格安スマホの次はSIMフリー通話タブレットか、ブレイクの兆しは本物なのか?

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画面が大きくパソコン代わりにも利用できるタブレットタブレットには通信機能別に大きく2種類がある。片方はSIMカードを使わないWi-Fiモデル、そしてもう1種類がSIMカードを使い3GやLTEなどのモバイル通信機能が利用できるモデルだ。各メーカーから様々な製品が販売されているが、種類が多く価格も割安なWi-Fiモデルを買う人が多いのではないだろうか?

ところが最近、その傾向に変化がでてきた。アジア各国ではSIMカードが使える3GやLTE機能を内蔵したタブレットの人気が高まっているのだ。しかもインターネット機能だけでなく、通話もできるモデルが増えているというのである。
こんな話を聞いても、日本の利用者からすればにわかには信じがたく、違和感のある人も多いだろう。この傾向を報告した調査会社IDCによれば、7インチ以上の電話機能付きタブレットの販売数が急増しているのは「日本以外のアジア各国」とのことだ。

●60%増加の通話できるタブレット、いずれ半数まで増加?
ではどれくらいの数のSIMカードが使える電話機能付きタブレットが売れているのだろう。IDCによれば2014年4月から6月の間に日本以外のアジア地域で販売されたタブレットの総台数は1380万台だった。このうち電話機能付きタブレットは25%、約350万台に達したとのこと。ちなみに昨年の同じ時期と比較すると、この数は60%も増えているそうだ。このままいけば、いずれ半数近くのタブレットにSIMカードスロットと通話機能が搭載される計算だ。

●通話できるタブレットが売れている理由と背景
なぜアジア各国では通話できるタブレットが売れているのだろうか?
アジアの中でも新興国の比率が高いことが、その原因を解明してくれそうだ。IDCによればインドやインドネシアではタブレット販売台数のうち約半数が通話機能内蔵モデルと他国よりも高い数字を記録している。
新興国の多くは、1人で何台もスマホやタブレットなどのモバイル機器を買うことは難しい。なるべく1台で済ませたい人が多いとIDCは分析している。そのためパソコンにもスマホにも、そして通話ができて携帯電話にもなる製品に人気が集まっているという。


1台で何でもできる夢のモバイル機器とし通話のできるタブレットが新興国では人気だ


だが通話ができるタブレットはWi-Fiのみのタブレットより価格が高い。1台で何でもできるとはいえ、高い製品を買うくらいならば安いWi-Fiタブレットと数千円の携帯電話の組み合わせるほうがコスト的には安上がりのはずだ。
実際、これまで新興国で売れているタブレットはWi-Fiモデルが多かった。通話できるタブレットは本体がWi-Fi版より高く、データ通信費用も高い。しかも毎月数千円の料金を別途払うことは新興国の消費者には難しいのだ。

ところが最近になって値段が安い3G機能を搭載したタブレットが増えてきた。主に中国製で、日本円で2万円を切る製品も登場している。そして本体の価格低下に加え、通信キャリアのデータ費用も年々値下がりしてきた。今では1日100円台から数百円で定額利用できるプリペイドプランも増えている。3Gタブレット本体の値下がりと通信料金の引き下げという2つのタイミングがうまくかみ合ったことで、新興国では通話できるタブレットの販売数が急速に伸びているというわけだ。

●大手も1万円台にSIMカードが使える通話タブレットを出すなど、今後のブームになりそうな兆し
ではSIMカードが使える通話タブレットは、新興国だけのブームで終わるのだろうか?
最近の日本を含む先進国では、格安SIMを提供するMVNOキャリアが増えている。通勤時間だけ、週末だけデータ通信するなど、利用シーンで通信プランを選ぶスタイルが普及し始めている。そしてMVNOの対応したSIMフリーの格安スマホも登場し注目を集めている。


ファーウェイの低価格な携帯電話機能内蔵タブレット「Honor Tablet


格安スマホが出てきたように、タブレットでも格安なSIMフリーの通話タブレットも増えてくることは十分に予想できる。中国では通話できるブレットばかりを出すメーカーも出てきている。また大手メーカーであるファーウェイも、新興国向けとなる3G搭載タブレットを8月24日に発表したばかりで、その価格は日本円で約1万6000円と、低価格Wi-Fiタブレットと変わらない驚きの価格となっている。

これらの低価格な通話ができるSIMフリータブレットが増えれば、日本でも格安SIMと組み合わせて利用するユーザーも増えるだろう。低価格タブレットが日本でも発売されることに期待したい。