「an・an」8月8日発売号(マガジンハウス)

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「an・an」(マガジンハウス)夏の名物企画となった「SEX特集」。今年もその季節がやってきたが、この企画、なんか年を追うごとにエロさを増している感じがする。今回もエロ度全開で、表紙は松坂桃李と外国人女性のベッドシーン、グラビアではその松坂が濃厚キスまで披露するサービスぶり。そして、さらに読み進めると、読者の感じるプレイを再現した男女のカラミ写真が見開き6ページにわたって......と、もはやエロ本との差がまったくわからない状態なのである。

 だが、今回、そういうエロさとは別な意味で注目を集めたのが、「笑っちゃうほどわかる、47都道府県男子・愛とSEX。」という企画。「an・an」によると、「どんな場所で育ったかは、セックス観にも大きな影響を与え」るとかで、出身都道府県ごとに、男子のセックスの強さ、好みの体位や挿入時間、性癖などを「思いっきり掘り下げ」、8ページにわたる大企画を展開しているのだ。

 たしかに、最近、出版界では出身地ネタがブームでご当地本も売れているというが、まさかセックスにまで都道府県がからんでくるとは......。半信半疑で、いくつかの県を読んでみた。

 まずは、北海道男子。開拓精神のイメージがあるが、「an・an」によると、実はふんわり系の男子が多いらしい。女の子が"あれしてこれして♡"といえば、リクエストに応えてくれるが、プレイはごく普通。しかも、性欲が薄くて淡白。ベッドの上ではむしろリードされたい派が多数なのだという。うん、なんか理由はわからんが、そんな気がする。

 じゃあ、沖縄男子はどうだろうと見てみたら、こちらは対照的にエネルギッシュでセックス大好き! あっという間に女子をベッドに連れ込んでしまうらしい。挿入時間は短めだが、「3分やってひと休み、3分やってひと休み......」と一晩に何度でもできちゃう。しかも「思い立ったら息子も勃つ」レベルの衝動派なので、ゴムを装着する間もなく、ということも多いんだとか。まあ、たしかに南の島の子だくさんというイメージはあるが......。

「an・an」によると、広島男子も沖縄に負けず劣らずセックスに情熱的らしい。チャレンジ精神旺盛なので、「こんなところで?!」みたいな展開もありだし、テンションがあがれば、どんなプレイもやっちゃう、と「an・an」は分析する。広島男子はみんな「仁義なき戦い」みたいなセックスをするということなのだろうか。

 その沖縄、広島以上に、SEXへの情熱が強いと「an・an」が評価しているのが福井男子。なんでも、何かにつけて負けず嫌いな県民性から、セックスにおいても他の男に負けたくない、という気持ちが強く、テクニック、持続力、プレイ内容、すべてに努力を惜しまないのだとか。とにかく「an・an」の入れこみようはスゴくて、「日本で一番セックスにがんばる男子は福井出身!」「女子は福井男に身をゆだねて、気持ちよさを全部享受いたしましょう」とべた褒め。編集部の方は、なにか、過去にいい思いでもしたんでしょうか。

 高知男子も褒められている。することなすこと、とにかく豪快な高知男子は、"モノ"も「大きく硬く、形もなかなか、持久時間も長い!」のだという。なんか、女にもモテたという坂本龍馬のイメージに引きずられているだけな気もするが、とにかく高知男子はスゴいらしいのだ。
 
 逆に、ボロクソに書かれている都道府県もある。そのひとつが宮城男子。セックス観が保守的で自己中。宮城男子のセックス辞書に"工夫"や"遊び心"という文字はないと「an・an」は断言する。城下町で侍魂が生きているせいだというのだが、どうだろう。

 山梨男子もグサッとくるようなことを言われている。自分はうまいと信じている男子が多いが、いざベッドに入ってみたら「あれ?あんまりうまくない?」というパターンが多いらしい。根拠は「上げ底」が山梨で生まれたからだというが、それだけで、「口ほどにもないセックス」よばわりされるのは、ちょっと気の毒な気が......。

 大阪男子もダメだしされている。セックスの仕方も自分本位な上に、相手がどう思っているかをまったく気にしない。自分がイッてしまえば「俺すごかっただろ? な? じゃあおやすみ!」と一人で勝手に就寝してしまうのだとか。こちらは、完全に吉本のお笑い芸人のイメージである。

 三重男子もひどい言われようだ。「挿入時間が短い」「セックスの時間が短い」「毎日はしない」、あげくは「県全域がパワー不足」。それ、セックスの話じゃないんじゃ......。

 けなされているわけではないが、よくわからない分析をされている都道府県もある。たとえば、富山男子。働き者で勉強熱心な県民性が知られているが、それがセックスでも出るらしく、「何回腰振ったから、体位チェンジ」と、真剣に回数まで数える人もいるらしい。本当なのだろうか。

 わけがわからないといえば、徳島男子も同じ。恋愛にはナイーブで逃げ腰、内向的な性格なのだが、阿波踊りで体を動かしているうちに、指使いがうまくなり、四国で一番のテクニシャンになってしまったというのだ。徳島男子だからといって、みんながみんな阿波踊りをしているわけではないと思うのだが......。

 こんな具合で、最初は「ふーん」とか「へ〜」とかいいながら読んでいたのだが、読み進めていくうちにだんだんバカバカしくなってきた。ようするに、ほとんどの分析が定説になっている県民性や地域性、あるいはその県の歴史や名産、出身の偉人のイメージを単純にセックスに変換しているだけなのである。富山男子は県民性も真面目だからセックスも生真面目、高知男子は坂本龍馬のように豪快だからアソコもデカい、鹿児島男子は亭主関白だから正常位でガンガン攻めるとか、これはちょっと短絡的すぎだろう。仮にセックスに県民性があったとしても、夜の性癖は昼の県民性とはまったく逆だったりするのではないだろうか。

 実際、この分析は同じ「an・an」内でも否定されている。というのも、この企画の巻末に、読者アンケートにもとづいた「セックスにまつわる都道府県別ランキング」が掲載されているのだが、これを見ると、「47都道府県男子・愛とSEX。」の分析と真逆の結果がいくつも出てしまっているのだ。

 たとえば、女子がイッてる率が一番高い県。これは三重県が85.7%とダントツなのだが、47都道府県男子の分析で三重男子は「挿入時間が短い」「セックスの時間が短い」「毎日はしない」「県全域がパワー不足」とディスられていたはず。そんな男子相手にイクってことは、もしかして、三重女子は何か自分で完結できる魔法でも使えるのか......。

 あるいは「1か月ご無沙汰な人が多い県は?」というランキングでは群馬県が1位だが、その群馬男子は47都道府県男子の分析では「セックスに関してやる気まんまん」で「浮気性」ということになっている。そんなにやる気があるのに、日本一ご無沙汰なんて、群馬男子は切なすぎだろう。

 とまあ、今回はかなり無理のあった都道府県別男子のセックス分析。でも、これにめげず、来年はきちんと実地調査をして、ぜひ、読者に「そうそう、そうなのよ〜」と深くうなずかせるような分析をしていただきたい。とにかく、女子だって気持ちよくなるために、男の品定めをしたいのだから。
(島原らん)