫んでおりましたが、それとは関係なく判定が引っくり返るところまで、状況は改善されてきたのです。

↓篠原監督の柔道界伝統の抗議は、もはやあってもなくても問題なくなった!


手を勢いよく上げる

「ユウコーウ!」などと叫ぶ

着席する

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迎えた2014年。監督に就任した井上康生氏は、悟りを開いた仏の表情。日本代表の高藤が、地元ロシアの観衆に後押しされるムドラノフ選手にポイントを奪われても表情を変えることはありません。そして、試合中盤、高藤は大腰でムドラノフを投げ飛ばします。放送席も一瞬、一本かとわいた豪快な投げ。主審はコレを技有りと判定しますが、のちに有効へと訂正します。

ムムム、なるほど、主審の判定がジュリーによって格下げされたようですね。これは別に主審が意地悪で考え直したりしているわけではありません。ジュリーの指示です。まぁ、確かに「技有りというほどではない」とする意見もあるでしょう。強さ、勢いはなかなかのものがありましたが、ムドラノフは自ら回転して背中をつけないように身体の側面で着地していましたから。講道館ルールなら一本を取ったでしょうが…。

しかし、それでも高藤は攻めます。なにせ、幕間には小学校の卒業文集での「ぼくの将来の夢は、柔道でオリンピック五連ぱして、柔道を通じて国際交流を深めることです」という壮大な夢が紹介されたのです。こんなところで負けてはいられない。五連覇、そして国際交流のために攻める高藤は、相手を強引に投げ倒し、主審から有効の判定を引き出します。が、これも副審・ジュリーには評価されずポイント取り消しに。

その上、試合終了間際には気が抜けたように後ずさりした高藤の動きが、「場外に出た」ということで指導の対象に。その時点ではポイントで並んでいましたが、判定となれば指導の差で決着することになるのです。絶望的なマイナスポイント。高藤は判定に翻弄されながら、アレヨアレヨと負けてしまったのです。

↓高藤さんは試合終了直後から激しく抗議する!しかし、指導陣は動かない(7分30秒頃から)!


両手を広げて主審にアピールする白い柔道着の高藤さん

観衆に対してもアピール

しかし、地元ロシア選手の勝利に観衆は沸いている

井上康生監督は着席したまま「うーん」と沈黙

井上監督、クチをモーニョモーニョする

おさまらない高藤は首をひねりながら畳を降りる

コーチに不満をぶちまける高藤

コーチ:「取り消されたんわかった?」

高藤:「わかんないっす!何であれが取り消されたんですか!?」

コーチ:「尻もちやったからや」

のちほど井上監督はジュリーに話を聞きに行くも撤退

これ以上抗議はしない意志を示す

試合後の井上監督の談話:「高藤も私もこの悔しさを決して忘れない。絶対的な強さを持つ選手、チームを作るエネルギーにしたい」

悟ってるwwwwwwwwwwwww

これは相当に悟ってるwwwwwww

コーチに至っては特に不満そうでもないwwwww

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どうですか。ルール面での誤解とかズレという話でもなく、ジェスチャーでアピールするというわけでもない、立派な国際人としてのこの振る舞い。「ココは判定が正しい」「ココは納得がいかない」というのをしっかりと把握した上で、それを対話で伝えることができる。そして、対話を経て潔く引き下がる冷静さもある。これは日本柔道界の大きな進歩ではないでしょうか。

IJFの国際ルールを見ても「一本」には「相当なチカラ」と「相当なスピード」で「相手の背中を」叩きつけるリアルインパクトが必要であるとしています。そして、そこからひとつ要素が欠けると「技有り」に、ふたつ欠けると「有効」になるとしています。そして上半身の側面を叩きつけた場合は「有効」であるとも。とにかく背中。柔道は「相手の背中を地面に叩きつける」競技なのです。その意味で、厳しい判定ではありますが、背中を守り切ったムドラノフが一枚上手だったように思います。

そのあたりを踏まえ、冷静な悟りっぷりを見せた日本柔道界の指導者たち。かつての指導者たちは「心眼を鍛えるために体育館の電気を消せ」「マスクで顔と呼吸器を覆え」「さぁ心眼を開くのだ」などと言っていたり、前任の監督は「自分自身で頑張れよ」「強くなりたかったらお前ら自分でやれよ」「わからないことを聞かれても困りますけど」などと言っていたことを考えると、現体制の立派さが際立つというもの。今後の日本柔道の躍進、大いに期待できそうですね。

↓なお、本人はそんなことより歯医者に行きたいとのことです!

これがホントの歯医者復活戦ってか!

歯は復活しないんですけどね!


抗議を足場に「チャレンジ制度」を導入させるのが次なる悟りです!